最強は大トリに回ってるって話
〜ティテン視点〜
『えぇ〜?お姉様とお母様に多めに回せって...ズルくないですかぁ?』
『私達もただ待機するだけというのはつまらないのですよ、マーゾエが2人抜かせたそうなので最低でも1人抜かせなさい。テュロノエが全員排除してしまいましたからね。』
『テュロノエお姉様に文句言ってくださいよォ( ´・ω・`)』
既に戦闘を開始している私に不意に入って来たモルガンお姉様からの通信、グリトーお姉様が抜かせた人員は15名。非常階段でもエレベーターでもなく通常の階段を利用していたこともあり数がそれなりに多かったという事もあってそれなりに抜かせた様です、40人オーバーを捌き着るのは無理があるということでしょうね...流石に。
決してお姉様が怠慢を働いていたなどと思う訳もなく、狭い空間で更に相手が武装していると言うならば多少の被害は免れないと言う状況なのに無傷でこれだけしか抜かせないと言うのは大戦果ですからね(単騎で部隊の半分以上を仕留めているのですから)。
『ふぅ...では1名活きのいいものだけ通しますか。』
「何を言っている!!」
釣りの様にボヤいてしまったのを聞かれてしまったようです、これは失敬しました。曲がりなりにも誇り高き(笑)人間様でございます物ね、魚と同列に語られるのは我慢ならないと言った所でしょうか?
まぁ知ったことではありません、あくまでも私が通して差し上げることが出来るのは私のお眼鏡にかなった1人だけ...全員通すなどもってのほか。なんなら全員この場でぶちのめしても良いのですから、流石にお姉様に止められたのでしませんが...
スタンバトンで武装された皆様には悪いですが既にそれについては把握しておりますので何ら危険を感じられぬのです、リーチの長さと言うのはそのまま取り回しの不便さに繋がるもの。階段の踊り場の様な比較的広い場所であればまだしも、ホテルの通路の様に手をめいっぱい伸ばした状態から更に長い物を振り回すなど出来ないこの場でそれは使いずらい物でしょう?
『ぬぅん!!』
「ごはっ!?」
「うおぉ!?」
真正面からのタックルで意表を突くことにしました、当然ウェイトや体格差がある場合はタックルなど自殺行為でしかないのですので皆様はマネしないように。私が行ったのはラグビーやアメフトで見られるようなタックルではなく、点で押し込むタイプの物。つまり衝撃が一点に集中するので、油断していた場合は一撃で意識を奪えるレベルになるはずです。
元々私が持っているウェイト+タックル速度を可能な限り極小の天に込められた衝撃力は相当な物で、全備重量80kgオーバーはあるだろう相手を軽く吹き飛ばし後列に居た方々まで巻き添えにするものでした。
「取り押さえるなど考えるな!!殺す気でかからんとやられるぞ!!」
ようやっと私たちの脅威判定が正常になりましたねぇ…そもそも無力化する(意識を奪う)前提なのがいけないのです、まぁ相手方は私達が完全にただの一般人だと思っていたのだから当然ではあるのですがね?
それはそうと、どうやって一人抜かせてあげましょうかね…出来るのであればもっとも手練れそうな方を抜かせるのが一番いいのですが。誰が一番手練れでしょうかね?見る限り誰も同レベル程度でしかないような?
「ただではやらせん!!」
『ほうぅ?』
あらあら、見つけてしまいましたね。ただの空元気と言うだけではなく脚運びから体の動かし方までしっかりと上級者と言ったところでしょうか、ここまで気づかせないと言うのはここまで温存していたという事でしょうか?
