父の背は、高く輝かしい物だった
「オラオラオラァ!!てめぇらの根性はそんなもんかぁ!?」
『Master 同じ土俵に立つことすらできていない者にそれを言うのはなかなか酷という物では?』
AMRSの母艦を沈めたあたりで俺の周囲は既に360°全方向を包囲された状態だ、こういった時敵は一斉射撃は絶対にしない。なんでかって?単純にフレンドリーファイアの危険があるからだよ。
例えば俺に向けて撃った弾が避けられて俺の後ろに居た友軍機に当たる、なんてことはあっちゃいけないわけだからな。だから大体の包囲戦ってのは攻撃に順番をつける、弾が通り抜けた後にまた攻撃すれば包囲自体は解けないからな。
「だが…無駄ぁ!!」
SoA全機展開!!周辺全機を墜とすまではしないでも抜ける穴さえあれば十分、包囲に穴をあけて一気に離脱してそのまま次の母艦を沈めにかかる。AMRS母艦はアヴァロンを除けば基本的には航行持続距離と積載量に特化しきった艦だからな、ぶっちゃけ対AMRS戦用防御兵装なんて雀の涙程度しかない。
それを補うために護衛艦を引き連れているわけなんだが…既に懐に入られちまったら味方を撃っちまう危険もあるもんだから下手に打つことも出来やしない、それを考えずに対艦戦闘なんてできるかよぉ!!
「ほれほれほれぇ!!またお前らの帰る艦が沈んじまったぞぉ!!」
『Master…それは悪役のセリフです…』
「どのみち向こうは敵だ、勝てば官軍負ければ賊軍とはよく言うけれど俺が負けるとでも?」
『それもそうでしたね、ならば圧倒的な力を見せつけて勝ってしまうのがよろしいかと愚考します。』
「そう来なくっちゃなぁ!!」
いくら宇宙服を着ていようとも流石に身一つで宇宙空間に取り残される恐怖は計り知れないし、下手に希望を持たせてもつけあがるだけなんだからな。俺はブリッジとジェネレーターをSoAで叩き潰して一気に爆発させることにした。
命を奪っている行為だが、それに関して俺の心がなびくわけじゃない。もともと日本に居たただのリーマンだった俺がここまで変わる物なのだろうか?とも思ったのだが、理由を考えてみればなんとなくわかったものだ。要するに俺には今、絶対に守らなくてはならない家族がいる。
それを守る為ならいくらでも自分の手は汚しても構わないという心境になっているんだと思う、実際そうなのかなんて俺にもわからないけれど少なくともそう思ってるんだろうなと思う程度には納得のいく答えだったのだ。
「護衛艦も邪魔だぁ!!」
母艦が落とされたことで射線がフリーになったこともあり、護衛艦からミサイルの飽和攻撃がやってきた。
ミサイルを正面に捕らえながらバックブーストで移動しつつ頭部バルカンで迎撃、束になっているミサイル達は誘爆によってまとめて一網打尽に出来るし孤立して飛んでくるものも十分に対応しきることが出来た。
同時に突っ込んでくるAMRSの群れも同様に牽制を入れつつ各個撃破でどうとでもなる、これで少しでも腕の立つ軍人だったり傭兵でもいるのなら話は変わるのだがそういった人間って言うのは大体が使いつぶされるような立場が多いからな。
この世界の新兵とエースの違いがどれくらいあるのかなんて俺にはよくわからない…と言うよりどいつもこいつも同じレベルにしか映らないのが問題なんだがな!!
