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第37話 鬼柴田

 突然現れた自身を柴田勝家と名乗る男に砕蔵以外の二人は困惑していた。


 「柴田?え、誰?」

 「バカな?」

 「ワ・・・ガナハ・・・シバタ・・・シバタカツイエナリィィィィィィ!!!」


 叫びながら振り落とされた両腕によっめ病院の屋上は崩壊し、屋上にいたカケル達は下の階へと落とされた。


 「くっ、」

 「何だよこのおっさん!?」


 未だ自身の名を叫び続ける柴田勝家を名乗る不審者を見ながら自身と同等の力を持つ男にカケルは驚いた。

 更に周囲を見渡してカケルは何人もの人達が瓦礫の下敷きになっているのを目にした。


 「おい!八咫烏の仮面の人!」

 「何だ」

 「あんたの糸であの人達を下にまで連れてけるか?」

 「可能だがその間にあの者はどうするんだ?」


 仮面の女は柴田勝家を指差した。

 柴田勝家は未だ自分の名前を空に叫び続けていた。


 「俺が何とかする」

 「出来るのか?」

 「いいや!あやつは拙者が倒す!!」


 声がした方を二人が見ると窓の外が急に暗くなったと思ったら穴が空いた天井から岩でできた龍が現れた。


 「土遁"岩龍召喚の術"」

 「うおっ、カッケェ!!!」

 「柴田勝家!貴殿を憶えているぞ!!あの時の仇、今ここで取らせてもらう!!!」

 「!、おい八咫烏!直ぐに避難させろ!!!」

 

 砕蔵は我を忘れているのか、まだ一般の人がいるにも関わらず柴田勝家に向かって真っ直ぐ突っ込んでいった。

 そのままドガンと言う音をたてながら、龍が病院を柴田勝家と共に破壊しながら一階まで突っ込んでいった。


 「くそっあいつ、周りの事を考えろよ!」


 カケルは穴が空いた所から一階を見ようとしたが砂煙によって一階まで目を凝らしても見ることが出来なかった。


 「・・・行くしかないよな」


 ーー


 「ワ・・・ガナハ・・・シバタ・・・シバタカツイエナリィィィィィィ」

 「ぐっぅぅぅ!!?」


 岩龍ごと砕蔵は柴田勝家によりぶん回されながら岩龍は破壊され、砕蔵は壁に激突し倒れた。


 「ゲホッゲホッ!く、力は昔と変わらずかッ!」


 かつて自分の国を侵略された時も柴田勝家はその剛腕によって次々と仲間は引きちぎられていった。

 そして辺りは血の海となりその場に倒れながら、姫を連れていく柴田勝家を睨みつけるところで自分の記憶は終わっていた。


 「くっ、あの時と何ら変わらぬではないか・・・」

 「ワガナハ・・・シバタ・・・シバタカツイエナリィィィィィィ」


 柴田勝家は再びその剛腕を上に上げて砕蔵を亡き者にしようとした。砕蔵は目を瞑りながら心の中でかつての同志達に何度も何度も謝り続けた。

 そしてその瞬間は訪れた。上に上げられた剛腕を砕蔵目掛けて振り落とした。

 

 「よぉ、何だ疲れて寝ちまったのか?」

 

 自身に振り落とされる筈だった剛腕がいつまで経っても来ず、聞き覚えのある声がしたと思い恐る恐る目を開けてみると柴田勝家の剛腕を真っ正面から押さえつけて自分と柴田勝家の間に割って入るカケルの姿が目に入った。


 「ウゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 「ん?何だ自分の名前以外の言葉も話せるんじゃねーか」

 「ワガナハ・・・シバタ・・・シバッ!」

 「それはもう聞いた」


 名前を全て言う前にカケルは飛び上がり柴田勝家の顔に蹴りを決め込んだ。

 

