往生際が悪いっ!!
アヴァロン周辺にUNKNOWN反応は少ない、モルゴースの防衛によってかなりの数が減っているおかげだ。
対空砲火圏外になってもスターリング・シルバーから寄って来るUNKNOWNの数自体もそこまで多くはない、キスハとエルピダががっつり撃破し続けているからだ。あれ多分前とおんなじで素体状態のままだぞ、モルガンめ…素体の時点でかなり戦えるようにしやがったな…まぁ良いんだけどさ。
「さてさて…グソク様の位置は…っとぉ、流石キスハだな。ドンピシャだ。」
ケット・シーのセンサーで拾った情報からわらわらと寄ってくるUNKNOWNの中に一機だけその場から動かない機体を見っけてくれた、こいつが指揮官機もといグソク様が乗っている剪定者の親玉機だな。
グソク様も往生際が悪いというかなんというか…そこまでして自分が王座に就かんと気がすまんのかねぇ?一般人の俺にはよくわからん感情だな、楽しく気楽に生きていけるならそっちの方がいいだろう?王座なんてたった一人でこの星間国家の舵を決めるって言う途方もなくスケールのデカい役職なんだぜ?俺ならのしつけて喜んで誰かにぶん投げるね。
「大人しくお縄について貰いましょうかぁ!!」
アヴァロンの直掩はキスハとエルピダで十分、アヴァロン本体の防御もモルゴースが戻っているから問題はないだろう。ブリーチングブリッジもスターリング・シルバーから外して単独になった分動きやすくもなってるみたいだしな。
それにしてもキスハとエルピダの連携がすさまじい、キスハが敵に突っ込んでヘイトを買い戦場を引っ掻き回す。キスハの後ろを追いかける敵機をエルピダが綺麗に薙ぎ払うという連携が出来上がっているのだ、エルピダの攻撃で仕留めきれなかった分は小回りの利くキスハがしっかり平らげるというスタイル。
うーむ…将来が有望だな!!お父さんはうれしいぞ!!
「グソクゥゥゥゥゥゥゥ!!」
「きっさまぁぁあ!!傭兵ソラ・カケル!!貴様さえいなければぁ!!」
最早敬称など不要と言わんばかりに呼び捨てながらグソク様の乗る指揮官機に突貫する、すぐにでも活動を停止させればこのバカげた防衛戦も終わりだと思ったので行った行動だったのだが…
「んなぁ!?」
グソク様が操っているとは思えない反応速度でLancelotのアロンダイトを防ぎやがった!!
「馬鹿め!!この『ヘルシャフト・リュストゥング』がそう簡単に墜とせるわけなかろうが!!」
こっちではそれをそう呼ぶのか…多分ドイツ語で『支配する鎧』かな?まあいいや、少なくとも前のように簡単に行く闘いではなくなっているということはわかった。
そしてあれが運営側の機体だったというのならまだ抜け道はある!!
「ならこいつでどうだぁ!!」
アロンダイトによる砲撃で目くらましをしながら一旦距離を取りつつH・Rの反応をうかがう。
「やっぱりか…」
この反応で凡そのことはわかった、あれはチーター対策機ではないということはな。
チーター対策機はそもそも攻撃を防御なんてしない、謎バリアー。プレイヤーからはA○フィールドとも呼ばれた、絶対不可侵領域があったのだ。それを使っているとき機体はそもそも防御姿勢なんて取らなかったし、近寄るだけで謎の力場によって機体が大ダメージを受けていた。
これに関しては先ほどアロンダイトで切りかかった時には接近していたのにダメージを受けた形跡もないし、今回の砲撃に対する防御姿勢を取ったという事で確定だな。
「問題は、あれが起動後は完全自立行動型だってことだな。グソク様が乗ってるってことはローゼン・エーデルシュタイン側でコックピットでも増設したか?」
あれは一種のウイルス対策ソフトみたいなもんなので、基本的に人間のコントロールは受け付けない。が、それではこの世界では使い勝手が悪すぎるってことで簡易的なコックピットを用意したんだろう。
グソク様の手をどこまでH・Rが離れているか、これからどれだけ離れていくかってのもここからの勝負の分かれ目だな。
「無駄だ無駄だ!!この機体を出した以上、余に負けは無い!!」