切り札は最後まで残しておくと言うのはどこでも同じと言う事でしょうね、まぁその切り札がそちらにだけあるとは思わない事ですが。
と言うか今さら気が付きましたけれど、此処でたかが一人抜かせた程度で総数19人を捕縛できると思ってるんですかね?そもそも最初に過半数以上が無力化された時点で撤退する方が被害はないと思うのですが…公には存在しない機関だから多少強引にでも任務を遂行しようとしている?よくわかりませんねぇ…
まぁ考えるのはやめておきましょう、そのあたりはお姉様が精査してくれるでしょうし。意図的に見定めた一人は抜けられるような道筋を開け、それを察せられることの無いように動けば…
「ここだっ!!」
ほら行った、誘導されているとも気が付かずに…後からくる人員もいないというのにも気が付かずに向かっていくのですから。まさに袋のネズミとはこのことを言うのでしょうね、実に愚かしい。
残った2人も続こうとしますがそうは問屋が卸しませんとも、あなた方はここで散る定め。命までは奪いませんが私の玩具になっていただかなくてはね?
『ふふふっ…』
「何が可笑しい…」
『いいえ、ここまで人員を無力化されて尚も任務を遂行戦とする皆様方に敬意を払っていたまで。普通であれば半分も無力化された時点で撤退するのがセオリーでしょうが、それを全く選択肢に入れていない皆様方の鬼気迫る判断には驚かされました。』
これは本心、だが同時に愚かすぎて可笑しいとも思っています。
ご主人様であれば私たちが白兵戦を行う時「万が一にでも誰か一人負傷によって戦線を離脱した場合は即座に撤退する事、任務の成功よりもみんなの安全が第一だからな。」とおっしゃりますからね、これは仕事上そう言った荒事をする傭兵であっても頭がおかしいレベルの安全管理ですがそれが功を奏しているのか、結果的に見れば任務の達成率は90%を超えています。
全員が万全の状態かつ相手の装備や人員配置を徹底的に洗い出し、最適なメンバーを派遣すると言うのは歴戦の指揮官であっても容易ではない事。それをやってのけるご主人様のなんと素晴らしい事か。
自慢話になりますが所詮は生命無き人工知能でしかない我々をここまで大切に扱ってくださるご主人様には感謝しかございません、以前あった人工知能による反乱の時もそうですが人間は基本楽をしたがるし苦痛からも逃れたがるもの。
それゆえに私達人工知能を開発し、自身の苦痛や苦労を代替えさせようという魂胆の元活用しようとしていたわけです。
究極を言うならば人工知能に「人類の行う全ての行為を代替して貰い、ただ自由を謳歌する存在になりたい」と言うのが目標...と言った所でしょうか?
まぁそんな事をしてしまえば、人間はタダの肉の塊にも劣る下等生物に成り下がりますね。思考する事もせず、ただそこに存在し楽と言うものを謳歌するそんな存在が生きていると言えるのでしょうか?
哲学的な話になりましたが、私達人工知能は人間の手足となり盾となるべき存在だと言うことです。
だと言うのにご主人様は私達を前線に立たせることを極力避け、あまつさえ自身が最前線に立つことで私達にかかる驚異を退けんとする。その様な事を愚かと言うのであれば私達がそれを誅するでしょう、被造物が創造主に感謝を感じるのは当然の事。そして、本来の用途を用いながらもそれより大切に扱っていただける...それのなんと素晴らしいことか!!
『さて、嘲笑う様になってしまったのは謝罪致しましょう。しかし、ここであなた方はここで倒れて頂きます。既に身体能力も武力としても圧倒的にこちらが有利だと言うことは分かっているはず、抵抗するのであればご自由に。』
「本来はその台詞を言うのは我々の方なんだがなっ!!」
「女性1人...いや、先に戦った者も含めれば2人か。なかなかどうして世界は広い物だっ!!」
闘志は失わず冷静さを欠くこともなく、冷静に戦いを挑む...素晴らしいですね。
ここまでやって来ると言うのならば私も全力の7割迄は出して差し上げねば無礼と言うもの(流石に全力を出すと殺傷してしまいますので)、では...参りましょうか!!
テテ「普段と喋り方が違うって?あっはっは!!ご主人様の前ならふざけるよ?だってキャラ被りじゃん、どんなにキャラが被ってもご主人様なら間違えることは無いのはわかってるけどささやかな私の抵抗ってこと!!存在感出して行きたいからね!!(˶ᐢᗜᐢ˶)」