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第100話 保健室燃える

 「いやぁ、これは驚いた」


 フレミナに斬られたカケルは現在、レイヴンに連れられて再びセリーナがいる保健室に訪れていた。


 「斬られた傷後何だが、皮膚の表面を斬った程度何だよ。フレミナちゃんが直前で手を抜いてくれたんだろうね」

 「全く、お前は何がやりたかったんだ!フレミナは七大名家の一つなんだぞ!もし、あそこで揉め事でも起こしてみろ俺達"虫"は有無も言わさずに死刑だぞ!!」


 レイヴンはベッドで横になっているカケルに対し、怒鳴りつけた。

 この学園には何個かのルールがある。その一つに七大名家との行事以外での決闘を禁ずると言うものがある。無論、ギンから何も伝えられていないカケルはそんな事は預かり知らぬ事だった。

 

 「まぁ何も問題なかったんだから、いいじゃねーかよ。第一!あっちが先にやって来たんだぞ!?てか、死刑になるの!?」

 「まぁ確かにその通りだ。すまん冷静さを欠いた」


 知らなかったとはいえ、楽観的な事を言うカケルに対し、レイヴンは大きな息を吐きながらこめかみに手を当てて、顔を暫く上げ黙った。

 

 「はぁ・・・今日のところはここで安静にしていろ。校内の案内はまた今度にする」

 「わかった。ありがとな!」


 屈託のない笑顔で感謝を述べるカケルに対して、小さくうなづき、レイヴンは保健室から出た。

 実のところ、レイヴンにとって今日会ったばかりのカケルはどうでもいい存在だった。

 ただ、ギンに頼まれたからこうして面倒を見ているに過ぎなかった。


 「ギン・・・」


 レイヴンは同じ虫であるカケルに嫉妬していた。何の力もない、同種の男はたった数日で 至高なる七柱(シェプティム)にとりいると言う、自分が何ヶ月もかかった事をやってのけた。

 

 「あいつが何だって言うんだ。俺と一体何が違うんだ・・・」


 ーー


 「レイヴンはああ言ったが、君の身体はどこにも異常はない。むしろ、健康すぎるくらいさ」

 「健康か。さすが俺だな!!」

 「やっぱり無事だったようね?」


 レイヴンが保健室から出て直ぐだった。

 今度は真紅の髪をもった女性、フレミナが保健室に入ってきた。

 非常に不機嫌な表情をしており、そのままカケルが寝るベッドの隣にある椅子に座った。


 「何故、あそこで拳を引っ込めたの?」

 「何のことだ?」

 「とぼけないで!!!」


 ベッドを叩きつけ、フレミナは身を乗り出してカケルがあの時、手加減したことについてに言い寄った。


 「あの時、貴方がもし本気を出していれば、少なくとも私に斬られるなんて事は無かったはずよ!」

 「買い被りすぎだ。俺は"虫"だぜ?何の力も持ってねーよ」


 普通の人ならば、それで話は終わるものだ。しかし、相手は仮にも七大名家の一人だ。

 相手の力量くらいは直ぐにでも理解できる。


 「まだ私のことを侮辱するつもりかしら?」

 「侮辱もないも俺は、」

 「ッ!まだ誤魔化すつもりか!!!」


 片足で地面を思い切り叩き、フレミナは更なる怒りを露わにした。

 彼女の身体から赤く燃え盛るような魔力が発生し、それが周囲を燃やし始めた。


 「お、おい、落ち着けよ!燃えてるぞ!?」

 「黙りなさい!もう一度、私とッ!」

 「はぁーい、そこまで」


 フレミナが今にもカケルに向かって襲い掛かろうとした時、セリーナが声をかけてきた。


 「何かしら?たかがいっかいの保健医が私に口を出すつもり?」

 「えぇ恐れながら、その保健医から一言あんた達、保健室を燃やし尽くすつもり?」

 

 フレミナの魔力はいつの間にか、既に保健室全体を炎の渦にしていた。

 

 「お、おい・・・これ不味くないか??水の魔法使えねーの?」

 「使えていたら初めから使っているわよ!」

 「全くフレミナ、君はその直情的な所を直した方がいいぞ?」


 指を鳴らし、水を作りだしたセリーナはそれを空中にあげてシャワーのように保健室全体に浴びせて、炎を鎮火させた。

 

 「また魔力の暴走とは・・・まだ制御が出来ていないとはね」

 「黙りなさい、保健室を燃やした事は謝るわ。でも私の事に関して、貴方がとやかく言う権利はないわ」

 「じゃあ私じゃなければいいって事ね?学園長からの呼び出しが来てるわよ」


 腕を組みながらセリーナはスマホをこっちに見せてきた。

 画面には学園長が映し出されており、笑顔でこちらを見つめていた。


 『フレミナ様、今回は随分とやんちゃを為されたらしいですね?』

 「・・・何のことかしら?」

 『入口前でも生徒と揉め事を起こしたらしいじゃない?カケル君、君もね?』


 画面越しに学園長であるアルバはカケルと目を合わせ、そう言って微笑んだ。


 「げっ?バレてた」

 『それでは待っているよ』


 そう言ってアルバは通話を切った。

 

 ーー


 「あーあ、何で俺までこんな目に会うんだよ・・・」

 「それはこっちのセリフよ。何でこの優秀な私が学園長に呼び出されないといけないのよ」

 「いや、それは自業自得じゃね?」


 学園長によって呼び出されたカケルとフレミナの二人は、保健室を出て学園長が待つ部屋まで二人で歩いていた。


 「にしてもあんた魔力を上手く扱えないんだな」

 「ええ、そうよ何か悪い?」


 ぶっきらぼうにそう答えたフレミナは二人で歩く間、ずっと喋りかけてくるカケルにイライラし始めていた。


 「なぁやっぱ俺は退学か死刑かなー、いやでも俺なにもやってないのにそれは流石にないよなぁ〜」

 「ッ〜、いい加減に黙らないの!!」

 「何だよ、別にいいじゃねーか。どうせ着くまで暇だしよ」

 「なら問題ないわね?もう着いたんだから」


 初めてここに来た時に入った部屋の前にカケルは再び訪れ、部屋のドアを開けた。

 中には学園長であるアルバの他に、学園の入口で揉め事を起こした場にいた、レイヴンとガーボス、そしめその取り巻きが集められていた。


 「レイヴン!またあったなぁー!」

 「カケル、お前達も呼ばれたのか」

 「チッ、何でコイツらまで」

 「さて、ようやく役者は揃ったようね。じゃあ早速、話を始めようか」

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