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あれ?おかしくね?

 ローゼンエーデルシュタインとイネフェイブルエスペランザの戦争勃発の理由がローゼン・イシュワルダ・グソク継承権第6位様の仕業だという確証が得られたローゼン・エーデルベルク・シュヴェルト・ハーレイ殿下は何となく「やっぱりそうだったか」と言う顔をしながらうなずいていた。


 だが、イネフェイブルエスペランザ側に話を持ち掛けていたグソク様がなんでこの戦争の最前線に出て来たのかって話にもなるよな?王位を簒奪するならばこんなことしてる暇があるなら王都でクーデターでも起こしてしまう方がよっぽど可能性があるにきまっている。成功するかは知らんけど!!


「なんでその戦争をおっぱじめるキッカケを作ったグソク様が最前線なんかに居るんだ?」


 俺は疑問に思ったことを殿下に隠さずに尋ねることにした、ここで変にぼかして聞くことも必要ないだろうと思ったし傍付きもそれについては疑問に思っていたようだ「なぜ継承権第1位と不仲である第6位がともに最前線に向かったのか」と言いたい顔をしている。


「簡単じゃよ、妾よりも上からグソク兄上に向かうよう指示があっただけじゃ。」

「ってなると国王陛下か?」

「ウム、妾の父上『ローゼン・グラント・シュヴェルト・ヴァイザー』陛下じゃ。今になって思えば既に陛下はこの戦争が始まった原因を把握していたのじゃろうな、妾がこの戦争で死ぬことはまずない…とは言い切れなかった部分は大きいが、それでも戦争を始めた犯人が兄上であるという事を見つけ始末させるつもりだったのであろう。身内殺し、いかに王族であっても他国に援助を頼み王位を簒奪するなどあってはならぬこと。継承権第1位としてふさわしい立ち振る舞いを見せよと言ったところか。」


 ハーレイ殿下の顔が少し落ち込んでしまったな、いかに下種であろうとも殿下にとっては血のつながった兄。自らの手で討つことは少々酷と言ったところだろうか?

 俺?依頼されればやるよ?仕事だもんそれくらいは全然気にしない、むしろ殿下の気心を知った今の気持ちとしては「俺が始末したほうがいいかな?」と思っている次第である。


 だからって勝手に動くなんてことも出来ないんだけどさ、仮にも相手は王族で。しかも今回の仕事の依頼主に名を連ねるお方ってだけによりめんどくささに拍車をかけている。


「んで、どうやってグソク様にこれを突きつける?」

『情報の確度自体は非常に高いものです、しかし情報を集めたのが傭兵であるという事。そして何より場所が悪いですね、これではグソク様に有効打を与えることが出来ないのではないでしょうか?』

「うむ、これが王都であれば陛下への上告をしたうえで公的に処理も出来たものなのだがな。ここは最前線、まして今妾は旗艦スターリング・シルバーではなく傭兵ソラ・カケルの母艦アヴァロンにおるからの。グソク兄上がこの隙に何かしでかすなら一番いいタイミングであろうよ。」


 ん~…何か引っかかるな、この流れだと殿下はグソク様がイネフェイブルエスペランザとつながっているのを知らなかったからアヴァロンに来たこのタイミングで何か行動を起こすって予測なんだろうけど。


「殿下…もしかしてですけど…」

「ほう、さすがよの。如何にも兄上が主犯だとは思ってはおったよ。言ったであろ?答えにはたどり着けなかったが。」

「道理で、それでちょうどいいとばかりにアヴァロンに飛び込んできたわけですね。」

「うむ、腕が立ち妾の身の安全まで確保できる傭兵がこのような豪華客船さながらな艦を持っているとは思っておらなかったがの!!」


 このっ…この人は行動力と言うか、直観と言うかがずば抜けているんだな。まぁそうでも無きゃこんな行動はしないか…ってことは傍付きの同乗を一人しか許さなかったときそこまで食い下がってこなかったときがあったのもそういう事か。


「んで、殿下。今さらですが改めて、傭兵ソラ・カケル。これから行われるであろう殿下の一大作戦に一番槍として立候補する次第ではございます。」

「わたくしも殿下の傍付きの一人でしか無い身ではございますが、この身命を賭して御身を御守させていただきたく思います。」

「うむ傭兵ソラ・カケル、そして妾の傍付きシックザールよ。汝らの上告確かに賜った、ではこれより妾は旗艦スターリング・シルバーに居る今回の戦争を勃発させた主犯ローゼン・イシュワルダ・グソクの確保。もしくは排除を目的とした行動を開始する。」

「「『Yes your Highness!!』」」


 さて、敵は味方の中にも紛れていた…と言うよりほぼ一回対面したといえるけど。

 これからどう行動するかの作戦会議からしなきゃな。


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「それじゃあわざわざスターリング・シルバーにまで乗船する必要はないってことか?」

