撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ
救援に来た海賊基地の規模は今回の破壊目標の中で最大規模だったらしい、というか明らかに事前に聞かされてた規模じゃねぇなこれ。
俺の破壊した基地の倍以上でかいじゃねぇか、大方軍の連中が手柄欲しさにうまみがないように見せかけてうまいこと自分らだけで片付けようとしたんだろうがこれじゃ無理だろぉ…
明らかに攻撃するための人数が足りてねぇし、俺とモレッドの報告を聞いて軍部のお偉方が「傭兵ごときに出来て我ら国軍が出来ぬ道理はない。」とか言って少ない戦力で突っ込まされたんだろうなぁ…
アホ上司に無理やり立たされて散っていく戦士たちよ、安らかに眠るがいい。
既に抜けてきて俺の手にかかった海賊は10機に届いている、一撃必殺を心掛けているとはいえトリスタン自体長期戦が考慮されてないから装弾数の関係上どうしても弾切れがこわい。
「モルガン、そろそろ頼む。」
『かしこまりました、ヴィヴィアンに射出を指示します。」
「何の話してるの?」
モレッドの疑問に答えるようにアヴァロン艦首が展開、トリスタン用追加弾倉を搭載したドローンが射出される。
モレッドが「ふぉっ!?」と良い反応をしてくれたな、トリスタンを含め短期決戦仕様のパッケージの補給用にアヴァロン艦首にはこんな機構も搭載されているのだ。
空になった弾倉はパージして空きが出たハードポイントに追加分を装着する。
基本は1弾倉に付き5発が装填されているが、追加分は弾倉1つにつき10発になってる、追加弾倉は3つだから30発だな。
「そっちも抜けてきたやつらの処理は順調かー?」
「問題ないよ~、バルザミーネを固定して使ってる分好きに動けるからこれはこれで楽かも~。」
『こちらも問題ありません、モルゴース曰く「鳩がアハトアハト食らった顔してるみたい」だそうですから。こちらが圧倒しています。」
「そいつは重畳、この調子でやろうや。」
『「了解」』
穴を抜けてくるペースは相変わらずだが、海賊たちも数は減ってるしそのうち俺らの出番もなくなるだろ。
基本賞金首の連中だからどんなに下っ端だろうと落としたら金になる、海賊基地落とした時点で賞金自体は小銭程度なんだがな。塵も積もればなんとやらってことで、まだまだ落としますよ~。ぶっちゃけ弾代なんてうちにとっちゃただみたいなもんだしな、全部ファクトリーで加工生産してるから。
ということで再度アヴァロン側以外から抜けた海賊共の狙撃を再開、アヴァロン側に抜けてもそれ以外から抜けても撃墜されているのは海賊共も理解しているのだろう。出てくる量は明らかに減ってきている。
当然そうなると俺らの取り分は減るわけなんだが、もう充分稼ぎ切ってるわけで正直もういいかな?って思ってるわけだ。
「あぁ~、他の戦域の奴らも集まってきたな。もう終わりかな、ここも。」
「そうだね、もう包囲殲滅で終わるんじゃないかな?」
俺とモレッドの予想通り他傭兵も集まって包囲殲滅戦が始まった、割の少ない傭兵が小金だろうと関係無いと言わんばかりに海賊機を落としまくったりしてるなぁ。
俺としてはもう終わった感じだし、帰投するかな?結局追加弾倉分も撃ち切って俺の総撃墜数は48機、ちょっと予想外の動きをされたりして無駄弾撃ったな。
モレッドが27機、アヴァロンで海賊艦6隻の撃破が今回の救援の戦績だな。
「よし、後は後から来た連中に任せていいだろ。モレッド、帰投しよう。」
「了解だよー。」
俺とモレッドはそのまま帰投、途中俺がフェイルノートをいい勢いでデブリにぶっけちまったんで外装の一部に亀裂が入った。ヴィヴィアンに格納庫に入った瞬間「ばっっっかじゃないのぉぉぉぉぉ!?」と怒鳴り散らされたし、割と危ない威力のパンチをもらってしまった。
…出撃前より帰投後の方がダメージでかいってどうよ?
