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第104話 索敵

 「びっくりだぜ。この国じゃあnoiseを持っている奴は処刑されるんじゃなかったのか?」

 「まぁ俺はこの通り、ちょっと特殊でな。地下世界の探索に生涯を捧げる条件付きでこうして生かされてるんだよ」


 レイヴン達から少し離れたところでカケルとハンヌは会話を続けていた。

 noiseを持つ者はこの国では処刑されてしまう。実際にカケルはその光景をこの国に来たばかりで目にしていた。


 「奴ら魔法を使う野郎共は結局、自分達に有用かそうでないかでしか判断が出来ないんだよ」

 「であんたは有用だと判断されたのか」

 「ま、そんなところだ。俺的にも好都合だったしな」

 「好都合?」

 「ハンヌ先生!そろそろ探索に取り掛かった方がいいんじゃないでしょうか!」


 二人が会話している背後からレイヴンは声をかけた。


 「ありゃりゃ、この話はここまでだな。お前も早く準備してこい。死にたくなかったらなぁ〜」

 「あ、おい!」


 左手で手を振りながらハンヌはガーボス達がいる方に歩いて行ってしまった。

 好都合、その言葉が何故か引っ掛かっていたカケルだったがレイヴンに声をかけられた為、取り敢えず何かあったら殴ればいいという結論に至った。


 ーー

 

 「いいか?そもそもこの地下世界、もとい霊脈は地球にとっては血管とも呼べる代物で、俺達魔法使いにとっては魔素を生み出してくれる器官だ」


 地下世界を歩きながらハンヌはカケル達にこの場所について話をしていた。

 

 「それはさっき、学園長から聞いた」

 「そういえば、そうだったな。ならこう言うのが出るってのは聞いたか?」

 「・・・ギギ・・・」


 カケル達が進む先の森から黄色く光目が何個も見えてきた。

 そしてその正体が姿を現した時、カケルはおろかレイヴン達でさえ、その存在に驚きを隠さないでいた。


 「ゴブリンだと!?何で、ゴブリンは御伽話や空想の産物なんじゃ・・・」

 「地球には全生物の 集合無意識(アーカイブ)ってのがあるんだ。それが漏れだしてこう言う空想上の生き物がこの地下世界には現れるんだよ。そら、襲ってくるぜ」

 「・・・ギギ・・・ニク・・・クワセロ!」


 森の中からゴブリンが何十体も姿を現し、一斉にカケル達に襲いかかってきた。


 「くっ!仕方ない」

 「最初がゴブリン退治か!rpgで鍛えたこのガーボス様の実力を見せてやるぜ!」「あれ?でもガーボス様って序盤のスライムに負けてなかった?」「三日位負け続けてた」「テメーら黙ってろ!」

 「いえ貴方達全員が黙って、私の後ろにいなさい」


 レイヴン達が臨戦体制に入った瞬間、最後尾を歩いていたフレミナがそう言って前に出てきた。

 

 「あ!おい!俺様の邪魔を、」

 「聞こえなかったのかしら?下がりなさい。ゴブリン程度で足を止めてる時間はないの、よ!!」


 ゴブリンがフレミナに向かって飛びかかった瞬間だった。そのゴブリンは愚か、後方にいたゴブリン二、三体もが斜め右に真っ二つに斬り裂かれ、上半身が燃えだした。


 「何だ?今のどうやったんだ?斬撃を放ったのか?」

 「そんな事、出来るわけないだろ漫画の世界の話じゃあるまいし」


 実際、放つ人は何人かいるんですよと思ったカケルだったが、言っても真実て貰えなさそうだったので黙っておくことにした。

 一方、ゴブリン達の方も何をやられたのか理解できていないらしく、オロオロとして焦った表情を見せていた。


 「あら、この程度なの?」

 「・・・ギギぃ・・・」

 「来なさい。まとめて私が灰にしてあげるわ」

 「「「「「ギギィィィィィィ!!」」」」」


 フレミナに煽られ、ゴブリン達は怒りの表情を浮かべながら、全員でフレミナに襲いかかってきた。

 しかし、フレミナはそんな光景に笑みを浮かべていた。


 「それでいいのよ。それじゃあ・・・燃え尽きろ!!炎剣魔法"灼熱蛇撃"」


 フレミナが剣を横に振るった瞬間だった。その剣はみるみるうちに刀身が伸びていき、そして炎を伴いゴブリン達を全て一刀両断して燃やし尽くした。


 「おおすげぇ。つーか、あの剣って普通の剣じゃなかったんだな」

 「そうだ。フレミナの使う剣は蛇腹剣と言って、ああして刀身が伸びて蛇のようになる武器だ。フレミナはその武器と炎魔法を駆使した魔剣技を得意としてるんだ」


 だからあの学園前でのガーボスの岩魔法を喰らった時もあの剣で全て撃ち落としたから無傷だったのかとカケルは納得した。

 フレミナは刀を鞘に納めて、肩に乗った真紅の髪を後ろへ払いながら一行の方へ戻ってきた。


 「ひゅっー、やるねぇ!流石、七大名家のお嬢さんだ」

 「褒めても何もでないわ。それよりも早く吸血鬼の探索に行くわよ」


 そう言ってフレミナは森の奥を一人歩いて行った。・・・頭上に何十匹の人の顔を持つ怪鳥が影も作らず、音も立てずに潜んでいることも知らずに。

 

 「危ねぇ!!!」

 「えっ?」


 それに最初に気がついたのはたまたま上を向いたカケルだった。

 それを見たカケルはすぐ様フレミナに向かって走り出した。


 「ハンヌ先生!」

 「チッ!やられたッ」


 ハンヌでさえ、その出現は予想していなかったようで、額に一筋の汗を流していた。


 「みっけ、みっけ、みっけ」「あそぼぉ」「ひぎゃぁぁぁ」「助けて、死にたくな〜い」

 「な、に?人の、声・・・?」

 「そいつは人面鳥だ!!喰われたら顔も名前も存在も全て奪われおわッ!?」


 ハンヌが叫び終わる前に今度は地面が大きく揺れ始め、カケルとフレミナのいた地面が大きく上に上がり始め、大きな龍と思しき顔を残されたハンヌ達の前に現した。


 「おわぁぁぁー!!?なんだぁなんだぁ!」「ひぇぇぇ」「お、お助けぇぇぇ!!」

 「くそっ!カケル!フレミナ!」

 「おいおい・・・どうなってんだぁ?人面鳥も岩災龍もここらには絶対いない筈なんだがなぁ?こりゃ、マジでいるのかもな・・・吸血鬼が」

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