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第38話 共同戦線

 「んで、協力して戦うのはいいんだけど・・・どうやって倒すよ」

 「あのパワーをまずは封じねばならないか」

 「翻弄する別々の方向に分かれそれぞれで奴を攻撃する」

 「ワガナハァァァァ!」


 真っ直ぐに走り向かってくる柴田勝家を翻弄するために三人はそれぞれ別々の方向に走って逃げた。


 「いくぞ!土遁"石腕の術"」

 「絡新蜘蛛の糸」

 「あ、え、ちょ、技名あるの狡くね!?え、えーとそこら辺の瓦礫投げ!」


 各方向から三人はそれぞれの攻撃を放った。

 砕蔵は大地から作り出した巨大な両腕で殴りつけ、仮面の女は糸を使い病院の瓦礫を柴田勝家に向けて飛ばし、カケルは瓦礫を拾っては人の目では捉えられない速さで投げつけた。


 「グッ、ガァァァァァ!!!」


 柴田勝家はそれらを次々と破壊しながらも三人の怒涛の攻撃により押されて行った。

 そして瓦礫の一つが柴田勝家の腹に直撃した時、一瞬だが怯んだ様子を見せた。


 「おお!行けそうではないか!」

 「いや・・・」

 「ダメだ」


 砕蔵は初めて怯んだ事に喜びを感じ、このまま続ければいけると判断したが、他の二人はこれでもダメだと分かっていた。


 「ワレェェェェェェェェ!」

 「げっ!突っ込んできやがる!?」


 三人からの攻撃を受けながらも柴田勝家は本能的に自分が危険だと感じたカケルに向かって走り出した。

 次々と来る瓦礫を破壊しながら柴田勝家はカケルに殴りかかった。


 「シバタァァァァカツイエェェェェ!」

 「ぐっ!?さっっっきからウルセェんだよ!」

 「もう一度、土遁"石腕の術"」


 術を唱えた砕蔵はカケルの腕に岩を纏わせ、カケルはその腕で柴田勝家を殴りつけた。

 岩は砕かれながらもカケルの拳は柴田勝家の頬を直撃させ。


 「ナリィィィィィィィィィィィィ!」

 「げっ!?」


 それでも柴田勝家は大したダメージが入ってないのかそのままカケルを殴りつけようとした。

 しかし、その腕は仮面の女糸により止められた。その隙にカケルは柴田勝家の懐に潜り込み連続で殴りつけた。


 「オラァァァァ!」

 「ワレハァァァァシバタァァァァ」

 「それはもう分かったって言ってんだろうがッ!!!」


 最後に蹴りを入れて柴田勝家を少し後退させた。


 「うゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 「どうだ!?」

 「少しは効いてんだろ。何せ俺の拳を受けたんだからな」

 「・・・だといいんだがな」

 

 柴田勝家は三人の攻撃を煩わしく感じたのか突然、地面に両手を埋め込んだかと思ったら大地を抉った。

 抉られた大地はまるで津波や雪崩れのようにカケル達三人に差し迫った。


 「なっ!?出鱈目な土遁"堅石防陣の術"」


 砕蔵は直ぐに自分の周りの地面を忍術によって操り盾を作った。直ぐに他の二人にもやろうとした時、砕蔵は今にもこちらを押しつぶさんとする大地が迫る中、カケルがただ真っ直ぐに仮面の女の元へと走っている姿を目撃した。


 「しゃがめ!!!」

 「何をする気だ?」

 「いいから言うとおりにしろ!!」


 仮面の女は不思議がりながらもしゃがみカケルは仮面の女の前に立つと迫り来る大地に向かって拳を握り殴りつけた。

 カケルの拳が迫り来る大地に大きな穴を開け、二人はその穴を抜けた。


 「大丈夫か?」

 「あ、あぁ・・・」

 「お二人共ご無事か!?」

 「無事だよ。それよりもあのバケモンどこ行った?」

 「あれ?そう言えば・・・」


 先程まで三人の前にいた柴田勝家がいつの間にかいなくなっていた事に気がついた三人は周囲を見渡した。しかし柴田勝家の姿はどこにも見当たらなく、三人は一瞬逃げたのではないのかと思考した。