もはや出番は無いので戦闘終了まではのんびりできそうだと思ったので、一旦ブリッジに向かう事に。
ブリッジのドアを開けて前方を見ると、明らかに戦闘の光は散発的になっていた。やっぱり数が少なかったんだなぁ。攻め手は守り手の3倍以上は必要って鉄則を忘れちまった軍上層部の負けだなこりゃ。
「モルガン、戦闘は終わりそうか?」
『はい、間もなく終了になるかと思われます。それと、軍作戦本部の旗艦アルテマに出頭するよう命令が入っております。』
「出頭だぁ?違反を起こしたことは無いぞ?」
『はい、私も命令を受けた際は耳を疑いましたので確認しましたが間違いなく出頭だそうです。』
「…まーたろくでもないいちゃもん付けられんのかよ。」
『…私も同行しますか?』
「いや、一人で行ったほうがいいだろう。戦闘終了確認後に旗艦に接舷、それで出向くさ。」
『承知しました、ご武運を。』
まーた嫌がらせだよこれ、相変わらず成績優秀者はひがみを受けるもんだねぇ。
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「此度の戦績見事だった、キャプテンソラ。」
「そいつはどうも、んで早速で悪いんだが出頭命令ってのはどういう用件で?ケンネル大佐殿。」
「まさにその件だ、出頭命令を下したのは私直属の部下でな。日ごろから勤務態度、外部に対する態度などがすさまじく悪くてな。親がサンデュールズ国会議員ということでそれをかさに着てやりたい放題だったのだ。大方今回の戦績をすべて譲れとでも言ってくる気なんだろうが気にすることは無い。すべて突っぱねてくれたまえ、あと奴は面食いだからな。おそらく通信越しに確認した君の奥方もよこせと言ってくるだろう。」
「…それはつまり、俺に喧嘩を売っていると解釈していいのですね?」
「すまんがそうなってしまうな、まぁ軍が傭兵に対し強硬手段をとれるのは正規の手順を踏んだ場合のみだ。おそらく奴は軍の報告書に君が海賊とつながっており、基地破壊などは行っておらず八百長の疑惑があると書いているだろう。いや、実際にそう記入された報告書がすでに提出されていた。もちろんそれは誤情報であり、我々は君の奥方から提出されたデータログを受け取っている。撃墜した敵機、行動パターン、消耗した推進剤から弾丸の数までな。そこまで提出されてこれを偽装情報だと判断するバカものは軍にはいないと思っている、あの愚か者を除いてな。それと奴が短気を起こして強硬手段に出た際は我々も抑えはするがそちらで対処してもらって構わない。いい加減、愚か者のお守りも疲れてきたんでな。」
「それはつまりそうしてしまっても構わんという事ですね?」
「そういう事だ、期待している。もちろん、この会話については提出してもらっても構わん。軍部でも問題行動として認知されているし、ヤツの親御さんからも「もはや擁護はできん。」とお墨付きをもらっているからな。あと、ヤツの今回の行動は軍の命令系統では一切認知されていない、よって奴が問題を起こせばそれは軍においての粛清対象、行き過ぎてしまえば処刑対象だ。」
「了解です、きちんと始末しますよ。」
「すまんな、最後の最後で汚れ仕事を預けてしまって。後で個人的にだが報酬を…」
「それについては気にしないでください、報酬より後で一杯奢ってくれればそれで構わないですから。」
「…感謝する。」
ふむ、ケンネル大佐の上官があったことかと思ったらまさかの部下だったか。親の権力で命令権とか強奪してたんかねぇ。
まぁどうでもいいけどさ、家の身内に手ぇ出そうってんならやるこたぁ一つだからな、絶対ぶち〇すだけだ。
「傭兵、ソラカケル入ります。」
「入りたまえ。」
偉く尊大な態度の声だなぁ、無駄にプライドだけ高いゲロ以下のにおいがプンプンするぜぇ。
「出頭命令を受け出頭いたしました。」
