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第47話 裏切り

 廃病院を出た後、直ぐに警察に連絡をして赤服女は逮捕された。

 捕まっていた女の人達は救急車に運ばれていき、あいつ(優希)もその中の一人である自身の姉の付き添いで病院へといった。


 「ふっー、全く今日日の子供達は正義の味方ごっこでもしているのか?」


 警察の筈なのにタバコを吸っている女刑事は俺達に事情聴取を行っていた。

 俺達は今回の赤服女の件を正直に話、女刑事、九条と呼ばれていたその女性はため息を吐きながら呆れていた。


 「それにしても赤服女か・・・何故もっと早くに警察に誰もその話をしてこなかったんだ?」

 「え?警察に誰も連絡してなかったんですか??」

 「されていたらもっと早くに動いているに決まっているだろ」


 ・・・あの時、優希は警察に連絡をしたと話していた筈だ。


 「あ、あの少しい、いいですか?ず、ずっと疑問に思ってたんですけど、優希君は中学生だったんですね」

 「あれ?そういえばそうだよね」


 確かに、俺達は優希の背が自分達よりも小さいという理由からあいつを小学生だと考えていた。

 しかし、よく考えてみれば優希はそんな事一言も言っておらず、俺達も赤服女に追われてそれどころじゃなかった。


 「・・・少し聞きたいんだが」

 「ん?私にか?何だ」


 あの時、手術室に足を運んでからずっと気になっていた事が一つあった。


 「赤服女の被害者はどれだけいるんだ?」

 「少し待ってろ。今確認してやる」


 そういった女刑事は少し俺達から距離を置いてからスマホで何処かに連絡をし始めた。


 「あと青、赤服女の噂はいつからか分かるか?」

 「え?えーと・・・数週間前くらいからだったと思うよ?」

 「そうか」

 「ハヤテなんでそんな事いきなり聞くの?」

 「手術室の壁だ」


 手術室にはどう考えても手術では飛び散らない量の血が壁や床に飛び散っていた。あそこは何か別の用途で使われていたとも考えられるが・・・。


 「待たせたな」


 女刑事はこちらの予想よりも早くに戻ってきた。


 「被害者だが赤服女にも話を聞き、警察が把握している間近の行方不明者の情報などとも照らし合わせたが、どうやら被害者は今回の子達だけらしい」

 「え?で、でも赤服女の噂は数週間前から」

 「その赤服女だが、警察ではやはり把握していないんだよ」


 青と緑の二人は何が何やらわからず混乱している様子だった。

 そんな二人をよそに俺は師匠にもう一度、連絡を取ることにした。


 「師匠・・・」

 『きな臭いと言った意味がわかったようじゃな』

 「はい。・・・この赤服女、俺達周りでしか噂になってない」

 『うむ。わしもそれを聞いた時は驚いたものじゃ。勿論、主の父絡みではない。あやつなら真っ向から来る』


 師匠の言う通りだ。実際、俺の父親でもあるアーサーアルトグレイアスや俺の兄弟達は日本程度なら直ぐにでも滅ぼせる力を持っている。

 特に長男に関しては父さえも凌ぐ力を持っている。


 「じゃあ誰が何のために・・・」

 『赤服女の噂が広まった頃から、いや主らが知ってから主らの周りで何か変わった事があったではないか?』


 ・・・本当はわかっていた。あいつにあってからずっと、こちらを観察されているような感覚だった。

 

 「青、緑、お前達はその刑事に家まで送ってもらえ」

 「え?ハヤテは?」

 「優希を追いかける」


 そう一言だけ言い残し、ハヤテは車よりも速く走り出した。

 地面を蹴り上げ、家の屋根まで上がり、屋根と屋根を飛び越えながら優希の乗った救急車を追った。


 「見つけた・・・」


 鞘に入った刀の柄を持ち、そのまま救急車の上まで飛び乗ろうとした瞬間だった。


 「それはおやめになった方がいいですよ?」

 「誰だ?」


 後ろからの声に振り返るとそこには奇妙なお面をつけ、錫杖を手に持った男性が立っていた。


 「お初にお目にかかります。私は・・・そうですね、スティーブンとでも名乗っときましょうかね」

 「今忙しいんだ。邪魔するなら斬る」

 「私だって忙しいんですよ?ほら見てくださいよあんな大きな者運ばないといけないんですから」


 親指で後ろを刺していた方を見てみると、人一人が入りそうな黒くて大きな袋がねかされていた。


 「これを運んでいる途中なんですよ私。おっとそろそろ行かないと約束の時間に間に合わないですね。ではさらば〜」

 「逃すと思うのか?」


 この男とは出会って数分も経っていないが、直感がここで始末するべきだと訴えかけている。


 「・・・やめておきなさい。君では私には勝てませんよ。それに戦うとしても場というものがあるでしょう?」


 男は不適な笑みを仮面の下で浮かべながら空中へと浮かび上がった。

 

 「安心してください。もうじきその場は整いますよ。・・・まぁ君が参加するかどうかはまた別問題というやつですけどね?」


 そう一言言い残して、男は暗闇の中へと消えていった。

 何故だかわからないが、最後まで俺はあの男を敵だと認識しながらも、同時に何故か懐かしさのようなものを感じ取っていた。


 「・・・あ、優希」


 車道を見てみると当たり前だが、救急車の姿はすでに無くなっていた。


 「病院に行くしかないか」


 ビルとビルの間を飛び越えながら、一番近くにあった病院へと足を運んだ。

 病院内に入り急いで受付へ救急車で先ほど搬送されてきた人達の場所を聞き出しそこへ向かった。

 二階に上がり、扉を開け部屋に入ると窓を開け外を眺める優希の姿がそこにはあった。


 「ハァ…ハァ…」

 「どうやら分かったんだな」

 「お前が仕組んだのか?」

 「いや俺じゃない。俺はただ計画になってるだけだ」

 「その計画って何だ。答えろ」


 鞘から刀を少しだけ抜き、いつでも変な動きをしたら斬り殺す体制をとり足を進めた。

 

 「それは、」

 「はぁいそこまでぇ」


 優希が口を開いた瞬間、隣のカーテンで覆われたベッドから猫耳と尻尾をつけ、スポーツブラにショーツという際どい格好をした女性が現れた。


 「ゆうちゃんダメって言ったでしょ?いくらお仲間さんだからと言って話していいことと悪い事があるのよ?」

 「やはりお前もグルだったのか」

 「正解。私達はある目的があってね。それであの男を利用してあなた達をおびきだしたの」

 「姉さん・・・話すぎ」

 「あら?そう?まぁいいじゃない。それより、早く戻りましょ?」

 「逃すと思うのか?」


 一瞬で間合いを詰め、優希の姉の喉へ刀を突きつけ、動きを止めた。

 

 「冷静そうな見た目に反して結構激情化なのね。いい事だと思うのだけど、そうね足元は気をつけた方がいいかもしれないわね?」

 「ギャピィィィ!」

 「何だ!?虫だと??」


 優希の姉が一言そう言うと突如、地面を壊しながらノミのような巨大な虫が五体、ハヤテの周りを囲うようにして襲いかかってきた。


 「くっ!舐めるなっ!!!」


 ハヤテはノミのような生物をたった一太刀で全て斬り裂き、直ぐに外へと出て二人を追おうとしたが既にそこには二人の姿はなかった。

 辺りの気配を探っても優希らしき気配は全くしなく、完全に巻かれたことを悟った。


 「チッ、逃げたか。それにしてもあいつらは何でこんな事をしたんだ?」


 抜いた刀をしまいハヤテは青達の元に戻る傍らその事を考えながらその場を後にした。

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