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第63話 酉の十二司支②

 二重能力(デュアルアビリティ)、ダイが持つ三つのnoiseの中から二つのnoiseを同時に使う奥の手。

 本来、一人の人間に一つしか発現しないと言われている力を複数持つダイにのみ使える特異な能力。


 「さぁて遊ぼうぜ?」

 「遊ぶだと?貴様に俺が倒せるのか!」

 「当たりめぇだ、オラ行くぞ!」


 変わらずただ真っ直ぐに進むだけのダイに対し、能力研究の最先端を行っていた武久重工の影も形見えない事に落胆しながらも先程と同じようにゴリラに姿を変え、その圧倒的な力でねじ伏せるために右ストレートをダイに向けて放った。


 「俺はどっかのバカと違って学ぶんだよ!そう何度も喰らうかよぉ!」


 迫り来る右ストレートをスライディングで交わしながらダイはチキンに向けて剣を突き刺そうとした。

 

 「無駄だ」

 「あぁ!?がはっ!」

 「ダイ殿!?」


 剣があと少しで届くという所でだった。突き刺そうとしていた筈の自分の方が何故かいきなり全身を突き刺されており、ダイは全身から血を流しながら倒れた。


 「ハリネズミだバカめ!この俺に勝てると思ったのか!?俺は長年、ある研究と同時に自身のnoiseの研究も行ってきた。貴様がnoiseを複数持つ事によって臨機応変に対応できるようになったのと同じように私自身もこのnoiseを拡張し続けてきたのだよ!!」


 チキンのnoise、"動物(アニマル)"は本来、鳥にのみ変身出来るというものだった。しかし、チキンは科学者である事からも自分の能力に関しても絶えず、研究を行ってきた。

 その結果、チキンのnoiseは更に陸海に生息する動物の力さえも手に入れる事ができるようになった。


 「貴様など、借り物の力に酔いしれ能力の向上を怠った負け犬よ!さて、クール様に私が一人倒したと報告を、」


 クールに電話をしようとした瞬間、チキンの脳裏にある疑問が生じた。

 簡単にやられすぎている。しかもあの男はデュアルアビリティと言った。それはつまりnoiseの複数使用をしているということではないのか?だとすれば奴はまだ!?


 「生きてんだなぁこれがよ」

 「・・・しぶとさはゴキブリということか」

 「ハッ!テメェと一緒にすんじゃねぇよ。俺はれっきとした人間なんだよ。それよりも早く何か生命力が高い生物に変身しとけよそろそろだぜ?」

 「?」


 その瞬間、チキンの全身に針で串刺しにされるような痛みが走った。更にそれと同時に身体中に穴が開き始め、そこから血が吹き出した。


 「がっ!がぁぁぁ!?」

 「な、何が起きたでござるか??」


 起き上がったダイに駆け寄った砕蔵は突然、血しぶきを飛ばしながら叫び、倒れたチキンを見て不思議に思った。

 

 「ばがっ!ばがな!?き、貴様何をした!」

 「簡単だ。これが反射と不死を同時に使用した時の俺の能力ってだけだ」

 「ぐっ、ぐぅぅぅぅぅ!」


 チキンは直前にダイから言われ通り、全世界でもっとも生命力が高い動物、クマムシへと姿を変え何とか生き延びていた。


 「お、おぇっでござる・・・何でござるかアレ」

 「クマムシって動物だよ」

 「くぞぉ!」

 「無駄だ」


 今までの反射はただ相手に跳ね返すだけで確実性がなかった。

 だが今の反射は俺が受けたダメージや傷を全てそっくりそのまま相手に返す。回避不可の絶対攻撃となっている。・・・原理はよくわかんねぇけど。

 もちろん、不死身の力もある俺だけは直ぐに治る。

 

 「悪りぃな、これ使って負けたことはねぇんだよ」

 「ッ、まだまだぁ!私はいや俺は負けるわけには行かないんだ!クール様の為にも俺は負けるわけには行かないんだ!ゾウ!」


 チキンは今度はゾウにその姿を変え、ダイと砕蔵の二人を押し潰す為、両前足を繰り出した。

 

 「んな事やったらお前がぐちゃぐちゃになるだけだぜ?」


 クマムシの力で何とか生き延びたチキンであったが、それでも既に多くの血を流し過ぎており、満身創痍であった。しかし、そんな中でもチキンは状況判断が出来なくなる事はなかった。

