第44話 赤服女
「話してもらうぞ」
「・・・」
放課後、あの戦いの後に縛り付けて青が生徒会長から借り受けた生徒会室にて大人しくさせたあいつの元へ俺と青、緑、葵の四人は足を運んだ。
「何でこんなことした。後お前もnoiseを持っていたのか」
「・・・そんなことよりそっちの女は?」
「私は葵」
「私達のお友達だよ!!!」
「なるほど仲間か」
やはり何故だが分からないがこいつは苦手だ。どうもこちらを値踏みしているかの様な感じで接してきている。
「そんな事はどうでもいいだろう。いいから何でこんなことしたのか話せ」
「あんたの力を確認しておきたかった。本当に姉さんを助ける力があるかどうかをな」
「・・・嘘はついてないよ」
嘘を見抜くnoiseを持つ葵がそう言うと青と緑、ハヤテの三人は一先ず優希の言葉を信じる事にした。
「そ、それにしても僕らよりも背が低いのに何かデカく見えませんでしたか?」
「あ!確かに確かに」
そう言われてみればそうだ。確かに先程闘っていた時は俺より少し高いくらいだった。
しかし、今は昨晩あった時と変わらない身長となっており今あいつを除いて一番背が低いこいつよりも少し低いくらいになっている。
となると・・・
「・・・お前が持つnoiseである身体強化の影響か?」
「違う・・・これは魔術だよ」
「魔術?」
魔術と答えた優希はこちらに向かって無造作に先程まで来ていたローブを投げ渡した。
一見するとやはりただの何の変哲もないローブであり、遂に俺までからかわれ始めたのかと思い刀を抜こうとした時だった。
「待ってハヤテ・・・多分この子嘘ついてないよ」
「青?」
抜こうとした刀を押さえつけ青が俺と優希の間に割って入ってきた。
「これをどこで手に入れたの?」
「さぁな姉が持っていた物だ」
「・・・」
「青?」
「えっ?・・・あっ!ごめんごめん余りにも珍しいローブだったからさ思わず見入っちゃって」
深く考え込んでいた青はハヤテに顔を覗かれハッと我に返りいつもと変わらない笑顔で話し始めた。
「もーとにかくこんな事もうしちゃダメだよ?屋上から落とすなんてハヤテじゃなかったら死んでたからね!」
「いや俺だってゴミ袋が無かったら死んでたよ」
「普通はあっても死ぬ。じゃ、私帰るから」
葵は席を立ちバッグを肩にかけてそのまま教室の扉を開けた。
「あー!葵ちゃーん!」
「ごめん今日の夜ご飯手伝う事になってるから」
そう言ってそのまま扉を閉め葵は教室を後にした。残された三人は優希を縛っていた縄を外して改めて姉の行方を探す事にした。
「お姉さんはいついなくなったの?」
「数日前にアイス買いに行くって言って夜出て行った」
「そっから帰ってないのか」
「うん。アイスの袋が見つかっただけだった」
「じゃあそこ行ってみよ!」
「い、今からですか!?」
「思い立ったが吉日って言うし」
ハヤテと優希は特に何も言う事なく席を立ち、青もそれに続いて歩いて行った。残された緑は震える足を叩いて三人の後を追って行った。
「ここか」
「ここ難波中学の近くだね」
「そこに通ってるからな」
「え、嘘!難中に通ってるの?」
「そんなにすごいのか?」
「難中ってすごい頭良いところなんだよ。知らないの?」
「知るか。とっとと手掛かり探すぞ」
「あー自分から聞いといてー!」
俺たちは早速、何か手掛かりが無いのかを調べ始めた。しかしいややはりと言うか手掛かりは何も得られなかった。
数日も前の事だ当たり前ではあるがな。
「んーやっぱ数日前ならここには手掛かりないんじゃないかなぁ」
「け、警察に連絡とかは?」
「しようと思ったんだが、まともに受け合ってくれなかった」
その時だった、ハヤテのポケットに入っていたスマホが音を鳴らした。ポケットから取り出し画面を見てみると師匠からきており、ハヤテは直ぐにスマホから電話に出た。
「もしもし師匠」
『おぉハヤテか。主から今朝頼まれた赤服女の件、わしの情報網で少し調べ送っておいたぞ』
「本当ですか!?ありがとうございます」
