しゅっぱーつ、しんこー!!
「傭兵ソラ・カケルに報酬として1千万メル、並びに資源衛星E-7249の保有を認める事とする!!」
「ありがたく拝領いたします。」
戦勝パーティーから早1週間、首星レーツェル・フリーデンの王城にて現在報酬の授与式が行われているところであります。
報酬金である1千万メル、これは傭兵家業をしていてもかなり破格の金額ではあるがそれは今回の活躍にしてみれば圧倒的に少額だ。それを補っているのが資源衛星E-7249と言う事だ。
この資源衛星から得られるマテリアルについては一切の納税を免除され、ついでに言えばもしここから得られたマテリアルから何か収入を得てもそれについても何もおとがめなしと言う厚遇っぷり。
陛下の寛大な措置に感謝しかないな、何かもうけを得るつもりは無いんだけれどな!!
「うむ、それとそなたにはローゼン・エーデルシュタインの名誉将軍の席も用意しておるのだが?」
「謹んでご遠慮させていただきます。」
「はっはっは!!お主ならそう言うと思っておったわ!!」
…俺の立場をよくしたいんだか悪くしたいんだかよくわからんぞ全く、これについてはまわりも「やっぱり拒否されたじゃないですか」って呆れた感情が感じ取れるけれど。
授与式が終われば後はさっそく資源衛星E-7249に向かうだけだ、さっそく俺たちはアヴァロンに戻って出港準備を整えていた。
一応アヴァロンも応急措置として損傷個所には簡単な増加装甲のような形で穴は隠されてはいるが、当然こんな状況で本気の戦闘などは行えない。いや、本気の戦闘でなければ戦うこと自体は出来るんだけれどそんなことは使用とは思わないわけで…
それともう1つ…いや、2つか。なかなかの…いやめちゃくちゃな大問題があるんだが…それが…
「シュトちゃん!!よろしくね!!」
「シュトねぇね!!案内してあげる!!」
「わ…わたちも…あんない…しゅる…」
「わぁ…!!これがハーレお姉さまも乗ったというアヴァロンですか!!」
「うむ、まさか父上が許可してくれるとは思わなんだが…妾も楽しかったでな!!また乗れることをうれしく思うぞ!!」
というわけで、モレッド・キスハ・エルピダと仲良く話しているのは継承権第1位のローゼン・イシュワルダ・シュヴェルト・ハーレイ殿下と国王陛下の末娘でありハーレイ殿下の末妹ローゼン・ツヴォルフ・プリンツ・シュトラーセ殿下の御2人でございます。
なんでこんなことに?と俺がハーレイ殿下の傍に控えているシックザールさんに視線をやるのだが「殿下はアヴァロンでの生活が忘れられなかったようで…」とあきらめに似た笑みを浮かべながらこちらを見るだけで、こっちとしても「歓迎しすぎた?」と後悔するしかなかったわけである。
あと乗船してくるのはハーレイ殿下とシュトラーセ殿下に加えて、ハーレイ殿下の傍付きシックザールさんとヴェネス。それにシュトラーセ殿下の乳母兼傍付きのシュヴァイゲンさん。
なんとシュヴァイゲンさんはシックザールさんのお姉さんで、御年21歳とか。乳母の時点では18歳!?実はお子さんと旦那さんは事故により他界していて、失意の中既にハーレイ殿下の傍付きになっていたシックザールさんからシュトラーセ殿下の乳母として推薦されたんだとか。
重い話だが、シュトラーセ殿下の乳母として生活することで少しづつ心の傷を乗り越えて今に至るらしい。
「シックザールから話は聞いております、このシュヴァイゲン。不肖の身ではありますが滞在中、精一杯務めさせていただきます。」
「あんまり気負わないでくれ、少なくともウチはそう言ったものはないからな。一度乗船したらも家族みたいなもんだからさ。」
「承知しました、よろしくお願いいたします。」
う~む…堅い!!思わず「なんとかならんの!?」という視線をシックザールさんに向けてしまったが「申し訳ありません、これでもよくなった方なのです…」と無言で回答されてしまったのでどうしようもない!!
くっ…こいつぁなかなか手強いぜぇ…いや、ハーレム的な奴にするつもりは無いんだけどさ。ただ少しくらい砕けてもらいたいだけであって。
「それじゃ、ハーレイ殿下はウチの勝手を知ってるから説明は不要だな?必要なのはシュトラーセ殿下とシュヴァイゲンさんだけでいいな?」
「いえ、今回はアヴァロンとギャラハッドの修復の期間中終始滞在するとのことですので私とハーレイ殿下も確認しておくべきでしょう。前回は比較的短期間でしたが、今回はどれほどの長期間になるか想像もつきませんからね。」
「うむ、その通りだ。いかに妾達が王族であっても他者の家に上がり込む以上その家のルールには従わねばならん。郷に入りては郷に従えというしの。」
えっ…殿下2人ともアヴァロンとギャラハッドの整備が終わるまでいる気してんの!?いや…良いんだけどさぁ?そんなに継承権第1位と王族の末妹が公務とかから離れてて大丈夫なんか?
