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人工知能達と行く宇宙傭兵生活   作者: フタバ
海と空と大地の引力
49/473

パーフェクトだ○○○○

 はい、訓練は早くも最終日に到達でございます。どうも、一昨日ひっくり返ったところを撮影されて恥ずか死したソラカケルです。


 俺の重力下習熟訓練は無事にクリア、無重力化と同じような戦闘機動までできるようになりました。高度を変えないクルビットなんてお手の物ですよ。


 ちなみにガウェインのパッケージには背中に二基のフレキシブルスラスターがあるんでより高機動かつ変態的なムーブも可能だ。直線加速力ならすべてのパッケージ内で2位くらいではあるしな。


 モレッドの習熟訓練は思ったより進んでいない。昨日一日で多少動けるようになっては来ている物の、ホバー移動での高度変化がまだ+-5mほどなのだ。

 一応ヴァレットのスラスター制御のプログラムにオヴェロンが若干の変更を施したり、ヴィヴィアンがモレッドの操縦の癖をヴァレットのメインコンピューターに書き込んだりしているのでかなりましにはなってきているのだが。

 修正に次ぐ修正とモレッド自身のフラストレーションがたまっているのか、高度維持がいまいちうまくいかないのだ。


 一応高機動もやらせては見たんだが、そっちは何ら問題はなかったのだ。つまりモレッドは比較的低速域での重力下戦闘が苦手ということが浮き彫りになってしまったわけだな。

 対AMRS戦ならまだしも敵対生命体との戦闘において高機動戦闘ということはまず起こりえない、相手は生身の生物でこっちは機械だからだ。一撃離脱を繰り返すだけなら今のままでも構いはしないのだが、それはそれで問題なのでなんとかしてモノにしてもらわなくてはならない。


「モレッド、どうしたんだ?昨日より動きが荒いぞ。」

「私だってやってるってば!!」


 こりゃダメだ、うまくいかないことに腹を立てすぎて周りが見えていない。こういう時こそkool(クール)になるのだ(誤字じゃないよわざとだよ)。


「一旦ヴァレットから降りるんだモレッド。」

「まだやれる!!まだ目標ラインに届いてないもん!!」

「いいから降りるんだ、一旦落ち着け。」

「うるさいうるさい!!まだやるって言ったらやるの!!」

「…いい加減にしろ!!いいから降りてこい!!」

「ひうっ!!」


 余りにも周りが見えていないモレッドに俺もいら立ってしまったようで、思わず怒鳴りこんでしまった。ゆっくりとヴァレットが着陸してコックピットからモレッドが降りてきた、俺が怒鳴ったことなんてないからな。かなーりビクビクしてるぞこれ。


 手を胸元で組んで上目遣いで俺を見上げてくるモレッドに思わず庇護欲がわいて、そのまま頭をなでて終わりにしてしまいたい欲求にかられたがそれは抑え込む。


「なんで言う事を聞かなかった?」

「…だって…」

「だって?なんだ?」

「…だってお父さんが言ってた合格ラインに届かないんだもん!!届かなきゃ私は戦場に連れてってもらえない!!また守ってもらうだけのお荷物になっちゃうじゃん!!そんなの嫌だから!!嫌だから頑張ってるのに!!全然うまくいかないんだもん!!だから!!もっと頑張んなくちゃって思ったのに…全然できなくて…どんどん…ダメに…なっちゃって…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁっぁん!!」


 …追い詰めすぎたなモレッド、確かに合格ラインに届かないんじゃ戦場に連れて行っても足手まといになるだけだ。そうなってしまえば俺としてもつれていく事はない、むざむざ娘を自殺させるような趣味は俺にはないからな。だからこそ、全くの地上戦初心者であるモレッドに無茶苦茶に近い要求をしたわけなんだがな。


「モレッド。」

「ぐずっ…ぐすんっ…」

「はぁ…ていっ。」

「いだいっ!!なんでちょっぷするのざぁ!!」

「いいから聞け、モレッド。高度変化に対していちいちスラスターで対処しきろうとするな、空力特性をうまく利用するんだ。方向転換も同じだ、急旋回をするわけじゃないならセンサーマストだったりを活用してやればいい。何でもかんでも力で押し付けようとしなくていいんだ、ギャラハッドもヴァレットも推力重量比はぶっ飛んでるんだ。そんなのいくら絞ったって限界はあるんだからな。」

「うぅ、わかんないよぉ…」

「簡単に言えば方向を変えたいときはメインカメラを向きたい方向に動かせ、上がりたいとき下がりたいときはスラスターの推力をいじるんじゃなくてフラップとエルロンを使ってみろ。そうすりゃすぐにまともに飛べるようになるさ。」

