新たな地『ステイアー・スピット』
どうも、現在アルビオンは人工知能による蜂起の発端になるであろう研究所が構えられている宙域『ステイアー・スピット』にやってきているところだ。
外宇宙でアヴァロンすらも格納出来る程の超大型艦『アルビオン』を建造し、絶滅種の『ギンガカンス』最後の個体になる『シイナ』と『カンラ』を託されながらもローゼン・エーデルシュタインに居る人工知能ヴェネスから『人工知能による反逆の兆し有り』という報告を受けてこの地に来た訳だな。
『現在アルビオンはステイアー・スピット宙域から凡そ7パーセク(1パーセク=3.26光年)の位置に付いています、事情書換式推進機関の移動を利用しても事態が起こってから通常航行を行っても最短で1週間程で到達出来ます。』
「まっ、妥当な位置かね?早すぎても要らん推測をされかねないしな。」
「一瞬過ぎてよく分かんなーい。」
「景色が急に変わったのは分かった!!」
「えっと...いっしゅのじげんとこう?」
「「わたしたちでもできる!!」」
まぁワープアウト位置はこんなもんでいいだろう、寧ろこれからの問題はいつ事が起こるかであってそれに備えかつ波風立たないように上手く立ち回らなきゃ行けないという事だ。
ここで問題になってくるのはウチは俺とモレッド以下の娘達以外が全員人工知能だと言うことだ、つまり何が言いたいのかって言うと「全宇宙で人工知能による反逆が起こっているのにお前の持つ人工知能は何もしていない。つまりお前が犯人では無いのか?」っていう無茶苦茶を押し付けられる可能性があるってことだ。
いくら何でも無茶苦茶過ぎる暴論なので、これが受け入れられることなんてないとは思うんだが世の中っていうのは真実が大多数の人間の虚言い多い隠されるなんてことがザラに起こってしまうので、それが怖いんだなこれが。
『ひとまずはこの宙域にて待機ですね…後はあなたのギャラハッドの主機問題ですね。起動に必要な特異点すら消失とは…なかなかですよ。』
「嫌ぁ申し訳ねぇと言うしかないが、これは仕方ないだろ。下手したらアヴァロンもアルビオンも巻き込んで消滅するところだったんだからな。」
『否定はしませんが…新しく主機を建造するにしろ面倒ですね…』
モルガンの一言に俺は思わず顔を顰めそうになる、こっちの世界にやってきてまだ1年とちょっとくらいしかたっていないのにまさかここまでの損失を被るとは思っていなかったしなぁ。
新型に乗せ換えるってのも手なんだけど、慣れ親しんだフィーリングからガラッと感触が変わってしまうのもちょっと困るんだよな。新しくなった感覚に慣れるまで時間もかかるだろうしな。
『主機はひとまず新規建造するとして、建造完了までのつなぎは一旦バッテリー駆動でごまかしますか?』
「それしかないだろうな、多少のスペックダウンは致し方あるまいよ。」
『そうなるとパッケージも限定されてきますね…主機を搭載していた部分には内臓式バッテリーを搭載するのは決定として、外付け式のバッテリーも用意しなければなりませんから。』
「ヴィヴィアンとマーリンに相談だな。」
モルガンの案を採用しつつ、実際にどうなるかはパイロットである俺の意見と整備員であるヴィヴィアンとパーツ開発のマーリンに意見を聞かないとどうにもならないからな。
早めにこれは解決しておかないとまずいだろう、ギャラハッドが戦闘行動できません状態で反乱が始まっちゃいましたじゃ目も当てられないからね。
「さて!!モレッド・キスハ・エルピダは今後起きるかもしれない人工知能の反乱による戦争に備えて常に訓練をかかさないように、だが訓練ばかりしたせいで体調不良なんてことになったら目も当てられないからな。その辺は気を付けろよ?」
「「「は~い!!」」」
「モルガンはステイアー・スピット内の動向を注視しつつ、事が起き次第すぐに行動を開始できるようにしておいてくれ。俺はヴィヴィアンとマーリンに相談しに行ってくる。」
『承知しました。』
「シイナとカンラは自由行動だ、グィネヴィアや他のお姉ちゃんといっぱい仲良くしてると良いぞ。」
「「は~い!!」」
ってなわけでブリッジでの話し合いは終わり、さっそく俺はマーリンに連絡してギャラハッドの格納されているエリアで集合として向かうことにした。
