またも大仕事が…
契約期間3カ月まで残り2週間となりました、どうも未だギャラハッドの整備が終わっていませんソラカケルです。
思った以上にバランス調整に手間取っているようです、きちっと組み上げたいヴィヴィアンの性格がよく出ているようで若干の遊びにすら妥協したくないらしい。
『この遊び一つがお父さんの変態機動に影響するんだから!!」
と力説されたので俺も何も言えません、ちなみにモレッドは2回ほど出撃しました。出撃のたびにお誘いの案内が届くので回線はアヴァロンとの相互回戦のみ開いてそれ以外はオールカット、有視界通信すらシャットダウンしていたので目論見の外れた傭兵たちは意気消沈。
プライベート回線で通信してきた軍人の皆さんは全て俺とモルガンが司令部のほうにチクっていたのでこれもなくなった、盛大にどやされたらしいぞ知らんけど。
出撃するたびモレッドのスコアはぶっちぎりでトップな為、もはやスコアを伸ばして報奨金目当ての傭兵たちからは「頼むからもう少し落ち着いてくれ…」と苦情がアヴァロンに届くほどだった。
それはパイロットに直接言ってください、と言ったのだが「そもそも回線がカットされてるから伝えられねぇんだよ!!」と怒鳴られました。まあそうだよね、文句を言うならしつこい他の傭兵たちに言ってください。こっちも迷惑なんです。
「にしても、もう少ししたらこの戦場ともおさらばか。いろいろあったなぁ…本当に。」
『あなたが暴走したりしましたね。』
「それについては本当に申し訳ない…」
この話はもうやめよう、多分永遠に俺はいじられることになるから。
モレッドは現在休憩のため就寝中。時刻は午後11時を回ったところだ、日付の変わったあたりのインターバルから昼過ぎまでの戦闘を行ったため眠気もピークだっただろう。
帰還した直後は目がギンギンになっていたが4時くらいからとろーんとしだして、8時には寝てしまった。食堂で勉強している最中に急に寝てしまったのでそこにいたグィネヴィアが焦ったりしていたからな。
俺が背負って部屋まで連れていきベッドに寝かせたときの寝顔は本当に天使だったぞ、着いてきていたグィネヴィアがカメラで写真撮ってたくらいだからな。
「あんまり音立てたら起きちまうから、出ようか。」と声をかけてようやく撤退したほどである『モレッドちゃん…本当にかわいいです…』とぼそぼそ言ってたし。
その後俺はブリッジに向かって、モルガンと会話をしているってわけだ。
眼下にはいまだ戦闘している砲火の光が見えているからな、砲撃音が戦場音楽のように響き渡っている。第三者目線で見るとあれだ、完全にマ〇ラ〇のB〇T〇である。あそこまで人類の脅威ではないけどな。
『あなた、司令部から通信が入っています。』
「ん?とりあえず繋いでくれ、俺が対応する。」
モルガンが回線を開き、モニターに司令部の上官?が表示された。何やら神妙な顔だな、また何か厄介ごとだろうか?できれば契約延長は勘弁してもらいたいんだがなぁ…
「こちらアヴァロンオーナーソラカケルです。」
「こちらディンギル解放軍司令デルトランだ、急な連絡に応じてもらい感謝する。」
「こちらに直接司令自らが通信されるということは火急の件ということでよろしいですかね?」
「その通りだ、現在戦線は君たちのおかげでかつてないほどに進行し遂に敵の出現地。心臓部を発見することに成功した、よってここを叩きディンギルを人類居住の地とするための一歩としたい。そこで心臓部に進行する部隊の一員として君と君の娘にも参戦してもらいたい。」
「そう来ましたか、間もなく私達の契約期間は終了します。元の契約上延長は無しですよ?」
「もちろんその点も考慮済みだ、作戦決行は3日後心臓部に侵入後敵生命体の製造炉を破壊するまでに最長1週間を見ている。十分に契約期間内に終わらせられるとは思うがどうかな?」
「なるほど、そこまで言うということは心臓部内の3D図でも入手出来ましたか。」
「さすがだな、既に無人偵察機を用いて内部の確認中だ。多数の投入により全体像の確認完了まであと二日と言ったところだろう。」
「了解です、その作戦に参加しましょう。ただし、条件が一つ。」
「ふむ、想像は付くが何かね?」
「私と娘は2機で突入します、他の味方がいたところで足並みもそろわない。邪魔でしかありませんから。」
