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人工知能達と行く宇宙傭兵生活   作者: フタバ
聖騎士と従者と
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今は遥か理想の人

 お父さんが手を出さないようにって言ったから私はある程度の距離をとって戦闘を観戦することにした。


 基地の内部には、もうアヴァロンから制圧用BOTが侵入してるみたいだし周りに海賊のAMRSもいないからね。

 お父さん曰く「こいつらはやり手だ」って言ってたから私を下げたんだと思う、私としたら私だって出来るって言いたかったんだけどね。


 モニターに表示されたお父さんのあの表情…笑ってたから。

 初めて本気で遊ぶことが出来そうな対象を見つけた子どもみたいな顔だったんだ。


 あの表情は私がお父さんと演習した時に最後の一瞬だけ見せてくれた表情だったんだ、相手は4機で私があの表情を引き出したのは1vs1。

 私のほうが強いって証明になるんだろうけど…悔しいよね、時間をかけて一瞬しか見せてくれなかった顔を対面しただけで出されるんだもん。


「あいつらが、どれだけお父さんの本気を引き出せるのか…見せてもらうよ」

『モレッド、アヴァロン付近まで後退しなさい。おそらくですがその位置にいても巻き添えをもらうでしょうから。』

「えっ…了解。」


 お父さんの本気がどれだけすさまじくなるのか少し想像もつかなくなってきたけど、ひとまずお母さんの言う通りにアヴァロン付近まで後退した。


「でも、この位置じゃあんまり見えないよね。」

『モレッド、機体を艦内に戻してブリッジまで来なさい。」

「ブリッジに?」

『はい、高精度望遠カメラなどもありますから。ヴァレットで見るより良いでしょう。ほら、急ぎなさい。始まっていますよ。』

「え⁉嘘、すぐ行く!!」


 ヴァレットを着艦させてヴィヴィアンお姉ちゃんに「そのままブリッジに行くからお願い!!」と言ってそのままブリッジに飛んでいく。


 ブリッジ横の緊急出入口からそのまま入れてもらって、モニターに映っている戦場を確認し始めた。


『モレッド、急ぐのはいいですがカタパルト上に機体を置いていくのはいただけませんよ。」

「うっ‥ごめんなさい。」

『ヴィヴィアンから「モレッドちゃん急いでたから今回は見逃してあげるけど、次からはだめだよ?」とお小言が届いていますからね。』

「はぁぁぁい。」


 ぐぬぬ、ヴィヴィアンお姉ちゃんにすらくぎを刺されてしまった。


 本当に気を付けないと、ヴィヴィアンお姉ちゃんに怒られたことなんて…いや、お姉ちゃんたちから怒られたことがないからすごい怖い。


「っとと、お父さんの戦闘見ないと。」


 改めてモニターに視線を戻して戦況を確認する。


 お父さんのギャラハッドは相変わらずと言っていいくらいの変則的マニューバで敵機の攻撃をよけ続けてる、戦闘機で言うコブラで相手をオーバーシュートさせて攻撃したり、クルビット的な動きをしながらすれ違いざまに切りつけたり、インサイドループにアウトサイドループ、曲芸飛行でもしてるの!?


「お父さん、あんなに動き回って…よく当てられるね」

『あの人は機体のロックオン機能をカットしていますからね。」

「余計に難しくない!?」

『曰く「ロックオンしてそれを敵機に外されたりすると機体のデータリンク処理がコンマ01秒単位でフリーズしちまうんだ。それが嫌でな。」と言っていましたよ。つまりあれはアロンダイトの銃口補正や斬撃の筋を全て自分で管理しているという事です。」

「…お父さんに勝てない理由の一つがわかった気がするよ。」


 お母さんが言っていることの難しさとそれを自分でできるかと言われれば、間違いなく無理と言えることだったんだもん。


 バルザミーネの制御は私の空間認識能力?で完全に制御はできるけど、それは激しく動いていない間に限る。

 あんなマニューバを繰り返しながらバルザミーネを制御なんてできないし、そもそも動き回っている敵機にあれだけ近接戦を仕掛けに行く度胸もない。


『モレッドの考えていることはわかりますよ、実際あなたにはできない事をあの人は普通にこなしています。ですがそれは、あなたと私達を守るために磨いた力。言い方は悪くなってしまいますが背負っている物の重みが違うのです。」

「…背負っている物の重み。」

『そうです、あなたはまだAMRSに乗ったばかりの新兵。戦績自体は輝かしい物ですが、それは言ってしまえば与えられたもので得たに過ぎません。あの人は本当に1機のAMRSからこのアヴァロンを建造し、ギャラハッドを作り、そしてあなたの為にヴァレットを与えた。あなたを守る最強の剣であり盾であるヴァレットを。」

