表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

僕は化け物だから

作者: 猫ノビ助

僕は化け物だから、

彼女のことを好きになっても、しょうがないのだ。

彼女のことをどれほど好きでも、

他の誰よりも彼女のことを想っていても、報われることなどない。


それはわかっている。

僕は化け物だから。


彼女は誰にでも優しい。

誰とでも寝る。

誰でも好きになって、やがて捨てられて、僕にボヤくのだ。

いい男などいないと。


僕はそれを聞いて、いつも悲しくなってしまう。

僕が化け物でさえなければ。

せめて普通の顔をした人間だったら。


でも、しょうがない。

僕は化け物なのだから。


誰にでも優しい彼女だけが、僕を見て微笑んでくれる。

でも、その微笑みが僕だけのものになることはない。

どうしようもない。

僕が化け物だから。


彼女はいつも愛を求めている。

誰にでも恋をしてしまう彼女だけを愛する男を。

でも、僕がその男になれることはない。

僕は化け物だから。


やがて彼女は歳を取り、老いぼれて痩せて皺だらけになる。

それでも彼女は美しく、僕に優しくしてくれる。

だから僕は彼女から離れてしまうことができない。


彼女は一人で死ぬ。

誰も彼女の死を悼まない。

だから僕は彼女の死体を棲家に持ち帰る。


彼女のボサボサの白髪を食べ、

彼女の皺だらけの顔を食べ、

彼女の痩せ衰えた身体を食べる。

丁寧に丁寧に食べる。


僕は彼女の骨をペロペロと舐める。

頭蓋骨を、大腿骨を。


舐めながら、死ぬことを考える。



何だ、お前、まだ生きてたのか。

お前も可哀想なヤツだな。


彼女はニコッと笑って、僕に向かって、最期にそう言ったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