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第57話 この街は

 目を覚ました時、私は牢獄の様な場所、とゆうか牢獄にいた。


 「ここは・・・?」

 「おはようございます。目が覚めた様ですね」

 「あなた、は?」


 声がした方に振り返るとそこには銀髪ロングで白い瞳を持った少女が同じく捕えられていた。

 見た感じ、私よりも少し年上くらいで、端正な顔立ちは見る人を魅了する美しさがあった。


 「私の名前はイリスと申します」

 「あ、わ、私は青って言います。それでここってどこですか??」


 周囲を見渡しても灯りは蝋燭で灯されており、壁や床はまるで土の様だった。

 

 「申し訳ございません。私も気を失っている間にいつの間にかここに連れてこられて来たのでよく分からなくて」

 「イリスさんは何故ここに?」


 私がここにいるのは恐らく兄さんの計画に利用する為何だろうが、彼女がここにいる意味が分からなかった。美人だからだろうか??


 「私は恐らく父が関係しているのかなって」

 「お父さん??」

 「はい。私の父は現内閣総理大臣の宗一郎なんです」

 「え!?えーーー!!!」


 現内閣総理大臣の娘!?

 なるほど彼女がここにいる理由が分かった気がする。兄さんは彼女を脅しの道具としたわけだ。

 つまり彼女がここにいると言うことは政府は兄さんの手に落ちた可能性が高い。


 「あ、でもあまり畏まらないで下さいね?私自身がそうゆうの苦手で」

 「え、えー、頑張ります!」

 「ふふっ、ありがとうございます。ついでに敬語も辞めて、呼び方もイリスでいいですよ?」

 「え、えーんーじゃあ私も青でいいよ」



 謎に奇妙な友情関係が結ばれちゃった・・・。それにしてもこの人はこんな状況になっても余裕というか焦る感じが全く見えないな。


 「あ、あのこ、怖くないの?」

 「んーそうですね。確かに怖いですけど、きっと助けは来てくれるので、少なくとも私はそう信じています」

 「強いんだねイリスは」


 私はそんな風には考えられない。兄さんは子供の頃から他の人の追随を許さない圧倒的な魔法の才能を持っていた。

 現に私の友人達はその力の前になす術なく倒れて行った。私自身もそうだ。無惨にも兄さんの魔法によって死んでいく友人達を見ている事しかできなかった。


 「ごめんね、葵ちゃん、ハヤテ・・・」

 「・・・何かあったのですか?」

 「えっと・・・」

 「話してみて下さい。少しは楽になるかもしれませんよ?」


 私はイリスに今まで会ったことを話した。そしてここにイリスが連れて来られたことも全て私の所為なのだと全て話した。


 「だから、ごめんなさい・・・全部、全部私の所為なの・・・」

 「そんな事はありませんよ?」


 イリスは私の手を握ってそう答えた。

 彼女の握る手はとても温かく心地よい気持ちになるほどだった。

 