「私としては軍もけなされているように感じてしまうがな、しかし君と娘の戦果を見ればそれも納得できる。よかろう、2機での侵入をお願いする。」
「了解しました。」
最後の最後でまた大仕事か…どうもこういった案件からは逃れられないみたいだな、慣れるしかないか…
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「と言うことで、明後日には俺とモレッドは敵生命体の心臓部を叩くために出撃することになった。同時に突入する部隊は全部で35部隊、全てが分隊又は小隊単位での突入だ。現在心臓部内の3D図を司令部のほうで作成中らしい。それも明日には完成するらしいからそれが到着次第俺とモレッドでルートの選定、最短距離で攻略する。質問はあるか?」
「私とお父さんだけってことは継戦力が必要だよね?どうするの?内部に入っちゃったらアヴァロンからの補給コンテナは届かないよ?」
「そうだ、それについてはヴィヴィアンから説明してもらおうか。」
『はいはーい、モレッドちゃんの心配はごもっとも。その為に今回は補給ができない場所に行っても補給ができる特殊装備を用意しました~。』
「特殊装備?ってことはパッケージ?」
モレッドの質問に対してヴィヴィアンはモニターに表示された変な形をしたトラック?を示した。
『今回はこれ、全領域展開型補給トレーラー「ラムレイ」を出します!!』
「おぉー!!」
こいつがあったことも俺の中からはすっかり抜け落ちていたため助かったところもある。
全領域展開型補給トレーラーラムレイ、こいつは今回みたいなアヴァロンからの直接的な補給ができない区域での長時間活動用に開発されたもので、超高温だろうと極低温だろうと超高圧だろうと耐えられる代物だ。ぶっちゃけ悪環境耐性ならAMRSよりあるくらいガッチガチの防護機能がある。
『ラムレイならどんな場所でもAMRSが行ける所ならついていけるからね、補給も気にしないでガンガン殲滅しちゃっていいよ!!』
「ヴィヴィアンお姉ちゃん流石!!」
「よし、補給の問題はなくなったな。他に質問はあるか?」
『あなた、今回の戦場ではおそらくアヴァロンから通信は途絶します。つまり救援信号が届かないという事です。その部分はどうされますか?』
ここだ、ここだけが俺たちの最大の懸念点。もし俺かモレッドが擱座し動けない状況に陥った際サルベージができないこと、しかも場所は敵地のど真ん中である。そんな中で何もできないものが出てしまえばそいつはもうお亡くなりになってしまう事に他ならない。
「片方だけならコックピットのサブシートでどうにでもなる、両方がダメになったら潔く散るだけさ。」
「私は落ちないからね!?縁起の悪いこと言わないでよお父さん!!」
「なら大丈夫か、期待してるぞモレッド。」
『そこまで冗談を言えるのであれば問題はありませんね、では無事の帰還を待つことにします。』
そう言ってお辞儀を一つ、モルガンは下がった。心配性なんだか何なんだかかわいいものである。
もちろん俺も落ちる気は無いので心配はしていない、というよりワクワクしているくらいだ。なぜかって?そりゃあ言わなくてもわかるでしょうよ。
「じゃあモレッド、明後日は本当に初めて2人での共同戦線だな?」
「任せてよお父さん、お父さんの出番が必要ないくらいやっちゃうからね!!」
「はっはっは!!そいつは楽しみだ、期待してるぞ。」
「うん!!」
モレッドと肩を並べて戦えるのだ、この短い期間ではあるが傍観者の目線からモレッドの成長を見て来た。わずかな期間でしかないはずなのにすさまじい勢いで成長している子と、どれだけ戦えるのかそれが楽しみで仕方がない。
「じゃあとりあえず明日3D図が届いてから最終ブリーフィングだ、それまでゆっくり休めよモレッド。」
「お父さんもね、落とされたときの言い訳とか聞きたくないから!!」
「言うじゃないか。」
そう言ってその日のブリーフィングを終えた、戦いが終わればこの星系ともお別れだからな。後腐れしないようにきっちり仕事を収めるとしようか。
ヴィ「ぬぐぐ…調整…(;´・ω・)」
グィ「食事の用意もしなくては(`・ω・´)」
モゴ「また暇になっちゃうな~(´・ω・)」
オヴ「モレッドちゃんがいなくなる(;゜Д゜)」
マー「私たちにとっても試練だよ(; ・`д・´)」