独立運営コロニー「オメガネオン」にて
「そんじゃあ補給を兼ねてコロニーに立ち寄るぞ~。」
「「「はーい!!」」」
次元孔を越えて外宇宙の入り口に立った俺たちは真っ先に無補給状態になる前最後の補給を行うために、外宇宙の直前に設営されている『独立運営型交易コロニー』に立ち寄ることにした。
独立運営型交易コロニーとは簡単に言えば「国家に属さず、特定の民営企業または団体によって運営されているコロニー」のことで、国に属さないという事で割とアウトローな事が平然と行われていたりってのはざらだ。
反対に国営のコロニーよりもセキュリティが高いものがあったりもする、これは立ち入りが制限されているからとかではなく民間企業のセキュリティBOTの実証実験の為にコロニー全域が巡回されているからって言うのだったり、人間のSPの訓練の為に常にコロニーの通路と言う通路が監視されているからってのもある。
勿論人間なのでわいろが有効になったりもするんだが、企業としては賄賂になびく人間など必要ないので即首を切られるってわけだな。
今回行くコロニー「オメガネオン」は人間型アンドロイドを開発・販売している企業が運営しているコロニーで、警備員型だったり兵隊型だったりものによっては愛玩用だったりと色々な型を生産している企業の物だな。
なんでこんなところで?って言うのは外宇宙ってのが資源の宝庫だからって言うのに他ならない、まだまだ未知の物質が山ほど眠っているからそれらを使ったより高性能なアンドロイドの制作が彼らの至上目的なわけだ。
んで、試作機の警備型アンドロイドも大量にコロニー内を歩き回ってるからヘタな暴漢でも余裕で対処してくれるしもし上司がクソな人間であったとしても彼らは『人間を保護する』を至上目的としているので誘拐だったりってことはしないのだ。
これが俺がこのコロニーに立ち寄る為の理由だったりする。
「んじゃ、ドッキングリクエストしてさっさと補給を済ませましょうかねぇ?」
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「めんどくさっ!!」
コロニーに俺とモレッド達3人で入って速攻で放った一言がこれである、理由は簡単だ。
警邏担当のアンドロイドたちが速攻で俺を取り囲んだのだ、わけがわからずにモレッド達はおろおろしながらアンドロイド達に保護されるかのように俺から離れさせられるわけで。
「はぁ…んで?説明はしてくれるんだろうよ?指揮官型さんよぉ?」
『アナタニハユウカイノケンギガカケラレテイマス、オトナシクシナサイ。』
「誘拐…ねぇ?」
めんどくさいことこの上ないねぇ全く、まぁなるようにできるけどもさ。
大人しく俺はアンドロイドたちに連れられて取り調べの為に連れていかれるとしましたよ、これなら多少セキュリティが悪くてもそっちの方に行ったほうがよかったかもしれんと思ったのは俺だけではないはずだ。
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「んで…設計者さんよ、優秀なのはいいだろうよ。だが何でもかんでも疑いきって掛かられるこっちの身にもなってくれや、いくら傭兵の中にそう言った輩が居るからって全部が全部そう言った理由で子を引き取ってるわけじゃねぇんだわ。お分かり?」
「まことに…まことに申し訳なく思っております!!」
「せっかくこれから外宇宙に行って色々採掘予定だったってのにさぁ、終わったらこっちに卸す予定もあったのになぁ?」
「!?それは…」
「まぁ俺もそこまで悪徳じゃないんでね、卸はするさ。けどすまんが指名でのマテリアル採掘は断らせてもらう、こっちもいろいろ入用なんでね。」
「…くっ…」
取調室に放り込まれてしばらくしたのちに、捕まえた傭兵が割と善玉として名高くなっていた俺だったという事に気が付いたのであろう企業側が設計主任を寄越してくれたようで、俺はその設計主任と対面で話合っていたわけだ。
