良いセンスだ……
モレッドの才能が垣間見えたシミュレーションを終え、ウキウキになったモレッドを休憩がてら風呂に連れて行ってのんびりしているところです。
「お父さん、お風呂って気持ちいいね〜」
「そうだな〜、でもモレッド。艦の中にこんな立派な風呂場があるところは他には無いからあんまり言いふらしたり自慢したらだめだぞ?」
「??そうなの?分かった!!」
湯船に漬かりながらのんびりとそんな会話を続けている、ちなみにモルガンは入っていない。
別に入っても問題は無いのだが先のシミュレーション結果を見て、ヴィヴィアン以下メカニック担当のAI達とよりモレッドに合う機体に仕上げるとの事で風呂場まで同行した後ファクトリーに向かって行った。
『任せて下さいマスター、私達AI一同モレッドに合わせた完璧な機体を仕上げて見せます。』ギャラハッドは俺が1から設計建造してるからいじる所がないので、モレッドを経由はするが結果的に俺へのリターンがあることからやる気が段違いだった。
ちゃんとピーキー過ぎるのは避ける事と生存性が最重要だとは伝えたので多分問題は無いだろう。バイタルポートとかの重要エリアの装甲等に関してはコストは度外視していいとも伝えたからな。
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そんな話があったのが3日程前の話。
モレッドにマーリンから『モレッドの機体、調整終わったから格納庫に来てもらうことできる?』と連絡が入ったらしい。
俺も当然着いていくことにしていたので格納庫に居るぞ!!
『モレッドの機体はこうなったよ!!』
「……ふあぁ!!」
まず目を引かれるのはカラーリング、先日は完成直後だったと言うこともあり全身がアイボリーに近い白色だったのがローズピンクとパールで塗装がされていた。
「ピンク色って可愛いよね!!」と食事の際に言っていたのをグィネヴィアが拾っていてヴィヴィアンに伝えていたんだろう。
次に外見が前までマッシブだったのに「華奢」と言わざるを得ない程になっていた。
モルガン曰く『モレッドのシミュレーション履歴を見るとあの子は被弾を極端に避け、接近後近接戦で撃破。又は「バルザミーネ」を使った遠距離攻撃となっておりましたので、被弾面積を下げるのと同時に機動性に重きを置いた調整にシフトしました。また、マスターの要望通り装甲に関してはコストを度外視し、外部装甲はアヴァロンと同じ「キャメロニウム」関節等摩耗が激しくなるであろう部分には「モルガタイト」を使用しました。』との事。
……多分アヴァロンの中にあったマテリアル枯渇したんじゃねぇかな?まぁ、モレッドの生命を守るためと思えば安いもんだけどな。
ただ思う事もあるのだ……オリジナルのギャラハッドよりも優遇されているのではないかと!!
もちろんギャラハッドも装甲等はかなりいいものを使っている、ワンオフ機の通りあらゆる部分に妥協を許さなかったからからな。
でも、装甲はあくまで最高級とは言わない程度の高級グレード位の複合装甲なんだよ。
「当たらなければどうということはない!!」ってどっかの赤い彗星が言ってた通り当たんなきゃ良いから。だからぶっちゃけヴァレットの装甲だけのコストで考えればギャラハッドの装甲は2セット半作れる。
そんくらいキャメロニウムとモルガタイトは高いのだ。
愚痴はここまでにしておこう、後は「バルザミーネ」だ。
一応説明しておこう、「バルザミーネ」とはホウセンカのドイツ語読みの事。子機が接近して散弾砲を放つ設計を見てマーリンが命名した、とても良いと思う。
前は肘と膝に偽装した計4機が搭載されていたが、増設されて今は肘・膝・バックパックに計6機が搭載されていた。
スラスター関係はギャラハッドと同じテールバインダーにバックパックから伸びるフレキシブルスラスターと言う超高出力機。モレッドにかかるGも相当なものになりそうだが『対策済みです』の一言を口に出す前にモルガンから言われたので何も言わない。なんか脳波とか読まれてんのか?