----------------------------------------------------------------------------------
「バッテリー駆動にするとして、活動限界時間はどのくらいになりそうだ?」
最大の問題点についてまずは話さなければならない、今までは縮退炉からくる莫大なエネルギーを持って無尽蔵の活動時間が確約されていたがこれからは常に節制した運用を強いられるのだ。
一番の問題は運用できるパッケージにめちゃくちゃな制限がかかると言ったところだろうな、レールガンの大電力を消費するTristramに重力レンズを発生させるための消費量が多いPercival。殲滅力の高いMordred、多数のビット兵器を有するConstantine、多数の兵装と大型ビーム砲を備えたBedivereに最終決戦兵器Arthur。
残ったパッケージの中でも基本的に実戦装備として使えるのはLancelotとGauvainのみ、つまりギャラハッドが使えるのは全10種のパッケージの内僅か2つしかないんだ。
「幸いなのはモレッド達が戦えるってこと…か?あんまりうれしくはないけどな。」
本来ならば最前線に立つべき俺が継戦能力不足で離脱するなんてことはしたくないんだけどなぁ…
一応今のウチの戦力と役割について確認しておこう。
=====================
AMRS-9900 ギャラハッド
パイロット:ソラ・カケル
ポジション:突撃前衛
=====================
AMRS-9900V-Re ギャラハッド・ヴァレット改
パイロット:ソラ・モレッド
ポジション:遊撃前衛
=====================
AMRS-A-C01 ケット・シー
パイロット:ソラ・キスハ
ポジション:偵察前衛
=====================
AMRS-B-S02 アラクニー
パイロット:ソラ・エルピダ
ポジション:援護後衛
=====================
ってな感じか、我ながら中衛が全然存在しねぇなこれ…まぁモレッドとエルピダが実質中衛も兼ねてるみたいなもんだから気にしなくてもいいのかもしれない。
軍隊で言えばちょうど小隊規模だしな、悪いとは言うまいよ。
『とりあえずだけど、主機は降ろしてそこに重量バランスがおんなじになるように作ったバッテリーを押し込むってこと確定でいいんじゃないかな?できそう?マーリン。』
『それは簡単だよ、但し問題は急速充電に対応させたりあとは結局バッテリーも何度も放電充電を繰り返せば劣化するってことだね、何回くらいで交換を目安にするかってところかな?』
『いっそのこと戦場に出たら一回一回バッテリーごと交換して再出撃ってするのが一番いいんじゃない?急速充電はバッテリーの負荷が高すぎるでしょ?』
『それもありかなぁ、後はギャラハッドに元からあった給電用ハードポイントに大型バッテリーを付けておこっか。それだけやればかなりの活動時間は見れるはず。』
ヴィヴィアンとマーリンは俺を追いやって続々と案を出し合っている、まぁ俺も2人の案に賛成派なので何か言うつもりもないし俺は何かを設計したり作るのは得意だが自分が作ったものを見直すと言うのは地味に苦手だったりするのだ。
様はあれだ、設計段階で突き詰めすぎて発展の余裕がほとんどないって言うある意味兵器として欠陥がある物しか作れないのだ。それをヴィヴィアンとマーリンは何とかして使えるようにしてくれているのでここで俺の出る幕はないという事だな。
「しかし…本当にどうしようかねぇ…」
『主機新しく作るのかってこと?』
2人が俺の顔を見上げながら首を傾げるのを見て、俺は苦笑しながらギャラハッドの顔を見上げるのだった。
ヴィ「新天地にやってきた!!(`・ω・´)」
グィ「新天地と言う言い方は正しくないのでは?(´・ω・)」
モゴ「まぁそんなことよりも実際戦争は起こるのかな?(゜-゜)」
オヴ「ヴェネスの情報だと確度は8割越えみたいだよ('ω')」
マー「怒るのは避けられないかもしれないと(゜Д゜;)」




