失せろ俗物‼
傭兵組合から依頼を受け、出発してからはや数日。
俺たちは破壊対象の海賊基地と距離50km地点まで来ていた、この距離ならばギリギリ向こうのレーダー索敵からは外れるがこっちは光学、レーダー両方で状況を確認できるからな。
俺とモレッドは食堂で作戦開始前のティータイムとしゃれこんでいる。
作戦前には適度なリラックスが大事だと思っている俺の案でな、モレッドも2度目の出撃なので緊張はそこまでしていないが無意識下の緊張まではわからないからな。こうして二人でのんびり会話しながら準備運動をしているってわけだ。
あ、いい忘れていたけどパイロットスーツを着たら基本トイレには行けないぞ。
代わりに機体に備え付けられてる全自動浄化装備にスーツが接続されて、そこに垂れ流しだ。
作戦行動ってなると1時間2時間程度じゃ基本終わらんからな、そういった配慮が大事になってくるわけだ。
AMRSの歴史を掘り返してみても、一番発展しているのはこの部分だしな、やっぱり排泄のケアは大事ってわけだ。
『二人とも、間もなく作戦開始時刻です。亜空間通信が入り次第出撃です。準備を。』
モルガンの艦内通信で俺とモレッドは自機に向かう、格納場所は一緒だから早足程度で向かうけどな。
『パパ、モレッドちゃん。ギャラハッドとヴァレットはバッチリ準備してあるから、思いっきり動いてきてね‼』
「おう、行ってくる。」
「行ってきます、ヴィヴィアンお姉ちゃん‼」
格納ケージに着くとヴィヴィアンから最善の状態に仕上げてくれたことを聞き、それに返答した。
何気にヴィヴィアンに出撃前に声をかけられたのは初めてな気がするな、悪くない気分だ。
ギャラハッドに乗り込み主機を起動、スラスターの駆動確認を行いカタパルトに向かう。
モレッドも同様の動作確認を済ませて俺とは反対側のカタパルトに向かったな、ギャラハッドとヴァレットのパッケージシステム管理上同じカタパルトに並ばせることはできない。
ぶっちゃけた話、アヴァロンに4基搭載されているカタパルトのうち2基は他の傭兵機は使えないのだ。
ある意味設計上のミスというところだ、まあ別に気にしてないからいいんだけどさ。そもそも他の傭兵乗せたくないし。
『ギャラハッド、装備パッケージはいかがされますか?』
「ランスロットで行く、先手必勝だ。」
『了解、PackegeLancelot Standby』
ギャラハッドにランスロットが装備され脚部ユニットにシャトルが接続される、そのまま少し前進して隔壁から出る。その少し後に、ヴァレットも出てきたのを確認した。
ヴァレットのパッケージはまだ一つしかできていないらしいから前と同じだな。パッケージ名はたしか「PackageKeeper」だったかな。
基礎設計をモルガン、運用方法と発展設計をマーリンとヴィヴィアンでやってたはずだ。
俺の手を離れたところでやってるからほんとに何も知らねえ、唯一わかってるのはモレッドに合わせてバルザミーネの多数運用に特化してるってことくらいだしな。
他に3個のパッケージが現在建造中らしいけどマテリアル余るのか…不安だ。
『作戦本部より入電、これより作戦を開始します。本作戦開始後、担当宙域制圧完了後は周辺宙域の支援に向かう事と追加指示が入りました。本艦はギャラハッド、ヴァレット射出後100秒後に主砲及び誘導兵装による援護射撃を行った後基地に接近、基地内部の制圧の為近接戦闘に入ります。』
「「了解‼」」
『カタパルト、リニアボルテージ上昇中。射出タイミングをパイロット両名に譲渡します」
「ギャラハッド、ソラカケル。」
「ギャラハッド・ヴァレット、モレッド。」
「出撃る「ます」」
カタパルトから勢いよく射出された俺とモレッドはスラスターを全開にして一気に加速、基地に向けて駆けていく。
機体速度計では大体マッハ2くらい、つまり50km先には73秒くらいで到達するってこと。
100秒後に援護射撃が来るなら20秒後は一旦射線に入らないようにうまくずれる必要があるってことだ、その辺はモルガンがアラートを出してくれるだろうから気にはしなくて大丈夫だろう。
「モレッド、行けるな?前みたいな事したらまた怒られるぞ」
「わかってるよお父さん、今回は大丈夫。そのためにいろいろ準備したしね‼」
「そいつは重畳…さて、やるぞ‼」
「はーい‼」
ギャラハッドのメインカメラが基地の防御兵装をとらえ、援護射撃ではつぶせなさそうなところをピックアップ。
脱走されないように海賊艦のスラスターを破壊することに俺は決めたので防御兵装の処理はモレッドに託す。
海賊艦は全部で6隻、中型艦と小型艦、AMRS母艦に改造されたらしき中型艦だな。
本体は最終的に払い下げ用に鹵獲対象とするために出来るだけ損傷を与えないよう、的確にスラスターを打ち抜いていく。ついでに起動も出来ないようにジェネレーターも破壊しておくか。