 ダイに当たる寸前、チキンは自身の姿を蛇へと変化させ砕蔵の体へと絡めついた。


 「動くな!いいか?この蛇はナイリクタイパンと言って人を死に至らしめる程、強力な毒を持っている!もし少しでも動いた瞬間、この男に噛み付くぞ!」

 「いいよ」

 「は?」

 「ダイ殿!?」


 何故、俺が男を守る為にそんな言うことを聞かなければならないんだ。女が人質になっているならともかく、古臭い忍者に俺の命は預けた覚えはない。


 「ほら噛めよ。その瞬間にお前の息の根も止めてやるよ」

 「ダダダダダイ殿!?せ、拙者のき、聞き間違いでござるか!??」

 「いやあってるぜ?俺は別に人を守りたいとか思ってないし」


 そう言ったダイは砕蔵の事などお構いなく、チキンに向けて足を進めていった。


 「ま、まて!ほ、本当にこの毒は危ないんだぞ!」

 「そ、そうでござる!ここはチキン殿の言うとおりにするでござるよ!」

 「知るか。んなことカケルにでも言っとけ」

 「い、嫌でござる!まだ死にたくないでござるぅー!」

 「お前もう死んでるし」

 「あ、そうでござった」

 「し、知らないからな!」

 

 歩みを止めないダイに焦りを感じたチキンは砕蔵の首筋目掛けて噛みつこうとした。

 しかしその瞬間、ダイの手に持っていた剣の一本がそれよりも速くにチキンが変身していた蛇の胴体へと突き刺さった。


 「ぐぁっ!」

 「反射の応用だ。別に俺は自分の武器を反射できないなんて言ってないぜ?」


 反射の力を使いダイは剣を通常の速さよりも速く投げた。一度反射を使わない状態のそれを見ていた筈のチキンは完全に虚をつかれてしまった。

 ダイはそのまま剣が突き刺さったチキンを自分の元まで引っ張り、そのまま首を掴んだ。


 「さて、これで終わりだ」

 

 まるでどっちが悪なのか分からなくなるほどの邪悪な笑みを浮かべているダイを見て砕蔵はそう感じた。


 「最後に言い残す言葉でも聞いてやろうか??」

 「ぐっ、うぅぅ、ネ、ネズミ!」


 チキンはネズミへと姿を変えて、ダイの腕から脱出し、急いでこの場から逃げる為に走った。

 しかし、

 

 「土遁"岩石巨人の術"!」

 「おわっ!」


 それを予測していた砕蔵によってコンクリートの床をメキメキと破壊しながらその名の通り、岩石でできた巨人がチキンの逃げ道を塞いだ。


 「き、貴様、何故!?」

 「苦労したでござるよ。コンクリートとやらの下から岩を使うのは」

 「言っただろ?これで終わりだってな」


 チキンの背後に立ったダイはネズミに変身しているチキンを掴み上げ、そのまま上空に投げた。


 「あばよ」

 「く、くそぉぉぉぉぉ!!クール様ァァァァ!!」


 ダイの手に持つ二つの剣によって斬り裂かれ、チキンは変身が解除されそのまま落下していった。

 

 「やりましたなぁ!ダイ殿ぉー!」

 「当たり前だ、この程度俺のッ!?!」

 「死ねごらぁぁぁ!!!」


 手を振りながら近づいてきた砕蔵は勢いよくダイを殴り飛ばした。


 「い、いきなり何すんだ!ぶちのめすぞ!?」

 「ダイ殿こそ!よくも見捨てようとしたな!このクズ!」

 「あぁ!?捕まるお前が悪いんだろうが!!」


 二人が口喧嘩をしている頃、チキンは朦朧とする意識の中で、学生時代のことを思い出していた。

 学生の頃、チキンは虐められていた。しかし、その時に出会った少年、クールによってチキンは救われた。

 そしてその時、チキンはクールにとあるお願いを受けた。


 「大切な人を蘇らせたい。その為にお前の力を貸してくれ」


 死んだ筈の人を妹の力と科学の力で蘇らせる。クールは当初、そう話していた。

 しかし、ある時からクールは変わった。そんなクールの命で大切な人を蘇らせる研究は過去に生きた英雄達を兵器として運用する計画へと変わった。

 その計画もつい最近、目の前で喧嘩している奴らによって頓挫してしまった。


 「クール様・・・」


 研究所の天井を眺め、チキンはある事を思いついた。


 「くっ、お、おい貴様ら・・・」

 「あ?まだ生きてたのか?」

 「は、話が、ある・・・」


 チキンの真剣な眼差しを見たダイは少し驚いた。この場所で戦い始めた時から今の今までチキンには何故か覇気が感じられなかった。

 だが、今はどうだ。先程までとは違い何かを覚悟したような眼差しでこちらを見つめてくる。


 「何を言っておるのだ!貴殿は敵だ!ダイ殿、トドメを!」

 「黙れ、話せ」

 「ダイ殿!?」

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