家主の帰還そして折檻(と言うよりイジワル)
やっとカケル視点に戻ります!!NKT…
どうもみなさん、お久しぶりです。
アヴァロンオーナーのソラカケルです、ひと月以上敵生命体と戦い続けてアヴァロンに帰らなかったためモルガン含めアンドロイドたちの俺に対する心象は最悪になっているみたいです。
さらに言えば、連れ戻しに来たモレッドを意識が少し混濁していたとはいえ怒鳴り散らして泣かせたという事がさらなる追い打ち…もといとどめを刺したみたいでありまして、アヴァロンに帰還した瞬間にグィネヴィアに麻酔を打ち込まれて意識を失っている間に独房に担ぎ込まれていたみたいです。
アァ…ユカガツメタイナリィ…
というかそもそもの話なんでヴァレットが解体されてなかったんだ?間違いなく解体するよう指示はしていたし、モルガンは俺の命令に対しては絶対NOは言わなかった。5姉妹たちもそれに追従していたから100%解体されていると思ったんだがなぁ。
それにしても、あの時のモレッドはかなり強かった。半分反射で戦っていて、正直無意識に近い状態だったからヴァレットだって認識ができていなかった。カラーリングも印象もかなり変わってたからな。まぁそんなことは置いておいて、ギャラハッドの不調を見逃さない観察眼にここぞという時にきっちり決めに来る行動力の高さ、危機察知の鋭さも一級品だった。
実際、ギャラハッドが完璧な状態だったとしても手を焼いていたかもしれん。それくらいを思わせる戦いぶりだったと思う。
「…で、俺はいつまで独房に入っていればいいんだ?」
契約期間はまだ残っている、今回は長期で滞在して仕事をする予定だったしな。仕事の帰還は3カ月、既に降下してから2カ月が経とうとしているから残り1カ月は戦わなきゃならん。
ただ、ギャラハッドはぶっちゃけ連続稼働と過負荷を受け続けたから3日は動かんだろうしなぁ…ヴァレットにしても本来は解体予定だったわけだし、なんであんな感じになったんだろうな?モレッドの身体だって欠損してたはずなのに元に戻っるわけで…でも髪の色変わってたな?目の色も左右で違っていた気が?
「うーむ…難解だ…」
某フ〇ムの暗黒魂に出てきた玉ねぎの鎧を付けた人のように唸ってしまう、独房内じゃそれくらいしかやることも無いしな。
『お父さま食事です。』
「お?グィネヴィアかありがとう。」
『いえ、食べ終わりましたら受取口から戻していただければ結構ですので。失礼します。』
「お…おう…」
あのホンワカ系お姉さんタイプのグィネヴィアですらこの塩対応である、うーむ…相当やらかしたらしいな俺。
一カ月以上戻らなかったことは悪いと思っているけど仕事だったんだぜ?それにモレッドの件で頭に血がのぼっていたってのもある。だからってここまでされる必要があるのかどうか…
「とりあえず飯食うかぁ、ほんとに久しぶりのグィネヴィアのちゃんとした飯を食うのは久しぶりだな。」
銀色のトレーに載せられたランチプレートのようなものに俺は目を向ける、この一カ月ひたすらに戦い続けていたこともあってエネルギーバー的な物しか食ってなかったからな。
期待に胸を膨らませていざプレートに盛られた食事を見てみれば…
「Oh…なんということでしょう…」
まさに良妻賢母、食堂の名物おばあちゃん、美人看護師といういい女三点セットのグィネヴィアが用意してくれた食事は一言で言えば「ゼリー?」のみだった。しかもやたらと極彩色なのだ、まさにレインボウ…
めちゃくちゃ身体に悪そうではあるのだが、グィネヴィアがそんなことをするはずもないのでとりあえず一口。
「ハバネロッ!?」口に入れた瞬間爆発的に広がる辛味、思わず変な声をあげてのたうち回ってしまう。当然ここに牛乳などは存在しないわけで、ボトルの水をがぶ飲みしたがむしろ辛味は増していく。俺に恨みでもあるんか!?と叫びながらわずかな望みをかけて別の色をしたゼリーをまた口に入れる。
「ポンカン!?」今度襲ってきたのは猛烈な酸味。口の中にレモン汁をいっぱいに突っ込まれたより強烈な酸味に涙が出てくる。唾液が止まらず口からあふれそうなほどだ。次の味は何だろうか、もはやロシアンルーレットに近い状態ではあるが背に腹は代えられない。
今の俺の食事はこれしかないのだ、「ソルトッ!?」次は塩味、ほぼほぼそのままの塩を食ってるような感覚だ。むしろ塩より濃縮されてる気すらする。めちゃくちゃ身体に塩が吸収されて行ってる気がするぞ。もはやここまでくると面白くなってしまうもので、次の味はおそらく甘味なのでは?と考えながら次を口に入れた。
「うぅーむ、シュガー…」めちゃくちゃ甘いです、ここまで痛めつけられた味覚受容体が喜んでいる気さえする。しかもそのまま砂糖ではない、ヨーグルトと一緒に食べるあれと同じような優しい甘みなのだ。
「いったい何だって言うんだ、ここまで恨まれてたってことなのか。」
だんだんと悲しくなってきた、一人で独房で食べる食事のせいなのか、久々に帰ってきたら家族は俺のことなどどうでもいいかのようにふるまっている状態なのだ。
これが離婚寸前の家族だというのだろうか、とても悲しくなってきたぞ…
『お久しぶりですね、あなた?』
「モルガンか…」
孤独を感じ始めたときにやってきてくれたモルガン、その声に俺はほっとしていた。
