交易コロニーは大混乱!?
いやぁ…まさかこんなことにいきなりなるとは思ってなかったよねぇ…
コロニー周辺宙域には防衛隊所属と思わしきAMRSと駆逐艦及び巡洋艦級の艦艇がびっちりと、その中には傭兵艦も混ざっているみたいだ。
「あ~…傭兵のソラ・カケル保有艦アルビオンだ、この騒動は俺の艦の責任か?」
思わず広域回線を開いて呼びかけちまった、いやこうでもしないと収まりようもなかっただろうからこれでいいのかもしれないけれども。
「こちら交易コロニー防衛隊、傭兵ソラ・カケルと言ったな、そちらの艦に乗船していると言ったが誠か?」
「間違いない、今ブリッジに居るぞ。何なら接近して目視での確認をして貰っても構わん。」
「…撃墜の意志は?」
「あるなら鼻からこんな呼びかけなんてしないし、武装もオンラインになってるだろうよ。」
「承知した、全機!!その場にて待機!!私が確認に向かう!!」
若干ざわざわしているけれどもそれをいさめて隊長機と思わしき機体がアルビオンのブリッジに向かって飛んでくる、もちろん明らかに今までの情報にはない艦艇だからどこがブリッジ化なんてわかんないだろうから誘導レーザーは照射してるけども。
ま、此処でブリッジに向けて攻撃を企てようものなら即座に捕獲するんだけどさ。撃破はしないよ?余計にめんどくさい事になっちゃうんだからさ。
「今手を振っているのが俺だ、わかるか?」
「…うむ、パーソナルデータとの照合も確認できた。すまなかったな…」
「いいってことさぁ、こっちも新造艦を卸したてだし正式登録もここですましとこうって腹積もりだったんだ。まぁ…ここまで盛大な歓迎をされるとは思ってなかったけどな。」
「ふむ…新造艦か、どこかの工廠に伝手でも会ったか?」
「それも含めて後で説明するさ。さてそっちに案内は任せるよ、流石にこれだけ騒ぎを起こしたんだ。付き添い無しに行くなんて事したらまたいちゃもん付けられそうだしな。」
「ふっ…それもそうだな、良いだろう。」
こうして、無事に問題は解決されたのでコロニー防衛隊を周辺に配置されながらアルビオンは交易コロニー『キガラヌア』に寄港したのだった。
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『お疲れ様でした。』
「まさかあそこまで質問攻めにされるとはなぁ…全宇宙の大手から零細企業にまで照会をかけるとも思わんかったぞ全く…」
キガラヌアに寄港してすぐ、流石にアルビオンはコロニーの駐艦場に入ることはできなかったので『特大型艦専用駐艦エリア』まぁ簡単に言えば路駐みたいなもんだけどそこに留めたわけだ。
ここはコロニーの駐艦場のすぐ横にあって、アルビオンやそれクラスの大型艦を泊めるのに利用される、専用の補給レーンがあったりコロニー側からボーディングブリッジがおりてきたりと結構至れり尽くせりだな。
んで、アルビオンから降りた俺達を待っていたのは厳重なボディチェックと尋問だった。まぁ尋問とはいってもそこまで厳かな物でもなく、あくまでコロニーを攻めるように依頼を受けていないのか?だったりコロニー内での戦闘の意志がないかの確認だったのでこれは問題ない。
ただ一番時間を食ったのは『アルビオンの設計から建造までをどこで行ったのか』についてだった。
これについては嘘偽りなく伝えることにした、そもそも人工素粒子『アルバス』は発生からその無害化と整形まで今の俺達以外では利用価値など存在せず、仮に発生が確認できたとしてもそれをアルビオンクラスにまで生成させることも不可能だろうから惜しみなく教えたのだ。
んで、それの設計図やらなんやらをいつの間にか忍び込んでいた?部外者が「すべて提出しろ!!それは傭兵ごときには過ぎた物だろう!!国家の礎として我が国が接収する!!」とか言い出したもんだから余計にこんがらがった。
どうやらその言い出した人間はイレイナ・スタリオンに潜伏していた他国の諜報員だったようで、今回俺のアルビオンの情報を得てしまったことで「これがあれば私は国でさらに出世できる!!」とバカみたいに欲を出した結果今回のアホをやらかしたみたいだ。
そいつを取り押さえるために急に衛兵が入ってきて、中途半端にその諜報員が上層部に食い込んでいたから余計に手間がかかっちまうと言う悪循環…俺何も悪くないんですけどねぇ!?