「うむ、それに…実は陛下からは「もし…必要ならばシルバーは()()()()()()構わん」とまでおっしゃっておられたでの。こうなるであろうことまで予測されていたんであろうな。」

「おっかねぇ王様だぜ、旗艦を墜とされてもかまわんたぁ大盤振る舞いだねぇ。」


 何時いかなるところであっても総大将ってのは戦地に置いて最も安全である場所、つまりは周辺を万全状態の護衛に囲まれ十分な防護兵装で覆われた旗艦に坐するのが普通だ。

 故に旗艦が墜ちるということは()()()()()()()()と捉えられてしまう。しかもよりにもよって今回は戦争中であり、本当の首魁が本来の主たるハーレイ殿下を差し置いて機関の最高責任者という立場に立ってしまっている。


「めちゃくちゃ困難ではありますねぇ…」

『はい、今回行われる作戦はつまり「首魁の確保又は殺害・旗艦の確保・敵の殲滅」となりますから。敵の殲滅という部分に関してははっきり言ってしまえばアヴァロンのみでも対処が可能です、しかし問題が先の2点になります。ローゼン・イシュワルダ・グソクの確保と旗艦スターリング・シルバーの確保ですね。』

「うむ、その点なのだがやるなら早い方がいい。敵の殲滅に関してはソラ・カケルの母艦でどうとでもなるのであろ?今しがたモルガン殿が言っていた秘密兵器でもあるのか?」

「あれはぁ…あるにはありますが下手すると友軍機も巻き込んで周囲一帯を何もない空間にしてしまうような代物ですよ?」

「宙域一帯を…と言う事かの?」

『その通りでございます、ローゼン・エーデルベルク・シュヴェルト・ハーレイ殿下。アヴァロンの主砲より発射される砲弾の中にはSBH弾という物がございます、そちらを使用さえしてしまえばイネフェイブルエスペランザ軍の残存する部隊の8割は消滅させられることでしょう。』

「うむ、許可は出す。味方に関しては…妾の命令を聞かなかった時点で兄上の息がかかったものと判断し撃破することも許可しよう。」

『感謝いたします、では私は準備に取り掛かりますので。』


 SBH弾とは『スモール・ブラックホール弾』のことで、Lancelotのアロンダイトで放ったような()()()()ブラックホールではない。

 要するに規模が違うのだ、ブラックホールは性質上発生した瞬間から蒸発していく。つまり質量が大きければ大きい程蒸発しきるまでの時間は長いし、引きずり込まれる重力半径も大きくなるってわけだ。


 SBH弾がブラックホールを発生させる機構は原子爆弾に利用される「ガンバレル式」と似ている、原子爆弾のガンバレル式が火薬などによって臨界量を超えるウランやプルトニウムを合わせるのに対しSBH弾では超電磁砲の要領で原子核の衝突させ、重力崩壊を誘発させてブラックホールを発生させるという物だ。


 ちなみに、中性子星になる可能性はないぞ?その辺はよくわかってないけどな!!普通は中性子星になるはずなんだけど超高々密度に圧縮されきった中性子が耐えられずに崩壊するから…らしい。


 モルガンは敵の布陣や展開範囲を確認したうえで最も効果的に殲滅でき、かつ友軍の被害を押さえられるようにSBH弾の設定をしに行ったことだろう。いくら殿下からの許可が出たとはいえ人の口にチャックなどできないからな、傭兵ソラ・カケルが放った未知の攻撃によって敵味方問わず甚大な被害が出た。ともなれば下手をすると今後の傭兵活動に支障が出るからな。


「んじゃ、次にどうやって旗艦スターリング・シルバーを攻略するか。だな。」

「それについては最初から攻撃してしまえばよいのではなかろうか?」

「それは浅慮と言うもんだぜ殿下、いくら敵を殲滅してから行う行動であるとはいえ下手をすれば向こうに痛くもない腹を探られることになる。」


 もし、それをやって成功させたとしてもあまり殿下の評価が上がることはないしむしろ「こんな方が次の王でいいのか?」と言う疑惑を産んでしまうだろう。

 それは俺としても避けたいからな、だから単純明快で一番簡単にグソク様を排除できる方法で行くとしようや。


「殿下…こういうやり方があるんですが…」

「む?ほうほう…むむっしかしそれでは…なるほど…ほほう!!」

「出来ればわたくしの居る前で殿下に悪知恵を与えるようなことはしないでほしいのですがね…」


 シックザールさんに何か言われてしまったがそれはそれで置いておくとして、とりあえずでんかにはこの作戦は好評だったみたいだからこれで行けるだろう。


 ふっふっふ…悪ガキの知恵を舐めんなよ?

ヴィ「AMRSの出番はないかな(*'ω'*)」


グィ「これはもしかしなくてもですねぇ(*^^)」


モゴ「カチコミか?(*'▽')」


オヴ「たぶんそうなりそう?('ω')」


マー「第一種戦闘配置だ!!( ゜Д゜)」

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