「うん…ぐずっ。」


 難しい事を言った自覚はある、だがこれしか対処法はないだろう。モレッドは宙間戦闘においては無類の強さを発揮していた、バルザミーネを使用していなかった先の戦闘では俺には及ばないまでもかなりの高機動戦をしていたからな。それは0G環境かつ大気の無い状況においてという事だ。


 なまじ推力重量比が高すぎるギャラハッドもヴァレットも0Gと同じように使っていては当然まともな動きは出来ないわけだ。推力重量比で計算していたらマックスで吹かさなくても余裕で宇宙空間に到達できる推力持ってるからな。


 と言うことでいったん休憩をはさみながらモレッドにあれやこれやとアドバイスをして行き、嗚咽の収まったところで再度挑戦ということにした。


 当然、アドバイス後最初の挑戦ではうまくいくはずもなくバランスを崩して墜落してしまったわけだ。モレッドは「せっかく教えてもらったのに…出来ないよぉ…」とまた半泣きに。

 流石に一回でできたら今までそんなに苦労もしないだろとフォローを入れてなんとか気を持ちなおさせる、むしろ一瞬ではあるが意識的にメインカメラを使った方向転換やフラップとエルロンを使った高度維持をしようとしていたところは素晴らしいと思う。


「一瞬でもちゃんとアドバイスしたことを実践できてるじゃないか、その調子だ。体になじませていくんだぞ。」

「うん…頑張る」


 こうして午前中から午後になって夜のとばりが降りるまでモレッドは練習を繰り返したわけだ。


 ----------------------------------------------------------------------------------


「モレッド、そろそろ時間だ。次で最後のチャレンジだぞ。」

「うん、大丈夫。次は行けると思う。」


 空が赤くなってくるころにはかなり形になってくるほどに扱いに慣れてきていたモレッドだったが、最後の10kmの距離を高度+-2m以内で低速ホバーで移動しきるという課題がどうしてもクリアできなかった。


 実際1kmまでできなくてももう充分連れて行ってもいいかな?というラインにまでは届いていたのだが、モレッドのこのやる気を見ているとどうしてもこのラインに届いてほしいと思ってしまったためこのまま続けてもらうことにしたのだ。


 実は夕飯時になっても戻ってこない俺とモレッドにグィネヴィアから通信が入ったりしていたのだが、モレッドはそもそも通信を俺以外カットしていたし俺も「もうちょっと待ってやってくれ、モレッドが頑張ってるんだ。」とグィネヴィアにお願いしていた。


 その結果どうなったかと言うと、アヴァロンのブリッジでモルガンと5姉妹が集合しモレッドの課題クリアを見届ける会が発生したというわけだ。

 実際もう達成できそうだったしな、通信越しにみんなで『頑張れ!!モレッドちゃん!!』て言ってるのが俺には届いているので。


「それじゃモレッド、開始だ。」

「了解、行きます。」


 ゆっくりと上昇し、高度15mくらいで上昇を止めたヴァレットが今度はゆっくりと前進を始めた。大体40km/hくらいの速度で、しきりにエルロンとフラップを活用してしっかりと高度変化を抑えつつ目的地にまで進んでいるのを確認して俺ももうクリアを確信していた。


 15分ほどで目的地点に到達した瞬間に「やったー!!」と大きな声でやり切った声をあげたモレッドにつられたようにアヴァロン側からも大歓声が上がっていた。


「よくやったなモレッド、これでお前も戦場に連れて行ってやれるぞ。」

「うん、うん!!私もお父さんと戦う!!」

「それじゃ、一旦アヴァロンに戻ろう。今日からはモレッドが自分で戻していいぞ。」

「やったぁ!!やっとOKでた!!」


 地表から一気にジャンプしてアヴァロンのカタパルトに着艦した俺とモレッドはそのまま格納庫に二機を入れる。


 ヴァレットから降りてきたモレッドが俺に飛びついてきて「お父さん、ありがとう!!」と言ってくれた。


「かっこよかったぞ、パーフェクトだモレッド。」


 その言葉を聞いたモレッドが満面の笑みを浮かべて、再度顔を俺の胸にうずめてきたので優しく俺は頭をなで続けていた。

ヴィ「やったね!モレッドちゃん(*^^)v」


グィ「よかっだでずぅ(ノД`)・゜・。」


モゴ「ま、危険地帯に行くんだけどね(;´・ω・)」


オヴ「スラスターが強すぎるのが問題"(-""-)"」


マー「基本パパの機体から流用しちゃってるからね(-_-)」

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