第54話 明かされる真実
「これは何なんだ・・・それにここはどこなんだ」
「落ち着けよおっさん。ここは地下っすよ」
「あっはは!ビビりまくっててまじウケる!」
転送されたその先には四つの太いチューブの様なものが人一人が丁度入るであろうカプセルに繋げられている巨大な装置があった。
更に後ろからの声に宗一郎が振り返るとそこには欠席していた筈の十二司支までもがいた。
「君達まで・・・」
「彼らは元々、この計画の為に俺がスカウトしたのです。裏切るのは必然ですよ宗一郎総理?」
「クール君、君は一体何をしようとしているんだ!それにあの時の魔法陣は明らかに、」
「ええ。あなたの想像通り魔法ですよ?」
そう、あれは明らかに魔法であった。
日本政府が徹底的に世界情勢を隠しているのはその魔法が原因の一つとなっている。
魔法は今現在、魔術王と名乗る存在が頂点とした魔法社会が国として存在している。だが、それは持たざる存在からすれば地獄の様な場所でもある。
もし、日本に魔法が伝えられ広まる事などがあれば、恐らく一瞬にして日本は魔術王の手に堕ちる。
だから日本が一つになっていないこの現状で世界を相手取るのは無理だと判断した。
「ある意味で貴方のやった事は正しいでしょうね。だが残念、日本はそのせいで圧倒的情弱の国へと変化していった」
「それは分かっている。だが!今の日本では強大な力を持つ世界には立ち向かう事は出来ない!」
魔法だけではない。今現在の日本以外の国ではnoiseを持つ者達の軍事利用や彼の者によってもたらされた生態系の変化さえも利用している国だってある。
日本が東と西でいがみ合っている時でも世界中では次々と新たな発見と進化が起きている。
「だからこそ、俺が導くんだよ。これがあればそれができる」
装置を触って彼はそう答えた。
アレが一体何なのか私には分からなかったが何か取り返しのつかない事をしてしまう、そんな気がしてならなかった。
「さて、貴方の出番はまだ先ですから、そろそろ牢獄に入ってて貰いましょうかね」
ーー
監獄の壁を破壊して現れた無影と九条の二人によって連れ出されたカケルとダイは無影の家にまで足を運んだ。
家はかなり荒らされており、驚いたカケルは無影に事情を描こうとした。
しかし無影はこの事についても後で話すといいそのまま武道場へと歩いて行った。
「さて、この下じゃ」
「どこ繋がってんの??」
「いいから入れ」
「ありゃ!?ふっざけんな九条ぉぉぉーーー!」
無影が道場の床に造られていた隠し通路を開け、カケルがそこを覗き込んでいると九条によって蹴り落とされていった。
隠し通路を抜けた先は人が五人ほどなら入れるくらいのスペースの部屋が設置されていた。
更にその壁には写真や何かの地図が張り巡らされていた。
「・・・んだよここ」
「ほっほっ、見ての通りの秘密基地じゃよ」
「そら見たらわかんだよ。これだよこれ」
カケルは壁に貼ってあった写真の一枚を取り、無影に見せた。
「これは天辰の奴が捜査しておった、まぁ政府の裏側という奴じゃよ」
「政府の裏側??」
「天辰の奴めが言うには最近、政府役人の一部できな臭い動きがあったそうでの、天辰は一人でそれを探っておったんじゃ。その結果がああなんじゃがな」
「その結果??天辰のおっさんに何かあったのか?」
カケルとダイは刑務所にいる間の事を知らない。九条と無影の二人は二人に天辰が死んでしまった事を伝えた。
「あの人が死んだ?おいおいマジかよ・・・」
「別にどうでもいい話なんだがよ、俺その人全く知らないんだけど」
「何でそんな事が起きてんだよ、てか九条!テメェ、何で俺たちを捕まえたんだ!」
「お、そうだった。何でだよ九条ちゃん!!」
監獄にいた関係で未だ全ての事情を把握できていない二人は無影と自分達を無実の罪で捕らえ、監獄送りにした九条の二人に説明を求めた。
「わしから全てを話そう。事の始まりは天辰があの日、やってきた所から始まったのじゃ」
「「あの日?」」
「カケル君は知っておるじゃろ?共にこちらへ帰ってきておるしの」
「ああ、はいはい」
「あ?」
「後で話してやるよ」
カケルはあの日、天辰とハヤテと戦った後、ここで目を覚まし、風呂上がりの天辰と出会った事を思い出した。
「天辰は政府の連中に不穏な動きがある事を知り、一人で動いておったんじゃ。そして、そこで手に入れた情報に主らの名前があった」
「「何で??」」
何故、自分達が政府に目をつけられているのかが理解できなかった。確かにカケルは色々とグレーな事をしてきた事もあったが、政府に目をつけられるほどの事はしていない。・・・筈だ。
「何で俺達が!?」
「正確にいうのなら政府内で不穏な動きを見せておった敵にじゃな。そこでわしはどこかのタイミングで主らを時が来るまで監獄に入れておこうと考えたんじゃが、どうやら向こうも同じ事を考えていたらしいのぉ」
「そこで私の登場だ」
無影の話に突然、タバコを吸い終えた九条が割って入ってきた。
「あ、そうじゃん。九条ちゃんとじじぃって知り合いなのか??」
「ああ、無影殿とは顔見知りで連絡を少し前にもらってな。私がお前達を適当な罪で捕まえるつもりだったんだが、上からの命令が同時に来てな、そこで無影殿と相談してそのまま敵の作戦に乗っかる事にしたんだ」
「なるほどな。てかよじじぃ、その敵って何なんだよ」
「それはまだわしも分からなくてのぉ。天辰の奴、恐らく知った直後にやられてしまったらしくての」
敵も分からなければ動きようがない。どうしたものかと考え込んでいた無影の元へ今朝方、政府の役人が警察を引き連れて自身の元へやってきたらしい。
そこで無影は九条と連絡を取り、不穏な動きを見せていた奴らが動き出した事を知り、二人を監獄から脱出させたと言う。
「そもそも何で俺とダイが狙われたんだよ」
「主ら、以前政府と何か関わりはなかったかの?」
カケルとダイの二人は顔を見合わせ、以前関わったことがあったのかを思い出して見ることにした。
ダイは少し考えた後、九条を見て思い出した。自分自身の環境が変化したきっかけであったあの事件を思い出した。
「イリスちゃんの時か?」
「あ、そういえば俺達あん時、総理に殴りかかろうとしてたよな・・・アレか??」
「目をつけられたのはそれだったと私と無影殿は考えている。あの時の電磁塔を占拠した男達も今思えば、恐らく政府側の誰かの手引きだったのかも知れないな」
「んじゃあ誰の手引きってんだよ」
「そこなんじゃよね。天辰の残された資料を色々探しているんじゃが、ん?電話じゃすまんの」
無影はスマホの着信に気がつき、部屋を一旦出ることにした。その間、残された三人は犯人を考えて見ることにした。
「てかよ、そもそも犯人って言ってもよそいつは何をやろうと考えてるんだよ?」
「「知らん」」
「あーダメだこりゃ」
カケルは頭をかいて、呆れ果てた。そもそも自分達にとって政府が何しようが他人事だ。
ダイと共に帰るとするかと思っていた矢先だった。無影が通話が終わって帰ってきた。しかし、その表情は先程までと打って変わって深刻な顔つきだった。
「カケル君、ダイ君。ぬしらに謝らなければいかぬ事が出来た」
「「何?」」
「共に病院にきてくれぬか?」




