結局ドロップアウト組はその程度
「後ろだとぉ⁉」
「総員反転!!迎撃態勢をとれ!!」
「傭兵にできる動きなのかあれがっ!!」
おぉ~…自分がやってみるとわかるね、相手がめちゃくちゃにいらいらしているときの何とも言えない全能感。
ふふふ…どうだね海賊どもよ、これが我がソラ家に伝わる一子相伝奥義であるっ!!
嘘ですごめんなさい、たぶんある程度経験を重ねた傭兵ならだれでもできることだと思います。
っとまぁどうでもいい考えは横に置いておいてと、さすがは多少経験があるように見える海賊たちだね。欺瞞情報に騙されちゃったけど後ろから攻撃されたことには素早く対処してきた、こうしてくれたほうが私にとっても経験になるからありがたいよねぇ。
「連携は見る限り正規軍人級…あの陣形を多用していた軍は…まだ該当するのが多いか、とりあえずドロップアウトが居たっていう文句をつけるのはまだあとかな?」
とりあえず密集陣形を崩すところから始めないとダメかな、ということでモールトを半分攻撃に向かわせることにした。基本的にモールトとかギャラハッドのパッケージ装備にもあったSoAはまだ開発されていない…されていたとしてもまだ基礎設計すら終わっていない段階らしいから慌てふためいてくれるはず。
さんざんモールトや前身のバルザミーネを使いまくった私だから言えるけど、あれって初見だと本当にパニックになると思うよ。だって本当に小さい…せいぜいAMRSの膝装甲くらいしかない大きさのものが必殺級の攻撃力を持った攻撃を繰り出してくるんだからね、これでパニックにならない人が居たらその人は神経がイカれてるか、相当にキマッている人だと思うな。
「さぁ…踊れ!!モールトっ!!」
海賊側からすればふよふよとよくわからないものが飛んできたと思った次の瞬間必殺のビームが飛んできたということになる、焦るよねぇ?
蜘蛛の子を散らす…エルピダのことじゃないよ⁉でも蜘蛛の子を散らすっていうけど、蜘蛛の子って散るのかな?よくわかんないや。
「なんだこれはっ!!」
「聞いたことがある…実物こそ見てはいないが…友軍がこれにやられたと!!」
「機体の外観データに該当なし…新型ということかっ!!」
今の会話…これで軍人だということの裏は取れたね、そして『友軍友軍がやられた」っていうことは少なくとも私とお父さんが戦ったうえで残党を残した軍隊ってことだから…
該当するのは2つ?『ロックデナッシー』と『イネフェイブルエスペランザ』になるのかな?
それでさらに言うなら落ち目というか…軍部を制御しきれていない国と言えば『イネフェイブルエスペランザ』しかないよねぇ、あの国は前の戦争で大敗北したせいでめちゃくちゃに賠償金支払う羽目になったしね。
これで金食い虫の筆頭常備軍なんて大敗した国が同じ規模で抱えられるわけなんてないもんね、大方どっかの部隊が「やってられるかこんなもん!!」って言いだして脱走兵にでもなったんだろうなぁ。
亜空間航行できるAMRS母艦と一緒に強奪して逃げたってところかな?たぶん規模的に言えば中隊長クラスが部下を引き連れてこのあたりの宙域ならそれなりに同業者もいないし、傭兵の練度自体も前の大規模殲滅戦に参加した傭兵が軒並みほかの国に向かったから仕事もしやすいって考えたんじゃないかなぁ。
元々は軍人だったんだもんそれなりに訓練も場数もこなしているだろうから、サンデュールズでデビューしたてだったり少し自信をつけてきた程度じゃ話にならないよねぇ。仮にも正規軍人だったんだもん、所詮は成り上がっていくしかない傭兵に比べればスタートラインが相当先にあるってのは当然だよねぇ。
「叔母さん、今の通信聞いてたよね。イネフェイブルから脱走兵が出てるって何か報告とか出てたりした?」
