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第61話 戌の十二司支

 仮面をつけているから分からないが恐らくめちゃくちゃ嫌な笑みを浮かべているであろうこいつは未だ縄に縛られたままだった。


 「お前何か知ってんだろ」

 「ええ。勿論、教えてあげてもいいですがまずは、ね?」


 男は縄をチラチラ見ながらカケルに話しかけて来た。カケルはここから抜け出すにはこの男の力が必要だと考え、仕方なくその縄を解いた。


 「いやぁー!助かりましたよ」

 「それで出口とっとと教えろよ」

 「まぁまぁ落ち着いて下さい。その前にお礼としてお紅茶でもいかがです?」

 「いらねーよ。早く教えろ行くぞ」


 そもそもな話、俺紅茶飲めないし。そんなゆっくりする時間も勿論ない。

 俺は男に背を向け、壁に向かって歩き出した。


 「そうですか?・・・では」

 「ん?おわっ!!?」


 突然黙った男をおかしく思ったカケルは、後ろを見てみるといつの間にか手にしていた錫杖を使って男が殴りかかって来ていた。

 後ろに飛び、避けたカケルは男が錫杖で地面を破壊しているのに目を疑った。


 「お前そんな棒切れでよく壊せたな、、っと違う!いきなり何すんだよ!!」

 「だって、紅茶断ったしいいのかなって」

 「ふざけんな!後ろから狙うとか卑怯じゃねーか!!」


 ギャーギャーと騒ぐカケラに対し、男は特に何とも思っていないのかそれを無視して紅茶を飲んでいた。


 「つか、何で錫杖に紅茶?合わねーよ」

 「仕方ないじゃありませんか。生まれと好きなものは直結しないものですよ」

 「それはそうか」


 まぁ確かに金持ちに生まれた奴が駄菓子好きだったりとかのパターンは良くある。

 じゃあこの男もそうゆう事なのだろうか?


 「いや今関係なくね?」

 「ええ、勿論その通りですよ!」


 間合いをいつの間にか詰められていたカケルは錫杖による攻撃を受け止め、男と対峙した。


 「またいきなりかよ。卑怯じゃねーか?」

 「はっはっはっ私一応悪役なので」


 カケルは錫杖ごと男を投げ飛ばし、今度はカケルが男にめがけて殴りかかった。

 しかし、容易く避けられ、腕を掴まれたカケルはそのまま男に紅茶が置いてある机の方へ受け流されてしまった。


 「いてて、テメェ」

 「そうカッカしないで下さいよ。私だって本当なら戦いたくないんですよ?こう見えて平和主義者ですしね?」

 「嘘つくんじゃねーよ。お前はどっちかというと人がミスしたりバカやらかしたりするのを遠目で見てニヤニヤするタイプだろ!」


 意外と的を当てるかもしれないと男は少し喜びを覚えながら感心していた。


 「おっと、忘れていました。私は戌の十二司支、名は・・・そうですね」


  男は何かを思いついたのか、つけていた仮面を取り外しメガネをかけた。

 露わになった素顔はまさしく優男という言葉が似合うような素顔に髪型を七三分けにした男性だった。

 


 「メガネとでも呼んで下さい」


 男はそう言って笑みをこぼした。

 ここ言うのも何だが、見た目はスーツを着て街中を歩いていたら振り返ることもないその他大勢に入りそうな感じだった。


 「自己紹介どうも、俺はカケルって言うよろしく」

 「カケル?・・・カケル、貴方が?」

 「?、そうだが何だよ」


 メガネと名乗った男はまるで俺の事を知っているかの様に名前を繰り返し驚いていた。


 「お一つだけ、お聞きしてもよろしいですか?」

 「何だよ?」

 「あなたつい最近どこにいらしてました?」

 

 何故、いきなり?と思ったが別に隠す様なことでもないので正直に答えることにした。


 「監獄で捕まってたんだよ」

 「・・・なるほど、それで無駄なプロセスが増えるだけで物語が動いてなかったのですね」

 「はぁ?お前さっきから何言ってんだよ??」

 「こちらの話ですよ。さて、貴方が本当にカケル君なのかどうか、確かめさせてもらいましょうか」


 途端、メガネの纏う空気はおちゃらけた空気から緊張感のある空気へと変わった。

 更にそれと同時に動き、錫杖を振るうこの男の動きも先程までの何処か余力を残している動きとはまるで違う、持つ場所を自在に変え、的確に尚且つ素早くこちらを攻撃してくる。


 「いてっ、いてっ、いてって言ってんだろうが!」


 錫杖による攻撃はそこまで強力ではないが、痛いものは痛い。やり返しだと言わんばかりに拳を振るったがそれは見事なまでに受け流され錫杖の先端による喉への突きをモロに喰らった。