「…なら、私はどうすればいいの?」

『それはあなたの決める事ですよ、モレッド。突き放すような言い方ではありますが、あなたはまだ何者でもないんですから。それはつまり何にでもなれるという事です、あの人と同じように傭兵の頂点を目指すのも、私たちと共に傭兵を続けるのか、それとも独立して一傭兵として活動するのか、もしくはどこかの国の軍にスカウトされてそこに就職するという手もあります。あなたの可能性はどこまでも広がっていますよ、その可能性にどこまでも手を伸ばしてみなさい。私とあの人はそれを応援しますから。」


 お母さんの言葉に少しちくりとした痛みを感じた。

「私は何者でもない」なんでかはわからないけど、その一言にすごい重たいものを感じたんだ。

 でも、私はお父さんとお母さんから間違いなく愛されている。そうじゃなきゃ、私にこんなにもたくさんのものをくれたりなんてしないと思う。

 居場所もそう、ヴァレットもそう、喜びも悲しみも全部。

 全部、お父さんとお母さんがくれたんだ。


「うん、ありがとうお母さん。私、なりたい自分を目指すよ!!」

『頑張って見せなさいモレッド、期待していますよ。」

「うん!!あ、お父さんそろそろ決めに行く感じかな?」

『そうですね、十分楽しんだでしょうから。」


 モニターには傷一つ負っていないギャラハッドと、装甲が欠損したり、四肢がもげていたりスラスターがせき込んでいる敵4機が映っている。


 敵機はギャラハッドを囲んだ陣形をとっていて、後がないようにも見える。逆にギャラハッドの方は囲まれているのに余裕しゃくしゃくって感じ。


 多分今頃お父さん、通信越しに敵を無自覚にあおってるんだろうなぁ。


 無自覚だから普通にやっちゃう分たち悪いんだよね、私も演習の時経験したからわかるよ海賊達。


 あ、はじまった。

 互いに対角線上には入らないように配置はしてたみたいだけど、お父さんわざと射線に入るように動きながら撃たせてる。そのせいでお父さんが攻撃しなくてもフレンドリーファイアで勝手に削られちゃってる。


 射撃じゃやっぱりだめってなったのかな?分隊で攻めだした。

 あ、分隊っていうのはAMRSを扱う部隊では最小のものの事を言うよ。

 3個分隊が集まったものが小隊、4個小隊が集まったものが中隊、3個中隊が集まったものを大隊って覚えてね。


 近接戦に入ったはいいけど、お父さんどっちかっていうと近接のほうが好きだから…あっ1機落とされた。

 もう崩れちゃったね、分隊組んでたもう一機はアロンダイトの砲撃でコックピットブロックを撃ち抜かれちゃった。


 その後ろからまた分隊が襲って行ってるけど、長くはもちそうにないなぁ。

 おぉ?海賊機の片割れがサブアームを展開してギャラハッドのコックピットブロックを撃ち抜こうとしてる‼


 …うわぁ、お父さんその場でバク宙みたいな動きしながら背後に回って抜き手で貫いちゃった。

『パパのバカ‼なんで抜き手なんてことするのさ‼アクチュエーターがばかになったらどうするのさ‼』ヴィヴィアンお姉ちゃんの怒りの声が聞こえた。…かっこいいから今度やってみようと思った私はそっとその思いごと捨てることにした。


 最後の一機は流石に逃げようとしてるね、あれ?お父さんなんでわざわざ「エルン」使ったんだろ?ロックしないと基本誘導兵器なんて使い物にならないのに。


『エルンは発射後に弾頭に搭載されたレーダーによって自動的に敵目標を追尾しますからね、ギャラハッドのロックオンシステムとは別系統ですよ。』

「ほえぇぇ…よくできてるんだねぇ、でもよく私の聞きたい事に気が付いたねお母さん。」

『先ほどギャラハッドのロックオンシステムの話をしましたから、疑問になるのは当然でしょう?」

「それもそうかな?ありがと、お母さん。」

『どういたしまして、モレッド。」


 お母さんの優しい微笑みにちょっとドキッとしちゃった、女の子同士なのにあんなにドキドキさせるお母さんってずるいと思うんだ!


 お父さんの方も戦闘終了したみたい、アヴァロンに向かってゆっくり近づいてきてるからね。


 はぁぁぁ~、お父さんの壁は高いし分厚いなぁ。


 いつか私もお父さんに肩を並べられる日が来るのかな、来たらいいな。

ヴィ「やっぱりパパの壁は高いか―(*'ω'*)」


グィ「ゆっくりでいいんですからね(*'▽')」


モゴ「戦闘経験の圧倒的な差はなかなかね~"(-""-)"」


オヴ「損耗率まで低いから文句もないし('ω')」


マー「強すぎて新規開発しようがないのが不満かな~( 一一)」

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