 「ウゥゥゥ。ワ・・・ガナハ・・・シバタ・・・シバタカツイエナリィィィィィィ!!!」

 「おわっ!?」


 自分を蹴った方の足を掴んだ柴田勝家はそのままカケルを壁に叩きつけた。

 カケルは壁を二、三個壊しながらベッドに横たわった。


 「いててて・・・マジかよ。いつも流れならあっちが飛ばされるじゃん!」

 「油断されるな!!!」

 「んっ?・・・いっ!!!」

 「ワレェェェェシバタカツイエェェェェェェェェ」


 カケルは砕蔵の声で前を向くと真っ直ぐこちらにタックルをかまそうと向かってくる柴田勝家を見てベッドから降りて避けた。

 柴田勝家はそのままベッドを壊しながら壁を衝撃波だけで外が見えるまで破壊した。


 「頭狂ってんのか!?」

 「ワレェェェェ!」

 「るっせぇ!」


 今度は拳で腹を殴りつけた。

 しかし柴田勝家は微動だにしなかった。


 「マジかよ・・・」

 「ワレハァァァァ」

 「ガッ!!!」


 今度はカケルが柴田勝家の剛腕を受けた。

 骨が軋み、肉が裂ける音を聴きながらカケルは吹き飛ばされた。


 「クソっ・・・骨が」

 「ウゥゥゥワレハァァァァシバタァァァァ」


 意識が朦朧と仕掛ける中、カケルは何とか起きあがろうとしたがその前に柴田勝家が目の前に現れた。


 「あーその・・・タイムってあり?」

 「シバタァァァァカツイエナリィィィィィィィィ」

 「土遁"地牢陣"!」


 カケルにトドメをさそうとした時だった。

 柴田勝家の足元に穴が空き、柴田勝家はそこに落ちていった。その穴はまるで牢屋の鉄格子の様に塞がったかと思えば、砕蔵が現れカケルに手を差し伸べた。


 「遅くなってすまぬ。無事であったか」

 「当たり前だろ。余裕すぎて今寝てたところだよ」

 「ふっ、強がりを言うでない」


 砕蔵の手で立ち上がったカケルと同時に牢を最も容易く破壊して現れた柴田勝家は空中に飛び上がり全体重を乗せた一撃を放った。

 その一撃によって地面は波の様に揺れ病院は全壊してしまった。


 「ゲホッゲホッ、流石だ鬼柴田ってあだ名が付くはずだぜ。こんな力振るわれたらそう呼ばれるわな」

 「それは良いが、何故拙者達は無事なのだ?」

 「あり?ほんとだ・・・」


 今の一撃を喰らっていたのならば、確実に二人は死ぬか瀕死にまで追いやられている筈だった。

 しかし二人は何事もないかのようにその場に立っていた。


 「怪我はない様だな」

 「ん?」

 「あ、お前か」


 カケルと砕蔵の二人の前に現れた人物を見てカケルは自分たちが助かった理由を理解した。


 「いいのかよ?俺はあんたの敵じゃなかったのか仮面の女」

 「状況が変わった。アレを始末する方が優先だ」


 病院内の人を安全な場所まで避難させた後、仮面の女は直ぐに依頼主に連絡を取った。どうやら依頼の方は既にキャンセルされたらしく、突然現れた柴田勝家と名乗る男に関しての情報は何も得られなかった。


 「要するにあんた捨てられたんだ」

 「お前のせいでな」

 「え、あー・・・そ、そんな事よりも今はあいつだ!あんたも手伝ってくれんのか?」

 「・・・八咫烏に所属していても情がないわけでは無い。ただし、今回だけだ」

 「素直に手伝うっていえばいいんじゃね?」

 「来たぞ!」


 砕蔵の声を聞き二人は前を向いた。


 「ワレハァァァァシバタァァァァシバタカツイエェェェェナリィィィィィィ!!!」

 「さぁて過去からの刺客を送り返してやるとするか!お前ら足引っ張んなよ!!!」

 「誰に言っている?それはこちらのセリフだ」

 「柴田勝家よ!今度こそあの日の雪辱晴らして見せようぞ!!!」


 姿を現した柴田勝家を前にカケル、仮面の女、砕蔵の三人は協力して立ち向かうことにした。

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