『ほっほっほっ構わんよ。それよりもハヤテよどうもこの赤服女はきな臭い充分気をつけるのだぞ』
「はい」
そう言って俺は電話を切り、師匠から送られてきたデータを開いた。
どうやらあいつの姉の前にも既に五人もの女性が行方不明になっており、その全員の遺体もいまだに見つかっていないという。
そしてその女性全員が難波中学に通う生徒達だった。
「どうやら難波中学に手掛かりがありそうだな」
「え?」
「行方不明者が皆んな難波中学の生徒だ」
「・・・そうだったのか」
手掛かりを掴んだ俺たちは早速、難波中学にまだ足を運ぶ事にした。
こいつが難波中学と言うこともあって学校にはすんなりと入ることができた。
「それでどうするつもりだ?」
「職員室に行って聞く」
「そうだな」
「ちょ、二人とも待ってよー!」
「あ、あの二人似た物同士ですね・・・」
学校に入り直行で職員室に入った俺たちは優希の担任であると言う山田という男に話を聞く事にした。
「優希お前今日どうしたんだ学校休みやがって、あとその子達誰だ?」
「そんなことよりもこの写真の子達知ってるか?」
「ん?可愛い子達だな・・・でこの子達がどうかしたのか?」
「ここ最近学校に来てないだろ」
「えー俺が知るわけないだろ〜俺生徒の名前覚えてないからな。お前だって今日休んで初めて名前知ったしな」
大丈夫なんだろうかこの教師。そこはかとなくダメ教師感が漂っているが・・・
「ねぇ、この人ほんとに大丈夫かな?」
「し、心配ですよね」
「お前達もやっぱそう思うか」
三人で小さな声で話し込んでいるとそれに気がついたのかこちらを向いて声をかけてきた。
「お前達もこの写真の行方探しか?」
「え?あ、はい!」
「そうかぁーんー?お、夏菜子せーんせぇい」
山田先生は車椅子でクルクルと回りながら腕を組み考え込んでいた。その時、ちょうど通りかかった夏菜子と呼ばれる女性に声をかけた。
「何ですか山田先生」
「この子ら知ってる?」
「ん?あら、この子達最近学校来てない子達じゃない」
「し、知ってるんですか?」
「え、ええ勿論。この子達がどうかしたの?」
俺たちはやっと写真の子達へと繋がる人物を見つけ、事情を説明した。
「そうだったのお姉さんが・・・でもごめんなさい。私も実はそんなに知らなくて・・・」
「知ってる事だけでいいから教えろ」
その後、俺たちは職員室を後にした。
夏菜子先生から教えてもらった情報は残念だがそこまで有益な情報は得ることはできなかった。
「やっぱりあの手しかないよ」
「あの手?・・・」
その日の夜、先程も来た道に青は一人で立っていた。周囲には人の気配が一切無くただただ静寂が辺りを支配していた。
そんな場所に青の後ろから赤い服を着て裸足で歩いてくる長い髪の女性が音もなく現れた。
ヒタリ、ヒタリとゆっくり歩きながら青に近づいて行った。
そして青の肩を掴もうとした瞬間だった。
「そこまでだ」
「・・・ゲームセットだな」
塀の上から現れたハヤテと優希を見て掴もうとした腕を止めた。
「お前が赤服女だな」
「・・・確かに赤い」
「やっぱり作戦通りだね!」
あの時、青が出した提案はこうだった自分が囮になるからその間に二人でボコボコにしちゃって!と、どうやら作戦は大成功だったらしい。
後ろを振り返った青は赤服女の正体を知るため足まで届く髪の毛をどかした。
「えっ・・・あなッ!」
「ッ、青!」
髪の毛を掻き分け何かを見た青は驚き、その隙をつかれ腹を殴られ気絶してしまった。
赤服女は直ぐに青を抱え上げ、塀から降りてこちらに手を伸ばして迫るハヤテに向かって手を前に向けた。
「何のつもりッ、いつっ!?」
そしてハヤテと赤服女の手が当たる瞬間、赤服女は腕を後ろに戻した。
その途端、ハヤテは腕に痛みを感じもう片方の手で抑えた。
「・・・大丈夫か?」
「俺のことはいい!速く青を!」
腕の痛みで立ち止まったと同時に逃げ出した赤服女を直ぐに追うように俺は優希に指示を出し追いかけさせた。
そして俺は痛みを感じた腕を見た。
「皮が・・・ない?」