見込みがありそうなのはウチのモレッド・キスハ・エルピダの3人くらいしか俺は少なくとも見たことがない、ゲーム時代のチュートリアルの方がまだ難易度は高いんじゃないか?と思うレベルなのだ。
『Masterそれは恐らく記憶を美化しすぎです。』
「なぜ俺の考えてることに回答できる!?」
『顔に出ていましたので。』
「ぐぬぬ…!!」
にしても今回の戦線…層が分厚いなぁ!!初戦に比べて翼陣の中央に到達するまでの配置量が尋常じゃなく増えている、あんときはひたすら前ブー吹かしてればそんなに苦労することも無く到達できたって言うのに今回はそれが出来ない。
ギャラハッドに被害が出るから出来ないとかではなく、純粋に墜としておくことで報酬が増える目標が多すぎるのだ。
母艦・護衛艦・戦艦・巡洋艦・駆逐艦と大型艦艇クラスが目白押しで、それらが壁のように立ちふさがってくるというのも足が遅くなる原因だな。
これならConstantineではなくMordredにした方がよかったかもしれないな、まぁ有効射程がそれなりに長いから下手すると俺がフレンドリーファイアしてしまう可能性もあるので見送ったんだけども。
もしくはLancelotのアロンダイト最大出力の連打って言うのも手だ、確実にアロンダイトを使い捨てするような形にはなってしまうしギャラハッドのエネルギーサプライが少なくないダメージを負うことになりそうなんでこれもだめかもしれん。
「結局1対多で一番使いやすいのはArthurかConstantineか…仕方ないなこればっかりは。」
『Master そもそもこれだけの数を相手にしておきながらほぼ無傷で抜けているという事実をお忘れなく。いくらギャラハッドが優秀とは言えこれはMasterの力なくしてできる事ではありませんので。』
「そういうもんかねぇ…?」
モロノエの高評価?を受けながらも俺はササっと「早くこいつらの頭をつぶして休憩したいなぁ…」とか思いながら他の軍・傭兵たちとは比べ物にならない圧倒的な殲滅スピードをもって左翼側の中枢部を目指していた。
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『主は相変わらずとんでもありませんねぇ…』
「んぅ?グリテンおばちゃんどうしたの?」
『キスハのお父さんはすごいなぁという事ですよ。』
「んにゃ!!とと様はすごい!!でもかか様によく怒られてるよ?」
『ふふふっ…でも、キスハはそんなお父さんが大好きなんでしょう?』
「ん!!そう!!」
グリテンおばちゃんはとと様が頑張ってるところを知ってるみたい!!あたしには見ることはできないから教えてくれるだけでもうれしい!!
あたしがとと様が大好きなのも知っててくれるしとっても優しいから大好き!!
「きすはおねちゃー!!」
「んぅ?あっ!!エルピダ―!!」
エルピダの近くにちょうど来てたみたいで、エルピダから通信が入ったからそのままアラクニー?のすぐそばまで寄ることにした!!
「おとしゃすっごいがんばってるって、ぐりとねあおばちゃまいってた!!」
「うんっ、あたしもグリテンおばちゃんから聞いたよ!!」
「おとしゃ…すごいねぇ…!!」
「そうだね、あたしたちももっと頑張って褒めてもらお?」
「そうする!!あたち、がんばぅ!!」
エルピダももっと頑張る気になってくれたみたい!!あたしとエルピダは機体コンセプト?(かか様が言ってたけどよくわかんない!!)で2人での連携?が基本って言ってたから、アタシが動き回って敵の場所を確認してエルピダが攻撃して墜とすのが一番いい戦法なんだって!!
かか様は『いつかは2人共連携無しでもあの人やモレッドのようにできるとは思っていますからね。』って言ってくれたの!!だからアタシは頑張るのです!!
「それじゃエルピダ、あたしはまた飛び回るから。いっぱい倒しちゃってね!!」
「ふんすっ!!がんばいまぅ!?いひゃい…かんはぁ…」
「ありゃりゃ…」
べろを噛んでウルウルしちゃったエルピダを置いていくのはちょっと嫌だけど、グリトネアおばちゃんが励ましてくれてるみたいだからそのままあたしは敵の群れに飛び込んで行った。
これくらいできなきゃとと様と一緒に戦えるようになるなんて夢のまた夢だから!!頑張るぞー!!
ヴィ「はっ!?不穏な考えを感じたΣ(゜Д゜)」
グィ「モレッドちゃんの治療進捗率0.74%…まだまだ当分目覚めるにはかかりますね"(-""-)"」
モゴ「ヘッジホッグ全力展開!!ヴァンシー発射!!( ゜Д゜)」
オヴ「主砲発射準備開始!!主機運転率80%まで上昇!!(`・ω・´)」
マー「うえぇぇぇん!!残弾率38%緊急生産開始ファクトリー運転率97%!!(T_T)」