『あなた、安心してください。』
「ほ?どういうことだモルガン?」
『陛下からハーレイ殿下とシュトラーセ殿下のカリキュラム等は受領済みです、つまりこれは長期休暇のようなものなのです。』
「なるほどぉ…」
それなら納得…出来るのか?普通の王族ってこんなことしないよね?でもローゼン・エーデルシュタインの教育方針がこうなら仕方がないのか?えぇい!!よくわからん!!もういいや、なるようになってしまえ!!
「じゃあ、問題は無いんなら気にせず行くとしますか。じゃ、殿下2人とシックザールさんとシュヴァイゲンさんへの説明は…」
『私が行います、改めまして。傭兵艦アヴァロンの医療・衛生担当のグィネヴィアと申します。』
「おぉ、グィネヴィア嬢!!うむ、たのむぞ。」
グィネヴィアの案内に従い、ボーディングブリッジから乗船していく4人+1機を眺めてから俺とモルガンも乗船した。見送り?らしき人々も手を振ってくれているな、無理に乗船してこようとしない当たりしっかりと殿下から情報がいきわたっている様だ。
あぁ…あと、専用のドックに入っていたアヴァロンだが工作行為はめちゃくちゃ行われてました。陛下の息がかかっていたものではなく、あくまで俺たちを駒として使いたい連中の手の者だったみたいだがな。
アヴァロンのセキュリティが全く突破できず、強硬手段をとろうとするところまでどいつもこいつも同じ行動だったらしい。モルガンは終始アヴァロンの管理システムと同期しているので、そう言った工作行為は全てバレているんだが向こうはそれを知る由もない。
よって、工作が行われた瞬間に管理システムに通報。ドック内の通用口から空調システムに至るまですべての穴と言う穴をロックして捕まえるというね。
それでも「ウチの部隊ならそんなヘマはしない」という自信過剰な方々は後を絶たず、結局全部撃退してやったわけだ。んで、陛下からは「ちょっかいをかけて来た連中だが、どうする?」と聞かれたときには「俺からはなんもしませんよ、プライドを十分へし折れたみたいですし?」とだけ伝えた。
仮にも各貴族のお抱えの諜報部隊が何もできず、しかも簡単にとらえられてしまったとあればプライドなんて消し去ること間違いなしだからな。
そうして、結果報告を聞きながらのんびりとモルガンと共にブリッジまで歩いて行ったわけだ。
「よし、アヴァロン出港準備!!」
『了解、アヴァロン出港準備開始。主機、点火準備。』
『こちらオヴェロン、司令受諾!!主機『グレート・ブリテン』始動開始、補機『アイルランド』主機点火に向け全力運転開始!!』
『全力運転確認、艦固定アーム…除去、推進剤充填ケーブル…除去。』
『主機点火まであと5…4…3…2…1…点火!!』
『主機運転開始を確認、高出力斥力発生器『ブリタニア』起動…確認。』
『主機出力安定、問題なし!!』
『最終固定アーム…除去、アヴァロン出港準備完了しました。』
珍しく口頭で指示を出してるな~と思っていたんだが、そうかハーレイ殿下とシュトラーセ殿下の為のデモンストレーションか。こういうのってなんか聞いてたらワクワクするもんな、わかるよその気持ち。
「こちらレーツェル・フリーデン軍港本部、貴艦の出港を許可する。よき旅路を。」
『出港許可確認、感謝します。』
「よしっ、じゃあ目的地は資源衛星E-7249だ。早速行くとしよう!!」
『了解しました、コース選定…完了。本艦は30分後大気圏突破行動に入ります、搭乗員は所定の場所で待機してください。』
さてさて、アヴァロンとギャラハッドの整備が終わるまで何事も無ければいいんだが…まぁ無理だろうな!!
ヴィ「現実が…襲ってくる…(ノД`)・゜・。」
グィ「はーい、皆さんはこちらのシートに座ってくださいね~(*'ω'*)」
モゴ「艦内アナウンス気合入ってたなぁ( ゜Д゜)」
オヴ「アミューズメント施設をイメージしました!!(*^^)v」
マー「ファクトリーの点検しとかなきゃ(>_<)」