「よき心がけだな、では出頭命令の理由を告げる。出頭者ソラカケルは海賊と秘密裏に情報の共有を行っており、前回の海賊基地破壊、今回の基地破壊任務において撃破数の捏造、報酬の架空請求を行ったものとして当該者の保有艦、保有機を軍部が差し押さえるものとする。」
「へー、根拠は?」
「ふんっ、傭兵ごときがそんなものを気にする必要はない。黙って命令に従えばいいのだ、軍幹部でありサンデュールズ国会議員の息子であるこの僕にな!」
「おことわりしまーす。」
「貴様…この命令に逆らうというのがどういう意味か分かっているのか?」
「もちろんですよ、いわれのない罪を擦り付けられたかわいそうな俺はそれを拒否しただけですから。」
「話にならんな、ならば貴様は命令拒否をした罪人に何を話しても意味は無い。」
そう言ってアホ野郎は腰のホルスターからチャカを引き抜いた、動きからして明らかになれてないなぁコレ。
訓練とかもろくにしないで来たことが一目でわかる、大体予想通りだったけどさ。
明らかに軍人らしからぬデブ体系だし、年齢的にも俺とそう変わりはないくらいのはずなのにケンネル大佐の直属ってことだから階級は大尉くらいか?こんな感じじゃデスクワークもろくにやってないんだろうなぁ。
「安心したまえよ、貴様の妻とやらは私がかわいがってやろうではないか。」
「…」
「何も言わんのはつまらんな、せめて悲鳴の一つでもあげてもらうとするか。」
そう言ってアホ野郎は俺の太ももに向けて発砲してきやがった、さすがにパイロットスーツじゃない普通の服装なんで綺麗に貫通した。
…滅茶苦茶痛えぇよ、だがまだだ。まだその時じゃない、顔を顰めながら俺はまだ耐える。
「どうだ、痛いのだろう?無様に泣き叫んだらどうだ。そして私に許してくださいと縋り付くがいい。」
「…死んでもそんなことするかよ、クソデブ野郎が。」
「きっっっさまぁぁぁぁぁ‼ぶち〇してやる‼貴様の妻も!娘も!嬲り○してやるわ‼」
いい感じにヒートアップしてくれたな、プライドの高い野郎にはこういう単純な罵倒が良く効く。
ついでに今の会話も録画されてるから俺の正当性も証明されるだろう、こっそりケンネル大佐から預かった超小型インカムから「よく耐えてくれた、これでもう君の正当性は十分立証される。好きにしてくれたまえ。ただ、過剰にはやりすぎてくれるなよ?今度は君が危うくなるからな。」と声がかかった。
その声が聴けて俺はすぐさま隠し持っていたHGを取り出し、俺が撃ち抜かれた太ももと同じところをぶち抜いてやった。
「ギッッッ、ギャァァァァァア‼」
「うるせえなぁ、汚い声出すなよ。」
「きっ貴様‼こんなことをして許されるとでも‼」
「…撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけなんだよ。」
痛みで顔をめちゃくちゃにしたアホ野郎にそう告げて、俺はそいつの眉間を撃ち抜いた。
「ケンネル大佐、終わりましたよ」
「あぁ、よくやってくれた。」
インカム越しに伝えたつもりだったが、部屋に入ってきてくれたようだ。俺の後ろから大佐の声がかかった。
「君の奥方にも連絡はしている、すぐに医務室に…」
『失礼します、ケンネル大佐。夫を連れていきますのでその後の会話はまた後にしていただきたく思います。』
「う、うむ。だが、医務室ならこちらの艦にも・・・」
『私達の艦ならばより早く迅速に処置は終わりますので、グィネヴィア行きますよ。』
『はい、母上。それではケンネル大佐、また後程。』
「う、うむ…」
モルガンとグィネヴィアの圧に負け、ケンネル大佐は引き下がってしまった。
そして俺はモルガンに山賊担ぎをされながらアヴァロンの医務室に運び込まれたのだった。
ヴィ「前にも似たような奴いたよね( ゜Д゜)」
グィ「大腿動脈に傷!?急がないと…(T_T)」
モゴ「パパって相変わらず体張るね(;´・ω・)」
オヴ「そこがかっこいいんだけどね( 一一)」
マー「ママと私たちに心配かけ過ぎだけどねー"(-""-)"」