「なぁモルガン、俺が何をしたって言うんだ?たしかに一カ月戻らなかったが、それだけでこんなにしなくてもいいじゃないか。教えてくれよ。」
『そうですね、教えてあげる事もやぶさかではありませんからね。教えてあげましょう。』
「頼む。」
そこからゆっくりとモルガンから説明されたことは俺にとっても衝撃だった、まず第一にモレッドの容態だった。目が覚めたのはほんの2週間前、その2週間の間もかなりコンディションが乱上下していたこと、その原因が俺の下した采配だったこと。二つ目に1カ月の未帰還、これに関してはモレッドを含めた全員から不満があがっていたらしい。ヴィヴィアンはギャラハッドの整備をすっぽかされ過ぎたことによる機体の不調修理で、グィネヴィアはいくらバランスは調整されていたとはいえ食事の偏り過ぎ、モルゴース・オヴェロン・マーリンは三人とも同じでそもそも帰ってこないせいでみんなに心配かけ過ぎとのこと。
最後に三つ目、連れ戻しに行ったモレッドに対するあの対応、これが一番重かったらしい。俺が帰らないことを心配した皆を代表して連れ戻しに行った俺がモレッドを怒鳴り散らしたせいでしばらく泣き止まなかったんだとか。おかげで俺に対する怒りが振り切れたらしい、もはや怒る気にすらならないといっています。
「そういう事か。」
『理解出来ましたか?あなたの采配は確かに悪いとは言えないモノです、しかし結果としてモレッドは生きる意志を失いかけ、私たちの家庭は冷めきっていました。依頼主には連絡を行いました「主人のここ1月の働きで前線はかなり押し上げられました、疲労もピークの様ですのでしばらく主人の出撃は控えさせていただきます」と。』
「お、おい!それじゃ…」
『依頼主からは「うむ、御主人の活躍はこちらとしても大いに助かっている、連続での戦闘ならばそのようなことになっても致し方あるまい。十分に休息をとられるといい。」以上です。また、あなたにはしばらく外出制限をかけさせていただきます。緊急での出撃が必要になった際はモレッドが対応いたします。』
「それじゃあまた同じ…」
『ヴァレットには現在マーゾエがサブパイロット、もといコンピューターとして搭乗しています。先日のようなことは起こしませんので。』
「…何だってんだ…」
俺の言いたいことをすべて先回りしてつぶされてしまう、ここまでモルガンが俺に対して反抗的だったことはない。むしろ初めてだ、それが余計に俺の思考を困惑させてくる。
『それと、もう一度だけ言わせていただきます。』
「なんだよ…」
意気消沈している俺にモルガンは少し優しげな声で語りかけてくる、独房には窓がないので顔は見えない。だがその声色は確かに優しかった。
『あなたは確かに私達の主人であり、私の夫であり、娘たちの父です。私たちはあなたの無事の帰還を喜んでいます。』
今、このタイミングでその言葉はずるいだろう。これだけどん底にまで突き落としてきたくせに、そんな優しい心遣いは。俺は目じりに熱いものがあふれてくる感覚がしてそっとそれをぬぐった、どれだけ言われてもこいつらは絶対俺の家族なんだと思えた。
『あぁ、あと今日の夕食はモレッドの固形食復帰祝いで鍋を食べるんです。』
「おっ、そいつはいいな。何鍋なんだ?」
『グィネヴィア曰く「せっかくの回復祝いですから高級志向でちょっと奮発しました。」といっていましたね。分子プリンターで出力はしますがあなたの記憶で言えば「海鮮鍋」でしょうか?フグやアナゴ、サケやエビなどが用意されているそうです。』
「そいつはいいな、今から楽しみだ!!」
まだ昼を食ったばかりだというのにもう腹が減ってきた気がする、それもそうだろう。よくわかんない味のゼリーしか食ってないんだからな。
にしても海鮮鍋か、いいな。わくわくしてくるぜ!!
『ん?あなたの分はありませんよ?』
「…は?いやいや、俺も食えるからその話をしたんだろ?」
『何を言っているのですか、言ったでしょう。「モレッドの回復祝い」だと。』
「確かに言ったな。」
『そこに回復したのを祝いもせず、怒鳴り散らす親がいてモレッドが楽しめるとお思いですか?』
「え…嘘だろ?せめて少しはくれるんだろ?」
『これについてはモレッドとグィネヴィアが話していたそうです「なかなか帰ってこないお父さまにはしばらく目の前でお預けをして意地悪をしてあげましょうか。」とね?これに関してあなたは何か不服がありますか?ありませんね?これはあなたがまいた種なのですから。』
「…ぐぅのねも出ないほどにおっしゃる通りかと思います‥」
こうして、俺の晩御飯はあのよくわからないゼリーがまた出されたのであった。
ちなみに、独房内に設置されているモニターでは家族みんな(俺を除く)で美味しく鍋をつついている姿が中継されていました。まるで煽っているのかといいたくなるくらいにリアクションをとる姿を見ながら、味覚を破壊しそうなゼリーを俺は涙を流してうらやましがりながらつつくのでした。
ヴィ「あぁ~…こりゃオーバーホールかなぁ(;´・ω・)」
グィ「ふふふ…ふふふ…ふふふふふ('ω')」
モゴ「グ…グィネヴィア?(;゜Д゜)」
オヴ「鍋美味し~!!(*^^)」
マー「パパ哀れだね、エビウマ~!!(*'▽')」