 「あなたのじゃありませんよ。それにあなたのお友達もきっと大丈夫です。この街の人達はそう簡単にやられたりはしません」

 「でも、でも!」

 「大丈夫。きっと大丈夫ですよ」


 決して根拠はない。それでも・・・それでも今の私にとってはこの言葉は何よりも、何よりも有り難かった。


 「あのーそろそろいいっすかね?」

 「まぁまぁもう少し待って下さいよ。女性同士の絡み合い素晴らしいじゃないですか!!」

 「誰ですか?」


 私達が檻の前を見るとそこにはお祭りで売っている様な子供サイズの仮面をつけた男性と髪の毛を逆立てて、黄色い棒を肩にかついだ男性が立っていた。

 さらにその床には二名の男性が横たわっていた。


 「全く猿條さんが声出したせいで気がつかれちゃったじゃないですか!!」

 「いやいや女性同士とか何がいいんすか。どうせなら俺が相手した方が」

 「あの・・・どなたなのかを教えていただきたいのですが・・・」


 イリスはよく分からない二人組が来た中でも冷静に彼らの素性を知るために質問を繰り返した。


 「おっとこれは失礼。総理のご氏族様にお見苦しいところを。私の名前は、そうですねフィクサーとでも呼んで下さい」

 「うえ、何すかそれ?全く・・・さて俺っすね!俺の名前は猿條沸(えんじょうたぎる)!念力のnoiseを持つ、200万人の登録者を持つNouTuberっす!」

 「そうなんですか。私の名前はイリスと申します」

 「青と言います」


 何とも、何というか頭が少しアレな感じの人達だなという印象だった。本当に兄さんの仲間なのだろうか・・・。


 「あ、自己紹介してる場合じゃなかった。えーと青さんっすね?クールさんが呼んでこいって」

 「兄さんが・・・」


 いよいよ始まるのだろう。兄さんがやろうとしている事が・・・。

 その前にもし私が死ねばそれを止められるだろうか?今ならそれが出来る。いや本当はもっと早くに、あの時、兄さんじゃなくて私自身をこの力を使っていたら・・・。


 「ダメですよ」

 「えっ?」


 私の考えを読んだのかイリスさんは私の目を見て真剣に答えた。


 「あの」

 「貴方の事を思って命をかけて救おうとしている人達がいるのに、その命を貴方が投げ出す事は絶対に許しません」

 「でも、」

 「大丈夫です。この街の人達は強い、この方々が何をしようとしているのかは分かりませんが、きっと貴方を助けてくれます。だから諦めないですださい」

 「あのーいい話してるところ悪いんすけど・・・そろそろ連れて行っていいすかね?怒られそうで」

 

 牢の鍵を開け、入って来た猿條と名乗った男性は私を持ち上げた。そしてそれと同時に転がされていた二人の男性が入れ替わりで牢に入れられた。


 「!?、お父さん!?」

 「ッ、い、リスか?」

 「しばらくは感動の再会を楽しんでいて下さいね?・・・すぐにここは荒れますから」


 そんな言葉を言い残して現れた二人は私を連れて牢獄を後にした。


 ーー

 

 「連れて来たか?」

 「うっす!」

 「兄さん・・・」


 連れて来られた場所には何かの大きな装置が設置された部屋だった。


 「よく来たな青。さて、早速だがあの装置の中に入ってもらう」

 「何なのアレ」

 「簡単な装置だよ。アレはお前の持つ力を増幅させる役割を持っている。それだけだ」


 私の力。この力を利用して、争い合う世界を平和な世界へと導く。それが昔、兄さんが私に話してくれた計画と言うものだった。

 だが、今ならわかる。私の力は更なる争いを作り出す事しか出来ない。


 「お前の考えている事はわかる。確かにお前の力は危険なものだ。使えばより激しい争いが生まれるだけだろうな」

 「なら、こんな計画!」

 「ああ。だから無くすんだよ。お前の力を使えばそれが可能だ」

 「え?」


 無くす?どうゆう事なのか理解するまで私は少しかかった。しかし、兄さんが次に発した言葉に驚愕した。


 「お前の力を使って国そのものを滅ぼすんだよ。そうしたら俺達から母さんを奪ったこの世界にも、俺達を駒としか思っていないあの父親も全部壊せるだろ?」

 「そんなの狂ってる。私はそんなの望んでない!」

 「お前はまだ子供だ。世間を、いや世界を知らなすぎる。お前は兄である俺に全てを任せればいいんだ」


 いつからこうなってしまったのだろうか。お母さんが死んだ時からなのか、それとも父さんが私達を捨てた時なのか、かつての兄さんは確かに今とそんなに変わらない性格ではあったが、確かな優しさを持っていた。

 なのに今の兄さんからはそんなもの微塵も感じなかった。まるで憎悪に取り憑かれたかの様だった。


 「あ、あのー俺、世界滅ぼすとか聞いてないんすけど・・・」


 クールと青の会話に聞いていた猿條はフィクサーと名乗った男性に小声でそう話した。


 「あら、猿條さんのことクール様忘れてますねぇ。これは内密にお願いしますね?」

 「え?メ、フィクサーさん知ってたんすか?!」

 「クール様どうしますか?消しますか?」

 「え?い、いや俺誰にも言わないすよ!?クールさんに付き従うんでこ、殺さないで!?」

 「・・・いいだろう。ただし、他の誰かに言えばお前の命はない。いいな?」


 仲間内でも兄さんの計画を知っている人と知らない人がいるの?


 「何で、話さないの?兄さんの計画・・・」

 「お前はただ黙ってこの装置に入れ」

 「ちょっ!?」


 私は抵抗する暇もなく、変なカプセル型の装置の中に入れられ閉じ込められてしまった。


 「ちょっと!兄さん!開けてよ!何これ!?」

 「少し眠っていろ」

 「え?」


 カプセル内に紫色の煙が噴射され私はそれを吸ってしまい、そのまま眠りについてしまった。


 「手のかかる奴だ」

 「可愛い妹さんじゃないですか」

 「黙れ。さて、これでようやく計画を進められ、」

 「失礼しっまーす。クール様ぁ何かぁ侵入者的な感じの人きたらしいよ」

 「何?」

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