『流石ですね、ちょうどそのデータを洗い出ししていました。しっかり出ていましたよ、AMRSが配備されていた母艦まるごとを強奪して脱走したという情報が。彼らもなかなかに本気だったようですね、脱走時追跡されないように母艦とAMRSのデータリンクをすべて国の管理から除外していたようです。』
「それだけ軍部にしわ寄せが押し寄せてたってことかな。」
『おそらくはそうでしょうね、しかし…これだけ大規模にやるほど困窮しているのは意外ですね。ローゼン・エーデルシュタインはそれほど法外な賠償金を請求したわけでもないでしょうに。』
たぶんローゼン・エーデルシュタインはこれには関係ないんだろうな、イネフェイブルがあの戦争を仕掛けた理由の一つに領土の拡大と賠償金による国庫の補充ってのがあったらしい。
つまり「勝てるかわかんないけど勝てたら圧倒的に黒字、それに俺たちそもそも向こうにいじめられてるから報復ってことにすれば負けても大してひどいことにはならないんじゃね?」みたいなバカ共が集まってやらかした結果らしいよ、あのハーレイ陛下の兄がおだてられたのもその連中の一味だったらしいし。
ってことはこの人たちはそのバカ共によって一番つらい位置に置かれてしまった哀れな人達ってことにもなるわけだ、だけど私そもそもイネフェイブルって国自体が好きじゃないんだよねぇ~。傭兵を下に見る風潮っていうか風土?が蔓延しているし、それに何よりも退艦艇を打ち落とすという行為を平然と行える人間が気に食わない!!
「遠慮はしない!!」
「っ!!全機警戒!!来るぞっ!!」
右腕単分子ブレードを展開して一気に密集陣形をモールトによって崩された集団の中に突っ込む!!もちろんただやみくもに突っ込むんじゃなくてフェイントを織り交ぜたり左腕のガトリング砲で牽制、もしくは撃墜できるように攻撃は入れているけども。
この辺の動きで参考にしたのはお父さんではなくって、キスハの機動戦時の動きとエルピダの狙撃による敵機の進路妨害行動だね。自分でできれば二人に負担もかけなくて済むかなと思って実践してみたけど…全然できないねこれ⁉そもそもの機体の機動性が違いすぎるし、狙撃に必要な精密性も段違いすぎる。
イカロスは全部の性能が優秀だけどそれは悪くいってみれば平均的としか言いようがない、それ以外…つまり妹たちの機体は何かしらにめちゃめちゃに特化してるんだよね。
だからっていうわけじゃないんだけどある程度の再現はできるけどそのままコピーするってほどにはなれないってところがつらいなぁ…まぁそれでもできないことがないのがつらいよねぇ。
だから頑張ってみたくなっちゃうんだよねぇ!!
「まずは1機めぇ!!」
「まずっ⁉」
孤立した1機をしっかり潰す、ここで取り損ねたらまためんどくさくなっちゃうからね!!勝利には一歩一歩確実に進むことが大事。飛び越えちゃったりしたらどこかで足元をすくわれちゃうなんてこともあるから、それが一番危険だ。
ブレードで胴体を両断しながらその場をすぐに離脱、敵を倒したらすぐに勝ち誇るなんて馬鹿なことはしないよ新兵じゃあるまいし。向こうは軍人崩れなんだからなおさら、些細な隙も見逃しはしないだろうからね。イカロスの装甲は正直言ってヴァレットのころよりも貧弱になったといえるし…防御性能は全部HELMESに振り分けてるから本体に当たったら終わりなんだよね。ほんと…なんでこんなにピーキーにしちゃったかなぁ…
「さて!!叔母さんからの援護もそろそろ来るタイミングだし、なるべくなら自分で頑張りたいからね。どんどん行きますか!!」
「くっ…舐めるなぁ!!」
軍人崩れさんも気合を入れなおしてくれたみたい、ここからはさらにテンポを上げていこうか!!
キス「お姉ちゃん戦ってる…?(; ・`д・´)」
エル「もう…大丈夫なの?(゜Д゜;)」
シイ「わたしたちはまだ無理だよ…?(´・ω・)」




