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胡座をかいたつもりはなかった!!

 〜ローゼン・エーデルシュタイン中隊長「ウルリッヒ」中尉〜


「総員散会!!エルピダ嬢がいる戦場において集団戦は自殺行為だ!!ただし、キスハ嬢の突撃戦法対策の為連携の取れる距離は維持しろ!!」

「「「jawohl!!」」」


 カケル閣下…他の将校や貴族が聞けば「傭兵如きに閣下と称号を与えるなど何事か!!」と憤慨しそうなものだが、我々にとってはその称号こそがふさわしい。

 元々平々凡々だった我々の部隊が我が国1の精鋭部隊とまで呼ばれるレベルに急成長したのは間違いなく閣下の指導があったからこそ!!


 重力下だろうと宙間戦だろうとお構い無しに、今までの常識を良い意味でぶち壊してくださったあのお方からの声が上がれば我々は2の口を噤むことなく推参するのです。

 此度の演習依頼についても我々大隊から中隊規模1個集団を用意して欲しいと言われた際、ほんの僅かな時間でどれだけの血を流しかねない程に荒れたか…大隊長(今は師団規模になった為師団長)の「カケル閣下の元に推参するのに手傷を負ってどうする!!」という活が無ければ推参する前に全員ダウンしていた事は想像にかたくない。


 そして選ばれたのが私の中隊だった、師団規模になった事によりカケル閣下の指導を受けていない新兵が私の部隊には配属されていない事が理由でこの時ばかりは「お前には新兵も任せて貰えないのか!!」とバカにしてきていた同僚達に感謝した。煽り散らしてやったからなぁ!!


 さて…シュトラーセ殿下の機体は生存性(サバイバビリティ)に著しく特化しきった機体とカケル閣下から報告を受けている、その他にもモレッド嬢・キスハ嬢・エルピダ嬢の機体特性に武装についても同様だ。

 基本傭兵というのは自分の武器の性能を隠したがるものだ、それがもし自分達の狩る海賊共に流れてしまった場合対策され逆に屠られてしまうという危険があるからなのだが…寧ろカケル閣下とその御家族はそのリスクを承知で我々に情報を明け渡して下さったのだ!!


 何たる僥倖!!何たる栄誉!!この信頼…裏切るわけにはまいりません!!それを伝えられた部隊員達は私と同じ考えにすぐ到ったのだろう、目に涙を浮かべながらもキッとした表情をするのだから。


「っ!?総員警戒!!」


 物思いにふけっていたつもりもないが、やはり先手を打ってきたのはエルピダ嬢!!この精度とこの弾幕…流石は閣下のハンドメイド機!!両手両肩で最低でも4機はロック出来る重砲撃機体、それを間髪入れずに全機に対してほぼタイムラグ無しに攻撃を仕掛けてくるとは!!


 アトラク=ナクアと言うらしいその機体は、重砲撃機らしくない事も伝えられている。機体を保護する為の独立懸架式大型実体シールドと接近戦用の近接武装も好かないながら装備していると、攻略法は…


「エネルギー切れを狙え!!」

「?避けられたのです?」


 その大火力を維持する為のジェネレーター出力を大幅に食ってしまうこと!!全力攻撃を続けていられるのは精々が30秒程度だと聞く、それ以上砲撃を続けると砲身の冷却と再充填の為少なくとも5分は活動が制限されるとも!!


 であれば適度に反撃(シールドにも独立式小型ジェネレーターが配置されているとか)をしつつ意識を攻撃に向けさせるのが吉!!

 だがそれも簡単なことでは無い!!何故ならば…


「反応キャッチ!!キャスパリーグです!!」

「来たかっ!!」


 閣下の7女、切り込み隊長レベルの突貫をしながら無傷で多数の敵を容易に屠るキスハ嬢が居るからだっ!!


 キャスパリーグは可変機(カケル閣下の技術力は我々の想像を遥かに上回っているので驚かん!!どうやって可変機構を可能としているかなど考えんのだ!!)故の一撃離脱戦法を得意とする、それでありながら本来一撃離脱の為の高火力武装を一切搭載せず格闘兵装オンリーと言う尖りすぎな機体だ。

 それ故に近付かれた時点でこちらの機動性では振り切ることも出来ず一方的に刈り取られてしまうのだ、生半可な攻撃は容易に回避される上に推力差の影響で1度離れられると追い付けない。


 だがしかし、しっかりと対応策は頂いているしそれらを我々流でアレンジもできている!!


「ダミー射出開始!!」

「ダミー射出!!」

「うぇっ!?」


 キスハ嬢の驚く声が通信に乗って聞こえる…閣下の話通りっ!!「キスハは纏まった敵にツッコミがちだが、急に敵が増えたりすると動きが止まって逃げに入る。ま、本能みたいなもんだな!!」との事だ。


 そしてキスハ嬢が来て1度退けることに成功したということは…来るっ!!