 「ぐえっ、痛っ、」

 「ふー、この程度ですか?」


 喉に攻撃を喰らったカケルは上手く喋ることもできず思わず膝をついた。

 

 「まだまだですねぇ〜。あなたはこの先、もっと強い方々を相手取らなければいけないんですよ?その程度では話になりませんよ?」

 「ぐっ、ほ、ほっとけ!」


 何で今日初めて知り合った男にこんな説教を受けなければならないのか意味わからないが、それは別としてこの男は強い。

 今までもリーチがある相手とは何回か戦って来たことはあったが、大体は力押しで勝てて来た。

 しかしこの男は違う。俺の力があいつに向かうことなく流されてしまう。

 更にはあの錫杖だ。刀や剣とは違いどの部分でも持てる。それが更にあいつの動きを広がらせる。


 「最初の印象とは真逆だ。あんた強いな」

 「それは素直に受け止めましょうありがとう」


 だいぶ喉の痛みも引いて来た。しかし、今のままでは同じ結果になる。

 カケルは周囲を見渡し、先程紅茶が置いてあった机と椅子を見てそこまで足を運んだ。


 「何をするおつもりで?」

 「こうするんだよ!おら、いけ!」


 手にした机の台と脚の繋ぎを壊して、その台をメガネに向かってカケルは投げ飛ばした。

 

 「何かと思ったら、、」


 メガネは回転しながら飛んできた台を自分の右腕から肩に持っていき、そして左腕へと流してそのままカケルへと返却した。

 

 「ぶっ飛べ!」

 「ッ何!?」


 しかし、既に自分に近付いていたカケルはその台を右手で掴み、そのままメガネの顔へとぶつけた。

 台はメキメキと言いながら壊れ、更にカケルは追い討ちをかける様に台をぶつけられたメガネの顔へ拳をぶつけた。


 「がはっ!」


 メガネは受け流す暇もなく、そのまま縦に回転しながら壁に激突した。


 「どうだ!名付けて台車輪パンチだ!」

 「ッ、なるほど、思考回路は子供のそれと言うわけですか」


 七三分けにした髪の毛をかきあげながら、メガネはカケルを見て顔を赤らめながらそう呟いた。

 それを見たカケルは背筋がゾワリとし、思わず一歩後ろへ下がった。


 「お、お前なんか気持ち悪いぞ」

 「おや?そうですか?それは失礼いたしました。さて、貴方の実力はこれで大体把握しました」


 メガネは服についた汚れをはらいながら立ち上がり、カケルを見て微笑んだ。

 そして自分がぶつかった壁を錫杖で小突き砕いた。


 「ではお通りください」


 砕かれた壁の先には長い通路が存在しており、カケルは何かを企んでいるのかと警戒したが、メガネからはそんな感じがないことに戸惑った。


 「何のつもりだよ・・・」

 「つもりも何も私は単純に先に進ませないといけないんですよ。貴方は動力源、進行役なんですよ」

 「はぁ?」


 動力源?進行役?一体全体この男は何を言っているのだろうか。いや出会った時から終始よく分からない男ではあったが更によく分からなくなった。


 「どうやら、まだ自覚はないようですがね。まぁいずれ分かる時が来るかもしれません」

 「いや今教えろよ・・・」

 「それよりもほら、早くいかないとクールさんが妹さんの力使って世界滅ぼしちゃいますよ?まだ機械に必要なエネルギーが足りてないようですから急いでください」

 「機械??」

 「ええ。クールさんは妹さんの力を増幅させる装置を作ってたんですよ」


 えんなんたらからの情報にはなかった奴だ。


 「それ詳しく教えろ。お前らの仲間のえんたらみたいな奴は言ってなかった」

 「構いませんよ?」


 聞いといてなんだが、こいつは仲間意識というものがないのだろうか?


 「クールさんは妹さんの力を増幅させる装置をこの地下に作っていられるんですよ。あなたも知っているでしょう?電磁塔、あれから電力を一部奪ってその装置にいた溜めている状態です」

 「聞いといてなんなんだけどさお前、敵なんじゃないのかよ」


 メガネはカケルの問いに対して、ニコリと笑顔を向けるだけだった。


 「ま、いっかありがとな」


 疑いながらもカケルはメガネから聞いた話が本当ならばまずい事になると考え先に進む事に決め、その道を真っ直ぐに進んで行った。

 カケルの姿が見えなくなった後、メガネはポケットからスマホを取り出し、誰かに連絡を取った。


 「あ、もしもし私です。貴方の親友です。会いましたよ例の少年と」

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