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ぶっ飛びすぎて笑いしか起きない

 〜ローゼン・エーデルベルク・シュヴェルト・ハーレイ視点〜


「さてさて、どの様に踊るのかのぉ?」

「キスハの事だからいたぶるんじゃい?」

『モレッド...ぶすくれた所であなたに出番はありませんよ?』

「キスハずるいぃ!!私もまだまだ暴れたかった!!バトルロイヤル方式よりこっちの方が楽しいじゃん!!」

「はっはっは!!見事に妹にしてやられた姉の姿よの!!」


 個室にはシュトとグィネヴィア嬢、グリトネア殿を除く全員が来ておる。それなりに広い個室とは言えこれだけの人数が揃うと少々手狭感は否めんな、とは言えソラ家の皆々は我がローゼン・エーデルシュタインの代表と言うだけではなく最早身内と言っていい。護衛という観点からも最高級じゃしここで別の所にいて貰うというのも難しいものじゃしの。


 と言うか、この場に限っていえばローゼン・エーデルシュタインの余の寝室よりも防衛という観点では強固じゃろ。モルガン殿達は何時もの侍女服姿ではあるがシックザールやフッテンとは違って、そのスカートの内側にバレぬ程度に銃火器を隠しておるしそれが出来ぬモレッド嬢…もう嬢を付ける必要も無いかの?義姪となる訳じゃし(そんなに歳が変わらんのに姪とはこれまた複雑じゃなぁ…)、も実戦経験こそしていないものの白兵戦のプログラム自体は受けておるようじゃしな。


 あぁ忘れておった、シュトはアルビオンでカケルの傍におるぞ。「モルガン様が職務で離れられぬ以上、第2夫人たる私が夫のそばに居るのです!!」と言うてのぉ…まぁ死にはしないとは言えもう少し射線がズレていれば死んでいたということもあればあの気の入りようも致し方あるまいて。


「おっ?始まるようじゃの。」

「ティトン叔母ちゃん、前回の装備からガラリと変更してるよね。前回まではオールレンジ型だったのに、今回は完全に遠距離戦特化…しかも1撃必殺クラスの最早火砲レベルの奴じゃんあれ。」

「88cm電磁投射砲『最上(もがみ)』だった筈なのです、ビーム技術が未発達だからこそ実弾が生きるって言ってた父様の言ってた事の受け売りなのです?」

『あぁ…なるほど。』

「む?モルガン殿何か分かったのかの?」


 始まる直前のティトン殿の駆る1式を見てモルガン殿は何かを察した様じゃ、と言うかキスハも含めて何もモルガン殿達に言っとらんのかと言うことは野暮なので言うまいて。


 果てさて何をしてくれるのじゃろうかの?


「それでは第1回戦第1試合...開始ぃぃぃぃ!!」

「ドゴォォォンッ!!」

「...は?」

「し...試合終了おぉぉぉおぉ!!開始からわずか1秒足らず、ティトン選手から放たれた一撃によって機体が無惨にも消し飛ばされているぅ!!パイロットは無事です!!あれだけの損害を与えながらパイロットには被害を与えない、その素晴らしい狙撃精度には脱帽するしかありませんね!!盛大な拍手を!!」


 思わず呆けてしまう程に一瞬で片付いてしまったが、要するに試合開始の瞬間ティトン殿はノーロックで電磁投射砲最上を発砲。亜光速に近い速度を持つ飛翔体は空気の壁を引き裂き爆音を鳴らし、空気抵抗で減速しながらも十分すぎる破壊力をその身に載せて敵をぶち抜いた。という事じゃろ?


 対AMRS戦の…それも重力下であれば基本的に上をとった方が有利になる、ティトン殿は全く動かなかったところを見るに完全にその動きを予見しきっていたという事じゃろ。離陸の瞬間…最も無防備にならざるを得ない瞬間に何が起こったかも分からずに消し飛ばされたパイロットの顔はさぞ愉快じゃろうて。