「そいつは俺に勝ってから行ってもらおうかぁ!!」
アロンダイト2本目を抜刀し再度近接戦に持ち込む、H・Rはそもそも装甲が運営の用意したぶっ壊れなのでまともに切り合ってもろくにダメージは通らない。
剪定者とはえらい違いだな、向こうは一応救済措置というかで耐久値自体はそこまで多くは無かった。ゲームの設定も遵守した結果がこれって言うなら下手するとクソゲー呼ばわりされてもおかしくは無いんだが、それでも抜け道ってのはしっかり存在する。
「いつまで防御してられるかな!!根競べといこうや!!グソクさんよぉ!!」
「生意気なことを!!一方的に蹂躙されるがいいわ!!」
マニピュレーターの動きとスラスターによる高速移動を駆使して超連続攻撃を仕掛ける、両手で袈裟懸けに切りかかったと思えばスラスターを吹かしてバク宙しながらH・Rの顎めがけて蹴りを見舞おうとし、ガードされた瞬間に横回転をかけて腹部めがけてアロンダイトを振るう。
それも防がれてしまえば体勢を戻しながら砲撃してスキを可能な限り減らしつつ、また向かい合うような形にして切りかかる。
「クソっ…なぜここまで押されるのだっ!!」
「てめぇじゃ宝の持ち腐れなんだよ!!オラぁ!!」
「ぐあっ!?」
両てのアロンダイトで切りかかったためにH・Rも両手を使ってガードするしかなかったところを、がら空きになっていた腹部めがけて膝打ちを叩きこむ。
良い感じにヒットしたようで機体が弾き飛ばされた、コックピットにも少なからず衝撃は通ったようでグソク様のうめき声も聞こえたな・
「貴様が…貴様なんぞにぃいぃぃぃぃぃい!!」
「うおっ!?無茶苦茶してきやがる!!」
コントロール自体はほとんど受け付けてはいるというのか、AIなどでは到底考えられない攻撃を仕掛けてくる。行動予測などあったものではない突撃とただ癇癪を起した子供がモノを振り回すような攻撃、そして何より困ったことが周囲に残っていた剪定者による特攻。
「ふっざけんな!!どんだけのことやってんだてめぇ!!」
「黙れ!!貴様さえいなければ…貴様さえいなければ余が王座に座していたものを!!」
「はなっから破綻してた計画だろうが!!てめぇの不手際を俺のせいにするんじゃねぇ!!」
「五月蠅い!!たとえ成立しない計画でも!!余が玉座に座することこそに意味があるのだ!!」
「ハァ!?てめぇみたいなクソボンクラに娘なんざやるわけねぇだろうが!!一回り以上下の少女にモーションかけてフられやがったやつが王座になんか座れるかボケェ!!」
「キッサマぁ!!一番言ってはならぬことを!!」
「知るか!!とっとと墜とされろ!!」
罵声と罵り合いの応酬の中、俺は剪定者の特攻をさばきながらH・Rに対処し続けていた。
今回ギャラハッドにはモロノエがいない、なんでかと言うとグィネヴィアのサポートとしてそっちに移ったからだ。
グィネヴィア単体でも殿下とモレッドの処置は十分可能だが、モロノエにはグィネヴィアよりもより手傷に特化した修復プログラムが搭載されている。グィネヴィアがありとあらゆる傷病に対応できる万能医だとするならば、モロノエは戦場病院最強の医師と言ったところだろうか?
ってことで莫大な情報量をさばいてくれるモロノエがいない事で俺もちょっとハンデを背負っていると言ってもいい、まぁ情報自体は必要以外の分については既にカットしてるんだけど時折予想外のところからあ突っ込んでくる剪定者もいるんで正直大変だ。
多分今のH・Rの攻撃はグソク様が、剪定者の特攻についてはH・RのAIによるものだろう。グソク様がそんな高度なことできるわけないだろうしな、とりあえずクソだるい!!
「こんなもんかよグソクさまよぉ!!」
「なめるなぁぁぁぁっぁ!!」
攻撃は激しくなるのに煽ることは止めない俺だ、こうすれば先にバテるのは向こうのはずだからな…少しばかりの心理戦も交えながら戦いは進んでいく。
モレ「うぅ~…グィネヴィアお姉ちゃん…怒らないでぇ…"(-""-)"」
キス「とと様からお願いされたの!!(*'▽')」
エル「きすはねぇねずるいっ!!Σ(゜Д゜)」