最後に武装だが、あれは多分アロンダイトか?ガンソードのガンの部分が無くなって片刃の分厚い長刀になってる。
多分バルザミーネで射撃とかは対応するから無理に射撃兵装を持たせなくていいって判断なんだろうな。
総評、俺からなんか言うことは無し!!
良いセンスだ……!!
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「私はこれに乗って何するの?」
『モレッドはお父さんと一緒に悪い人をやっつけるのですよ。』
「はーい!!お父さん、いつやるの!!」
「うーん、いきなり実戦はちょっとなぁ……」
いきなり実戦に連れて行って怪我でもされたらたまらないし、味をしめて戦闘狂にでもなったら俺は泣いてしまう。出来ればモレッドには傭兵生活を続けていても真っ当な精神性を持っていて欲しいのだ。
「じゃあ、実機を使った演習と行こうか。モルガン、準備を。」
『……宜しいのですか?』
「あくまで演習だ、仕様は非殺傷モードでな。実体弾は威力の低い物、レーザー兵器も出力を落として装甲にダメージが行かないようにする。」
『かしこまりました、準備に入ります。』
「お父さん、演習ってなーに?」
「簡単に言ったら、攻撃が当たっても痛くない状態で戦ってみようって事だな。」
「じゃあもし当たっても動ける?」
「そこはモルガンとかヴィヴィアンが上手くシステムを弄ってくれるから、被弾したら撃墜判定が出て負けになるって事だ。」
「じゃあシミュレーション通りってこと?」
「まぁ、そうだな。」
一通り軽く説明をしてモレッドが納得してくれたのでそのまま演習開始という事になった。
ギャラハッドのパッケージは1番使い勝手のいいオールマイティなランスロットで行く事にした。
これにある程度対応出来れば大抵の事で問題は起こらなくなるからな、実際モレッドのシミュレーションを見た所下手すると俺も撃墜判定を喰らいそうだったってのもある。
ギャラハッドのパッケージにもバルザミーネの様な兵装を搭載する物はあるが、まだまだこの世界では見た事のない兵装だし使うと疲れるってのもあるので今回の出番は無し。
『ギャラハッド、発進準備完了。並びに聖騎士従者発進準備完了。発進タイミングをパイロットに譲渡します。』
「ギャラハッド、ソラカケル」
「ヴァレット、モレッド」
「発進る!「ます!」」
アヴァロンから同時に飛び出した俺とモレッドは並んで演習開始宙域に向かう。
モレッドは初の実機での出撃なので通信越しに興奮しているのがよくわかった。「わあぁ!!なんかシミュレーションと違って動いてるって感覚がある!!」って言ってるからな。実に微笑ましい。
宙域に到着後は距離を取ってモルガンがアヴァロンの広域通信で、私的演習実施の為注意する様にと周辺宙域に連絡を飛ばしてなおかつ宙域管理コロニーに許可も取ってくれた。
コロニー側からは「今時ちゃんと演習するって連絡を入れてくれる傭兵も珍しいよ、私闘だーって勝手にやってホントに撃墜されたり流れ弾がコロニーにあたって外殻に損傷を与える奴らが多くてね。」との事。
近くに居た傭兵共も宙域から離れてくれた様だ、聞き分けが良くて助かる。
何故か知らんが一般の学生か?が乗ってる旅客船が何隻か見学で近辺を陣取ってるけど。
『では、作戦宙域に到達を確認しました。勝利条件は敵機の撃墜判定、若しくは降参が成された時とします。宜しいですね?』
「OKだ。」
「分かった!!」
『では……作戦開始、両機の健闘を祈ります。』
モルガンのコールで俺とモレッドの戦闘が始まった。
ヴィ「いやぁ、いい機体になった!(*^^*)」
グィ「私は管轄外でしたから……( ´・ω・`)」
モゴ「バルザミーネのプログラムは今後もアップデートするよ!!( *˙ω˙*)و 」
オヴ「スラスター系は不良の少ない設計!!٩( ᐛ )و」
マー「カラーリングは私が担当しました!!(`・∀・)ノ」