「小型ビーム砲多数接近!!モールトですっ!!」

「よしっ!! Spinnen(シュピネン)gewebe(ゲヴェーベ)起動!!分かってるな!!」

「網目最小!!全機発射!!」

「うっそでしょぉ!?」


 恐らくあそこに居るご息女達の持つ武装の中で最も敵に回すと危険な武装…確か()()()()()()()()()と説明を受けたコードネーム『換羽(モールト)』の無力化に成功、説明では「1番楽な対処法はヴァレットに近接戦闘を強いることだな」と聞いていたが…それを聞いた部隊員全員が声を揃えて口にしたのだ「絶対無理ですっ!!」と、それならばと代案で提示されたのがEMPによる機能停止か物理的に行動を制限する事だったのだ。EMPの防護性能を聞き、先ずそれは排除した。モールトの行動を阻害するレベルの物を使用すればこちらの機体にも少なくない影響が出てしまうためだ、その為急遽引っ張り出したのがカタパルトでの緊急着艦用ネット。コレは我が軍独自開発の物で網目をAMRS規格からより小型の作業用BOTにまで変換出来るもの、さすがに新品は使用許可が降りなかったが廃棄予定品を供給して貰えたのはありがたい。


「よしっ!!全機ブリーフィング通りに動け!!」

「「「jahowl!!」」」

「これだけで勝てるほど甘い相手では無い…だが!!一泡吹かせる程度なら我々だけでも十分可能だということを、ご息女達にお見せしろ!!それが閣下からの司令でもあると心得よ!!」


 出来ることならば我々の力を存分に見せつけ、ご息女達から撃墜判定をもぎ取りたいものだが…それは高望みという事は知っている!!我々が訓練にかまけている間も彼女達は実戦経験を積み、常にその技術を高めているのだから。


 だが…だからと言ってそれだけで一方的にやられてしまうというのも納得出来るものでは無いのだ!!我々とて国土を守る軍人!!傭兵如きと侮る気など一切ないが実力を見せねばならんのだ!!


 中隊各機が散会、小隊編成になりそれぞれがモレッド嬢・キスハ嬢・エルピダ嬢の相手をする為に移動を開始。

 私とあと2機がフラッグ機であるシュトラーセ殿下の相手…もといフラッグ機の撃破を狙う為に行動を開始する。殿下相手に不敬罪を働くつもりなどありませんがこれは演習!!全力を出させて頂きますぞ!!


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 〜カケル視点〜


「良いねぇ…ちゃんと訓練は欠かしていないし、俺からの助言も聞き入れた上で取り入れている。この辺は普通の軍には無い柔軟性だよな。」


 演習の審判として演習区画のギリギリで戦場に撒き散らした小型カメラで戦場を俯瞰している、一応モレッド達にも「お前らの弱点…と言うか自覚していないかもしれない欠点をあっちには教えてる、それにどう対処できるかが今回の演習の目的な。」と伝えていたんだが…聞こえてくる通信を聞くにあんまり聞いてなかったっぽいんだよなぁ…


「くっ!?こっちの動きが読まれてるのです!?当たらない…ジェネレーター出力が!?」

「うぅ〜!!いきなり増えたりしてっ!!びっくりするじゃん!?」

「モールトが使えない…スクウィーズもこれじゃ逆効果だよォ!?」


 と散々な会話しか聞こえてこない、俺との演習では圧倒的なパイロットスキルで捩じ伏せるような形でやってきたからこう言った賢しいやり方の相手の練度が不足しているのだ。今までの相手ならば通用していたことも今後も行けるとは限らない、ここで軍が勝とうとモレッド達が勝とうとどちらにも利があるのが今回の演習の素晴らしい所だな。


「そして…やるねぇシュトラーセ殿下。」


 俺は3対1となっているシュトラーセ殿下に視線を向ける、カインドの自動防御機構もあるがあの攻撃を加える優先順位付けは素晴らしい!!自身の防御が薄くならないようにしつつ必要最低限ではあるが確実に相手の手札を減らすような攻撃は見ていて感嘆の声を漏らすほどだ。

 モレッド達にも見習って欲しいものだな、コレが実機に乗って戦闘経験を未だ1度しか経験していない者が出来ることなのだぞと。

 しかしそれでもやはり3対1と言うのは不利なもの、フラッグ機対フラッグ機という構図ではあるもののほぼ実戦未経験者の駆る高性能機では熟練者の駆る3機には押されて当然。


 これはモレッド達がいかに早く駆け付けられるかの勝負だな、この演習の行く末を俺はワクワクした表情で見詰めていた。

カケル「今回の演習を出歯亀してる連中に「小娘達の対処法が見つかったぞ!!」と言われることも想定して軍の方には情報を流しているぞ!!1日や2日程度で改善出来なくとも、それが自身の弱点になるのならばそれをそのままには絶対にしないってのが娘達の美徳だからな!!」


モレ・キス・エル「( *¯ ꒳¯*)ドヤァ」


カケル「今お前らやられてるからな?あんまり頭に乗らない事∠(゜Д゜)/」


モレ・キス・エル「( ´ . _ . ` )シュン」

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