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第70話 寅の十二司支

 「おい、ここどこだ」

 「知らぬでござるよ!大体、ダイ殿が絶対こっちだって言ったから拙者もついてきたんでござるよ!?」


 チキンを倒した後、ダイと砕蔵の二人は先に進んでいたが、現在見事に道に迷ってしまっていた。


 「やっぱさっきの道は左だったか。砕蔵テメェもっと早くに言えよ」

 「いやいやいや!拙者めちゃくちゃ言いましたぞ!?それをダイ殿が「黙れこっちに女の反応がある」とか言ってこっち来たんでござるよ!?」

 「チッ、覚えてやがったから、にしても反応あったんだがな全くいねぇな」


 辺りを見渡してもあるのは岩場ばかりで、俺のセンサーに反応した女は一人も現れなかった。

 探すにしても迷路のようなこの地下では骨が折れるし、めんどくさい。


 「・・・て、お前土遁使えんじゃなかったか?」

 「え?あ!た、確かにそうでござった!拙者の忍術を使えばいいんでござった!あーはっはっはっ!」


 それに気が付かなかった俺も俺だが、普段使ってやがるこいつが忘れていると言うことに腹が立ったのでとりあえず一発殴っておいた。


 「ぐふっ〜、では早速、土遁"震動羅針の術"」

 「んだそりゃ?」

 「地面に振動を流す術でござる。この振動が不規則に揺れればそこに人がいるんでござるよ」

 「んな便利なもんあんのならとっとと使っとけよ!」

 「たはは〜、ん?早速反応があったでござるよ!数は・・・二人、いや三人でござる!」

 「んじゃあ、そこまで言って見るか」


 砕蔵に案内を任し、地下の道を真っ直ぐに進んでいると、牢獄が設置されている部屋へと辿り着いた。


 「牢獄?」

 「のようでござるな」


 ダイ達の目の前に現れたのは何処にでもあるような鉄の棒で出来たものだった。

 少しだけ進みダイは歩みを止めた。


 「あ、ダイさん」

 「イリスちゅわん!」


 二人はお互いの方に駆け寄り、久方ぶりの再会を喜びあった。

 

 「ごめんなぁ、イリスちゅわんがまさかこんな場所に捕まってるとは思わなくてよ。てっきりこの前送ったラインが嫌だったのかなと」

 「ごめんなさい。あの連絡が来た時にいきなり捕まってしまって」

 「どんな内容送ったんでござるか・・・」

 「今ここから出すからね。おい砕蔵とっととこの牢開けろよ」

 「え?せ、拙者?ダイ殿の能力ならば」

 「いいから開けろ」

 「はい」


 ダイに命令された砕蔵は土遁の術を使用して、牢獄を上と下から挟むように地面を動かし破壊した。


 「イリスちゅわーーーん!!!」

 「ダイさぁぁぁん!」


 二人が抱き合い再開の喜びを噛み締めている頃、砕蔵は牢獄であった部屋の奥で二人の男性が倒れていることに気がついた。


 「なんと、まだ捕まってる人がいたでござるか」

 

 そこそこ歳のいったおじさんといった感じの男性で一人は特に外傷などもなくただ眠っているだけのようだったが、もう一人の男性は服に赤いシミができており砕蔵は慌てて駆け寄った。


 「大丈夫でござるか?しっかりするでござるよ!」

 「うっ、、、こ、ここは・・・」

 「良かった、目を覚ましたでござるか。ダイ殿!こちらに負傷者が一め、ダイ殿!?」


 砕蔵はダイを呼ぶ為に後ろを振り向いた。だが、そこには腹部にナイフが刺さり、地面に倒れているダイの姿がそこにはあった。


 「ぐっ、い、イリスちゃん?なん、で・・・?」

 「ごめんなさいダイさん。でも殺さなきゃいけないって頭の中で響いて、て、て、て、」


 イリスの様子は先程までとは打って変わって、明らかにおかしかった。

 すぐにダイを助けようとした砕蔵であったが自分の腰辺りに痛みが生じた事でそれは叶わなくなってしまった。


 「ぐっ、な、何をしてる、で、ござ、るか」


 砕蔵が振り向くと先ほど目を覚ました無傷の男性である宗一郎が砕蔵にナイフを突き刺していた。


 「残念だったねぇー」


 ダイと砕蔵の二人が刺され倒れた時、二人が入ってきた入口から一人の女性が入ってきた。


 「な、何もんだテメェ!可愛いじゃねーか」

 「言ってる場合でござるか!?」

 「私は寅の十二司支、莉猫って言うんだよろしく」


 莉猫と名乗った女性が入ってきた途端、牢獄にいた男性二人とイリスは莉猫の元へと歩き出し、その場で止まった。


 「お前がイリスちゃんを操ってんのか?」

 「せいかーい!私のnoiseはね、ノミみたいな生物を自由自在に操れる"ノミのみ"って能力なんだ。この力を使って彼女達にノミを寄生させて操ってるの」


 女なのにノミを操るという何とも、一部の特殊性癖マニアには受けそうな能力を扱う、莉猫は笑顔でダイの頭を踏んづけた。


 「それでね、この子達を囮にして助けに来た子も私のノミで操ってやろうと思ってね」

 「ぐっ、なる、ほどな。俺たち、まん、まと嵌められたって、わけかよ」

 「そうだよ。そしてあなた達もこのノミの力で操ってあげるね?」


 莉猫は自分の胸元を開け、そこに手を突っ込みノミのような生物を二匹取り出した。

 そしてその内の一匹をダイの耳から入れようとした。


 「これであなたも私の人形になるよ?」

 「くっ、何か悪くない気分だが、やめやがれ!さもないと脳内で犯すぞ!」

 「大丈夫、そんな事も考えられなくなるからね」

 「ダイ殿!!」


 ダイの耳の穴に莉猫のノミのような生物が入ろうとした時だった。

 一発の銃弾がそのノミを撃ち抜いた。


 「やれやれ、やっと人がいる場所に来たと思ったら、ダイ今度はどんなプレイを楽しんでるんだ」

 「く、く、九条ちゃーん!俺のために来てくれたのか!?」

 「寝言は寝て言え。後九条さんな」

 「誰?お姉さん」


 カツン、カツンと靴音をたてながらタバコを吸う真似をして九条は答えた。


 「しがない刑事だよ」

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