「モルガン殿はこうなると予見しておったのかの?」

『恐らくは、という予測ではありましたね。普段であれば妹達は基本キルスコアは全て娘達か主人に渡す為に無力化1歩手前にしていますが、今回は完全に個人戦。自身の持つポテンシャルを隠す必要が無いという事です、特にティトンはウチに配備されている各AMRSのソフト面を担当していますから、あの1式はソフト面という部分だけを見ればキスハのキャスパリーグにも勝るかもしれぬレベルに至っているでしょう。そしてあれだけ勝負を瞬時に終わらせたという事は、今回の現場指揮官であるキスハが()()()()()()()()()()()()()()とでも言ったのでしょうね。』


 言われて納得こそするがやっておる事は超高次元の話ではあるのじゃぞ?基本的に戦闘を離脱するのは個人の判断に任せられる部分こそあれど、機体の損耗率が2割を超えた時点で中破と言っても過言では無い(わかりやすく言うならば四肢のいずれか若しくはメインカメラの損壊じゃな)。それらを個人の裁量ギリギリを攻めつつ攻撃しいい所を持って行かせるなんて事そうそう簡単には出来ぬ。


 俗物的にいえばパワーレベリングとも言うべきか…トドメだけを取らせるのはいいがギリギリのラインを見極めなければ敵は逃亡する、しかもそのラインは同じ機体であっても乗るパイロット一人一人の裁量によって変化するんじゃ。相手のライフゲージが見えず、かつ個体によって逃亡タイミングの違う某狩りゲー(アルビオンに合ったのを遊んだのじゃ!!)みたいなもんかのぉ。


「偉くとんでもないことになりそうじゃて…バトルロイヤルの時点で十分楽しんだつもりではあったのじゃがのぉ…」

『おや、あの程度で満足されては困りますよ。まだ私共は主人への贈り物に対する返礼品すらお相手にお渡しできておりませんので、是非とも私共が贈る最高級の返礼品をお渡しするさまを陛下にはご覧頂かねばなりません。』

「はっはっは!!そうであったのぉ、余もあまりにもあっさりしすぎておったゆえ抜けておったわ!!じゃが…そうじゃなぁ。戦も食事も、あっさりしすぎていてはつまらぬであろ?あっさりしたものを食したあとは…」

『では味付けを変えてみると致しましょう、えぇご心配なく。私共がラインの見極めを謝る事など主人のこと以外有り得ません。』

「期待しておる。」


 あまりにも早くついてしまった決着に運営側も追いついてはおらぬようじゃ、だがそれを差し置いても観客席から巻き上がる完成の中にブーイングのようなものは感じられん。一瞬にして着いた決着をその目で目の当たりにできたこと、それよりもモニター越しでは無い自らの肉眼で目撃できたことに感動しておるのじゃろうて。


 この観戦席で眺めることの出来る戦場はもちろんローゼン・エーデルシュタイン代表たるキスハやモロノエ殿達が戦う戦場を望むことの出来る席ではある、何度観ても頭のおかしい事しかしない(褒めとるぞ?)カケルの一族の戦闘は見ていて飽きがこないものでの、ついつい見入ってしまうものなのじゃ。

 解説が無ければ理解も追いつかなかったあの頃とは違い、多少ではあるが目で追えるようになり戦術を理解し、部隊を自身の手で運用できるようになってからはよりあやつの動きがぶっ飛んでいるということは理解できた。…ぶっ飛びすぎてて真似なんぞしたらえらいことになるということも同時に理解したがのぉ…


『グリテン聞こえますか?…えぇ、そうです圧倒的に蹂躙するのもいいですがやはりあっさりしすぎなのも詰まりません。あっさりとした中にもしっかりと風味や味わいというものは大切ですからね、何が言いたいかは理解できましたか?』


 ははっ…グリテン殿の試合はなかなか楽しむことができそうじゃの、ふとモレッド達の方を見れば「えっ…ティトン叔母ちゃんあんな精度の攻撃出来んの?」と戦慄しているモレッド・エルピダ・シイナ・カンラ、よく見ておくと良いぞ…敵を騙すなら味方から。木を隠すなら森の中、自身やそなたらの父が飛び抜けているだけで周りにはお前達の足元を常に揺らし続ける者が居るという事をな。

グテ「あっさりしすぎてはダメ…つまり塩ラーメンでは無く味噌ラーメンにしろって事だね!!( *˙ω˙*)و グッ!」


モル「そういう意味では無いんですがねぇ…(。´-д-)」

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