実際特に何か暴行を加えられたわけでもなく、取調室とはいってもそこまで居住性が悪いわけでもなかったので俺の怒り自体もそこまで大きくはなかったのだが、やられたことにはやられた分で返すと言うのが俺、引いては傭兵のポリシーなのでここは強気に行くしかない。
ここでこっちが譲歩すれば他の傭兵にも迷惑が掛かってくるかもしれないともなれば、ろくでもない事をしている奴らを除けばまっとうに仕事をしている奴らにも迷惑が降りかかるからな。
「ってなわけで指名の仕事は受けん、もし勝手に俺の船についてくるならそれは別に構わんがな?但しそっちが攻撃を受けようとも俺は一切関与しないし責任も負わん。勝手にそっちが付いてきただけなんだからな。」
「…承知しております。」
めちゃくちゃ苦渋の決断を迫られてるような顔してるけど、それはアンドロイドの行動アルゴリズムに柔軟性を求めなかったせいだぞ。柔軟すぎるのも考え物だし、人間みたいにモレッド達の証言を聞いて本当なのかってのがわからない可能性もあるけれども、疑わしきは罰せずをやりすぎるのも問題だからな。
まぁもし勝手についてきて被害を受けそうってなった時には多少は助けてやろうとは思っているけれどもな、本当にやるかは知らんけどな!!
「んじゃ、俺は釈放だな?」
「はい…ご迷惑をおかけしました。」
ってなわけで俺は釈放となりましたとさ、釈放時に俺の持っていた機器は全て返却されたけどそれらは使用せずに傭兵組合に行って組合の端末を借りてアヴァロンに連絡を取るしかあるまいよ。
なんで使わんの?ってのは単純に何か仕掛けられてる可能性があるから、ウイルスプログラムだったり質の悪い発信機だったりって言うのがある可能性があるからだな。
一応取調室のあった建物から傭兵組合はすぐ近くだったんで早足で向かう事に、すると傭兵組合の入り口がごった返しになっていることに気が付く。
なんだぁ?俺がつかまったことをネタにしようとガヤが集まってんのか?とでも思って俺は近くまで近寄ったのだが違ったらしい、中で「ドッカン」「ガッシャン」と暴れている奴がいるらしい。
「なんでお父さんが連れていかれたのに何もしてくれないの!!」
「とと様を早く返して!!うえぇぇぇえぇぇん!!」
「おとしゃ…おとしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あぁ…まじかぁ…」
人混みをかき分けて見えるところまで来てみれば、超高性能AIによる自衛術はおろかありとあらゆる格闘技術を叩きこまれた少女、獣人種の中でも希少種に当たる中で怒りによって所かまわず飛び回って泣き叫ぶ幼女と蜘蛛型の蟲人種で圧倒的な脚の力をこれでもかと発揮している幼女が俺の目に入ったのだ。
傭兵組合としても俺が捕らえられた時に3人をアンドロイドが担ぎこみ一時的な保護をと言うことで預かったのだろうが、そこで3人は「お父さんは悪くないのにつれてかれちゃったの!!」と訴え、それが傭兵組合から企業側に行った結果が開発主任がやってきたという結果なんだろう。
それでも一向に俺が釈放される余地が見えなかったところから感情が爆発した結果が今の惨状と言うところなんだろうなぁ。
ガヤの連中をなんとか押しのけて暴れている三人に歩み寄っていき、最初にキスハが気が付いたことで泣きながらかなりの勢いで俺めがけて突っ込んでくるのをなんとか受け止めようと体勢を決める。
「お父さん!!」
「とと様!!」
「おとしゃ!!」
「3人とも落ち着…ぐふぅ!?」
流石に3人のタックルには耐えきれずに情けない声を上げながら倒れこみ、胸の上でわんわん泣く愛娘たちをしばらくあやし続けていた。
モレ「全くもう!!<`ヘ´>」
キス「とと様つれてかないでっ!!(-`ω-)」
エル「おとしゃ…おとしゃぁぁぁ…(ノД`)・゜・。」




