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遠足は帰るまでが遠足です

 船に戻って一息ついてから周辺国家のリサーチを含め情報収集すること早1週間。

 俺がやれることはせいぜい「ここは食品が安いなー」とか「マテリアル収集ならここかな〜」とか簡単なリサーチしか出来ないのでほぼモルガンにおまかせだ。

 そして今日腰を上げて宙に繰り出すのだ、新たな新天地に向かう訳ではなくてお金稼ぎだがな。

 駐艦料金は1ヶ月の纏めて支払いをすると1万メルだがその他空気料とか色々かかるのだ、まだメルには余裕があるが無くなってから困るでは手遅れなので早め早めに出る杭は打つに限る。

 この宙域内に海賊はそこまでいる訳ではないのでマテリアル収集かな〜と思っている。

 エルメロイコロニー周辺には小惑星帯が存在しているのでそこに向かって色々集める予定だ。


『マスター、出港許可が降りました。小惑星帯に向け出港致します。』

「おう、よろしくな〜」


 モルガンがきっちりしている分俺はのんべんだらりのスタイルを崩す事はほぼない。

 アヴァロンのメインエンジンが稼働を開始して進路を取る、小惑星帯には半日程で到着する予定だ。

 そこまではのんびりだな〜、いやー!!楽できるって最高!!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「モルガン採集量が1杯だ、1度帰還する。」

『YESマスター、着艦せずそのまま採集に戻られますね?』

「そうだな、カーゴを解放しておいてくれ。」

『YESマスター、カーゴ解放マーリン所定位置に待機しなさい。』


 ギャラハッドをアヴァロン後部のカーゴに接艦して収集したマテリアルを移送する。

 ギャラハッドの現在装備しているパッケージは『ボールス』マテリアル収集等様々な物資の回収、移送に特化したパッケージだ。

 一応自衛程度の武装は搭載してはいるが、先に使ったランスロットに比べれば雀の涙程度でしかない。

 出来れば戦闘は回避したいと思う程度しかないのだ。

 カーゴに全て移送が完了したのを確認したのでまた小惑星のひとつに向かう。

 嬉しい事にこの小惑星帯に含有されるマテリアルはギャラハッドやアヴァロンの装甲材に利用しているものだったのだ。

 普通に使用するにはクズ鉱石でしかないのだが特定の環境下で加工することで素晴らしい性能を出してくれるものだ。

 その他にも換金率の高いレアマテリアルもザックザクなのでこれを持ち帰れば十分な資金になるだろう。

 そのうち何処かの宙域に小惑星基地を建設してもいいかもしれないなぁ……夢が広がるな!