こういう海賊艦ってのはだいたいスラスターの前に配置されてるから狙うのも楽だ、アロンダイトの弾頭を高速徹甲弾にしてぶち抜けばはい完了。
これであの艦たちは曳航しないと動けない、しかも動ける艦なんてないから俺たちに鹵獲されることが確定だ。
ここまでで出撃から97秒、あと3秒で援護射撃開始だな。モレッドも防御兵装はバルザミーネでつぶし切ったみたいだし、あとは出てくるAMRSを叩き落としていく簡単なお仕事だな。
『援護射撃開始、弾着まで3…2…1…今。』
閃光をあげて基地外殻を吹き飛ばした砲撃の後に誘導兵器も一気に飛来してきた、大方の防御兵装は排除できたんでこれでもう海賊共はAMRSで対処していく事しかできなくなったわけだ。
逃げるにしてもAMRS単体で亜空間航行はできないし、そもそも補給無しのAMRSにそこまでの航続距離は無い。ぶっちゃけ反応炉の性能が上がりきった第7世代くらいじゃないと補給無しでは3日と動かんからな。
弾着による爆炎が収まってきたころようやくAMRSが出てきた、全部で70ちょいくらいか。
前とおんなじくらいだな。
「モレッド、AMRSが出てきたぞ。生死は気にしなくていいからどんどん落としていけ。」
「了解だよ、お父さん。私に撃墜スコア抜かれないといいね?」
「いったな?なら勝負と行くか。」
「当然‼負けないよ。」
そうして始まった撃墜スコア対決、モレッドはさっそくバルザミーネを展開し一機、また一機と落としていく。
俺も負けてらんないなと、アロンダイトに炸裂徹甲弾を装填し即座に発砲。
ワンマグで6機落とす、そのままの距離で引き打ちしてもスコアの伸びはいまいちそうなのですぐに敵機の集団に突っ込んでいく。戦闘機で言うバレルロールの動きですれ違いざまに何機かを落としていく。
「ちくしょう、場所がバレて分かってたんだ。さっさとずらかっちまえばよかったんだよ‼」
「うるせえ‼相手はたかが2機だろうが‼見たことねぇ武器を使っちゃいるが数で押せば行けるっ。」
「その数がすげえ勢いで減らされてんだよ、くそったれが‼」
「密集したら一気につぶされるぞ‼散れ‼」
「散ったところで個別につぶされるんじゃ意味ねえだろうが‼」
「クソが、なんでレーダー圏外からこんなに正確にこっちの設置兵装を破壊できるんだ‼」
「いいからあの2機を落とせ‼」
「…おいおい、冗談だろ‼大型艦接近‼基地に接舷させるな‼」
「くそったれがぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
いいタイミングでアヴァロンも来たな、海賊共も俺とモレッドを狙うべきかアヴァロンを落とすべきかで大慌てだ。
「モレッド‼」
「わかってる‼やっちゃえバルザミーネ‼」
アヴァロンに向かったAMRS以外の機体にバルザミーネが火を噴く、「ちっくしょうがぁぁぁぁぁ‼」と断末魔が無数に聞こえながら俺はモレッドとともに討ち漏らした数機を撃破してアヴァロンに向かった海賊を追った。
まぁ当然というか、アヴァロンの防御兵装の前に手も足も出ずといった感じで有効射程圏内にすら入ることが出来ずに被弾ばかり重ねているな。
あっ、1機落ちた。
防御兵装が火を噴いてる時に時折モルゴースが「失せろ俗物‼」ってハ〇ーン様みたいなこと言ってるけど。
残りは僅か4機、他の奴らに比べりゃ動きはかなりいいな。
こいつがエースクラスか、機体のスペックも他の奴より高いみたいだし。
なにより、俺とモレッドを相手するより先に母艦と思しきアヴァロンを速攻で叩きに来たところを見ると、元軍人か…若しくは傭兵崩れか?
「なるほどな、僅か2機で他の基地を潰した傭兵がいたと聞いていたが。」
「あぁ、あいつらのようだな。」
「うむ、圧倒的に数で有利の我々をここまで追い詰めたのだ。認めざるを得まい。」
「しかし惜しいな、ここでその芽をつぶさせてもらうぞ‼」
小隊編成の連携で一気に俺に向かってくるか。アヴァロンに近づくのは困難と判断してクルーであろう俺を撃破して引かせる、若しくはアヴァロンを奪って逃走するつもりかな?
「お父さん‼」
「モレッド下がってろ‼こいつらは俺が相手をする‼」
「その勇気は認めるが…」
「機体スペックがいかに優れていようと‼」
「パイロットスキルが高かろうと‼」
「われらの連携が突破できると思うなよ‼」
モレッドとモルゴースに援護射撃は不要と伝えて、俺は4vs1の戦闘を開始した。
ヴィ「始まったねぇ"(-""-)"」
グィ「モレッドちゃんなら大丈夫(*'ω'*)」
モゴ「メチャクチャ近寄ってきてウザイ‼( ゜Д゜)」
オヴ「機関部稼働率63%で安定('ω')」
マー「ファクトリー余剰スペース確保完了‼('◇')ゞ」