そんなこんながあってアルビオンは最終的に『傭兵ソラによる独自設計によって建造された艦艇と認める、また同型艦を建造する際には一報を入れてほしい。』とのことだ。いやいや…アルビオンの同型艦なんて作らんよ、そもそもこいつ1艦だけでヘタなコロニーより自給自足できるんだから。
とにかくそんな感じでようやく取り調べから解放されたのはアルビオンから降りてから大体8時間くらい経ってからだった、幸いなのは取り調べを受けていたのは俺とモルガンだけだという事だろうか?ヴィヴィアン達とモレッド達の娘集団は『子ども達にまで尋問をするというのはいかがなものか…』という大人たちの良心の叱咤があったのかもしれない。
そもそも子どもまで戦争に加担させるなんて大戦末期の敗北寸前の国でも無い限り行われることなんてないんだから気にするまでも無いってことだな、それに子どもにそんなことを伝えたところで普通の感性を持った親ならばそれに関わらせようとなんてしないだろうしな。
但しうちの子たちは…一応モレッドは9歳(見かけと数々の戦場を超えてきたことで若干歳は上の方に見える)とキスハ・エルピダは未だ1歳未満(もうすぐキスハは1歳だけども、見た目的には7歳児くらいに二人とも見える)ともろ新生児クラスのシイナとカンラ(見た目的には3歳児くらい)が居るのでわけわからんことになっているけどな。
純粋な人間以外の種族ってここまで成長早いのかと思わず感心したよね、成長痛とか無いのかね?
というわけでとりあえず娘たちはコロニー内観光に洒落こんでいるんだなこれが、ついでに事が起きるまでは暇になるのでアルビオンはロックをかけて出入り不可にしてコロニーのホテルに宿泊する。色々不労所得と言うか毎月膨大な金額が振り込まれているからな、こういう時にでも使わないと貯まっていくだけになってしまうのだ。
シャルマーニ星系のリゾート観光大使みたいな扱いになっている我が家の美姫たちのおかげと言うほかないな、それ以外にもまだ手を付けていないローゼン・エーデルシュタインでの報酬もあるんだが…いかんせん使うペースよりも溜まるペースのほうが早いのでもはや金勘定は諦めている。桁が多すぎてわけわからんからね、それでもモルガンに財布の管理は任せているので万が一にも散財することなんてないだろうけど。
「とりあえず、宿泊先に向かうかぁ。」
『そうしましょう、さすがに長居し過ぎましたからね。』
なんとなく申し訳なさそうに頭を下げるコロニー職員たちに苦笑しながら挨拶を返して俺はコロニーの居住区画に向かう、基本的にこういった取調室ってのはコロニー港湾に隣接しているか中にあるからね。
無重力区画を抜け重力区画に入ったころ、隔壁を超えればそこには摩天楼とでも評するべきかと言うほどのビル群。
今まで立ち寄ったどんなコロニーよりも繫盛している雰囲気を醸し出していた、う~ん迷子になっちまいそうだな。モルガンから離れないようにしないと…方向音痴ってわけじゃないけどこういう時に真っ先に迷子になるタイプなのだ…俺って…
ちょっと不安そうな顔をしていることがばれたのか『くすっ』と笑って手を差し出してくれるモルガンに、俺も「もうしわけねぇ」と返しながら人混みをかき分けて目的のホテルに向かう事にした。
ヴィ「やっぱりアルビオンはオーバーテクノロジーすぎ(;゜Д゜)」
グィ「傭兵艦なのに内部にビオトープすら存在しますからね( ̄д ̄)」
モゴ「下手な軍艦より武装も何もかもが高水準だしね( ̄▽ ̄)」
オヴ「解析したってわかんない物だらけだし(゜-゜)」
マー「それを造ったのが私達です( ・´ー・`)」