『マスター、近辺に別の収集艦が来ています。このまま行くと鉢合わせになるかと思われますが如何しますか?』

「あぁー……やっぱ来るよな、俺1人ウハウハはさせてくれねぇか。」


 収集艦は3隻程で船団を組んでいるらしく俺の収集ペースより早くマテリアルを回収しているらしい。

 まぁ、当然だよな。幾らギャラハッドが優秀だとしても専門の艦に勝てる道理は無いしな。

 モニター越しに艦の全貌が明らかになって来た。

 あれは艦内ファクトリーを備えていないタイプだ、つまり原石をそのまま工業コロニーに持ち込んで換金してもらうタイプだな。

 護衛機が着いていないところを見ると自衛のためにある程度の武装は施されているんだろう。

 装甲板に被弾した形跡があるのを見る限りそれなりの場数は踏んでいるんだろうなと言うことが見て取れる。

 ちょっと嫌な予感もするんだけど気の所為だと思いたい。


「こちら小惑星帯マテリアル収集艦隊旗艦ゴリアテ、貴艦の所属を明らかにされたし」

『こちら傭兵組合所属アヴァロンです、現在小惑星帯にてマテリアル収集を実行中です。』


 通信が入り所属確認される、まぁ当然だな。

 普通ならここで所属を明らかにしない、存在しないような所属を名乗ってくる奴らは大抵アウトローの連中だ。

 俺はちゃんと傭兵組合に登録してるからいきなり「死ねぇ!!蛮族共が!!」となることはない。

 たまーに蛮族プレイしてるヤツらがかかってくることはあったけど、そういったヤツらを返り討ちにするのも俺の仕事だったから慣れてる。


「確認した、アヴァロン貴艦は我々の領域を侵犯している。速やかに退去し採掘した物を我々に引き渡す事。」


 ほらぁ、こうなった。

 勿論この周辺が収集艦の所属する組合等に登録されていないことは確認済みだ。

 こういった登録をする際はかなり前の段階から立ち入りや収集が制限されるし、データベースにも登録されるのだ。

 だから俺達は予めそういったデータを収集し問題のない小惑星帯のエリア一角で活動を行っていたのだが、こんな輩はどこにでも現れるというのか減らないんだよなぁ。

 俗に言う悪徳業者だなこれは。


『これはこれは、データベースにも登録も登録申請すら上がっていなかったものでしたからおかしいですね?もしや申請を上げ忘れていらっしゃったのではないでしょうか?』

「そんなことはない、ひと月前には申請を出し認可されている。そちらの不手際だよって速やかに収集物を空け渡せ。場合によっては強制的にでも荷を明け渡してもらうぞ。」

『こちらに非は無いのですがね、そんなことをして手に入れた品をコロニー側が受け入れるとでもお思いですか?』

「えぇいやかましい!!強制的にでも貰っていくぞ!!全艦火器使用自由!!あのやかましい船を落とせ!!」


 あぁーあ、化けの皮が剥がれたな。

 多分だけど申請出したはいいがすぐ蹴られたんだろうな、あんまり良い業務状況じゃないとか裏で海賊と繋がってるんじゃないかとか考えられる事は幾らでもあるし。

 そもそもの通信の入り方や語気からあんまり宜しくない輩だってのは想像ついてたし。


「モルガン、コロニー側に連絡は?」

『既に通報済みですマスター、あの艦隊はサルベージ組合から脱退処分を受けた直後だった様で通信回線の録音データも送信したところ「貴艦に非無し武力行使された場合は撃墜して構わない」との回答も受けています。』

「良し、よくやったモルガン。こちらが撃たれた瞬間に主砲をもって撃滅だ。」

『YESマスター、これより迎撃行動に入ります。』


 敵艦ゴリアテの砲撃がアヴァロンに飛来する、勿論着弾する前にエネルギーシールドに阻まれて霧散する。

 自慢じゃないがあのエネルギーシールドを貫くのはあの装備では酷だろう、大型縮退炉3機から供給されるエネルギーを受けて発生しているのだから。

 絶え間ない砲撃を完全に無効化させながら主砲を敵艦に向けエネルギーを充電する主砲から溢れ出たスパークを眺めていると『充填率60%敵艦撃破に十分と判断、発射します。』モルガンの声と共に主砲が咆哮をあげる。

 エネルギーの奔流が敵艦3隻の丁度真ん中あたりを抜けていく、敵艦からすれば「馬鹿め外しやがったか」とでも思うだろうがそんな甘い話があるわけないでしょうが。

 主砲クリュサオルのエネルギー弾は通過した周辺に存在する電子機器を強制的にオーバーロードさせて破損させる。

 今頃あの3隻生命維持装置とかもぶっ壊れて阿鼻叫喚、なのに通信機器も全てダウンしているからもうどうにも出来ない。

 そんな事になってんだろうなぁ。ま、手を出す相手を間違ったって事で諦めてくださいや!!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 はい、只今の私の状況はと言いますと絶賛撃破したあの3隻から戦利品をパクってるところです。

 コロニーの組合には連絡済みだし特に問題は無いのだが、まぁあれださっき電子機器全てぶっ壊したじゃん?

 一応ね?あの武装は強過ぎるからあんまり使えない物なのよ、でもね?その副次効果はパルスシールドっていうゲーム内でも長距離移動ワープをする際等に必須な装備を付けるだけで守れるんだよ。

 あとは実際どうなっちまうんだろうって言うのを始めてみたってところもあってちょっとこれは……ってなってる所です。

 具体的にはあれだよ、潜水艦が海底に座礁して船員は暴動を起こし船内の至る所で〇体が量産されて最後は酸素切れでオヤスミナサイしてる感じ。

 まんまそれだからね、見てて面白いもんじゃないから俺はカーゴブロックだけ回収して戻ったよ。

 今はマーリンが中身を選別してくれてる、たまーに良くない品が混じってるところを見るにやっぱりどっかのアウトローとは繋がってたんだろうなぁと思う所ではある。

 出てきたもんの中にヤクブーツならまだしも下世話な物(加工品)まであったぞクソッタレめ。

 加工品については我がアヴァロンの機密区画にて処理中だ、全部で4つ程だったけど『この程度を処理出来なければ私はAI失格です。』とかモルガンがめちゃくちゃやる気出してたんだよ。

 おかげで丸投げでOK、この品物についてはこちらで処分したことにする。

 ヤクブーツはコロニーに持って行けば証拠品回収の協力という事でそれなりの金額で引き取ってくれる。


『マスター、回収作業終了しました。アヴァロンのカーゴも積載限界です、ファクトリーで精錬加工を施している最中ですが撃破艦からのマテリアルも含めてかなりの量ですので全工程の完了まで5日ほどかかります。』

「了解だモルガン、装甲材やコンピュータのアップグレードに必要なマテリアル以外は未精錬でも構わない。精錬済みのほうが買取額は上がるのは確かだがそこまでファクトリーを全力運転させる必要は感じないし。」

『YESマスター、では装甲材やアップグレードに必要なマテリアルを最優先にそれ以外のマテリアルについては空きのあるスペースで同時作業を行います。』


 思わぬ収入と気分は良くないけどお金が大量に手に入る切っ掛けをくれたあの艦に感謝しておくことにしよう。

 エルメロイコロニーに進路を向けたアヴァロンに着艦しながらそんなことを考えた。

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