 その一瞬だった・・・狙っていたのかそれとも偶然なのかは三人には分からなかった。一瞬、警戒心を緩めてしまったのだ。

 

 「ワレハシバタ・・・カツイエナリィィィィィィ!」

 「「「!!?」」」


 その瞬間に後ろの地面の中から柴田勝家は現れ両手で突きを繰り出した。

 完全に不意をつかれてしまった三人の中で直ぐに動いたのはカケルだった。元々そこまで考えて戦うタイプでなかったカケルは三人の中でそのおかげか直ぐに動き出せた。


 「ッ?!」

 「下がってろ」


 仮面の女はいきなり襟を引っ張られ後ろに飛ばされた。柴田勝家の両手突きを真っ正面から受け止めようとしたカケルのそんな姿を見て次に動き出したのは砕蔵だった。

 

 「土遁"岩甲護身"」


 砕蔵の術が地面を操りカケルに纏わりついて岩の鎧を作り出した。


 「ワレェェェェ」


 しかし地面を容易く抉ってしまう柴田勝家の両手を同じ地面から作り出した鎧が受け止めれるはずがなく鎧は簡単に砕けてしまった。


 「シバタカツイエナリィィィィィィ!!!」


 岩の鎧を砕いた柴田勝家はこれで一人討ち取ったと考えた。しかしその両手は鎧を砕いただけだった。更にその両手はそのまま地面を突き破り地面にはまってしまった。


 「今だ!土遁"硬化の術"!」


 地面を叩きつけて砕蔵は術を発動した。術を発動した瞬間、柴田勝家の両手が埋まっていた地面が硬くなった。


 「ヌグゥゥゥゥゥゥゥゥ!!?」

 「ぐぅっ!?い、今だ!やれぇ!!!」

 「おう!!!」


 柴田勝家は前を見て困惑した。

 そこには先程、確実に討ち取ったと思った筈の男が走ってこちらに向かってきていた。


 「さっきお前腹に瓦礫当たった時痛がってたよなぁ?」


 ほんの一瞬だったが瓦礫に当たった柴田勝家は腹を押さえて苦悶の表情を見せていた。

 カケルはそれを見逃さなかった。

 自分の拳はしっかりと相手に効いていた。

 それが分かったのなら後は簡単だ。もう少し深くに踏み込んで全体重を乗せた威力の拳を打てばいいだけの話だ。


 「ウグゥゥゥゥゥゥゥゥワ、レ、ハァァァァァ!!!」


 自身に迫り来る男が次の一撃でこちらを終わらそうとしている事に柴田勝家は本能的に悟った。そしてその一撃は恐らく自分にとどきうる一撃を持っていることも理解した。

 

 「シバタァァァァカツイエナリィィィィィィ!!!」

 「ぐわっ!すまぬやられた!」

 「充分!」


 埋まっていた自身の両手を皮膚がちぎれるのも構わず無理やり引っこ抜き、自分を討ち取ろうとする男を殺す為、拳を握った。


 「悪いがやらせはしない」

 「ワッ!!?」


 背中をのけぞらせ両手でカケルを粉砕しようとした途端、体が動かなくなった柴田勝家は驚き後ろを目にした。

 そこにはいつの間にカケルのやろうとしている事を理解し、自分の背後に回っていた仮面の女が細い糸を操り自分の動きを止めていた。


 「これで最後だ柴田勝家!!!」

 「ウグゥゥゥゥゥゥゥゥガァァァァァァァァァァァァ!!!」

 「くっ、バカな!?」

 「いっ!?」


 それでさえも柴田勝家を止めることは出来なかった。真っ直ぐに来るカケルに合わせて柴田勝家は両手を左右から思い切りカケルに向けて放った。


 「俺がいないと締まらねーだろ?」


 しかし突如、先の柴田勝家の様に地面から勢いよく現れたダイによって柴田勝家は顎をアッパーされた。

 柴田勝家は突然殴られた事により仰け反ってしまい、ほんの少しだが両手の位置が上になってしまった。

 それによってカケルは剛腕を寸前で回避し、自分の全体重を乗せた一撃を柴田勝家の腹に直撃させた。

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