開戦しますた
エルメロイコロニーを出て早3日、作戦宙域に到達し敵さんを今か今かと待っているところでございます。どうもソラカケルです。
この世界ではまだ超光速航行技術が確立していないので亜光速航行しか出来ないのだ、亜光速=光速には満たない速度で考えて欲しい。
代わりにワームホール技術は確立しているらしいからその反応を拾って対処するって話だな。ならコロニーのすぐ近くに飛べばいいじゃん?って話になるんだがそこはワームホールの限界というか科学の限界というからしく超大質量を持つ天体や建造物の周辺には飛べないらしい。
ってなわけでこのエリアに網を貼ったわけだ。予想では後1時間もしないうちにワームホールのワープアウトを観測するはずとの事だ。
俺?俺はアヴァロンの食堂でティータイムですよ。
乗ってる傭兵の3人、エドガー、ザザンダ、サニーも居るぞ。
エドガーはこんな仕事を他にも経験しているのか落ち着いてるし、ザザンダもやる気満々って感じ。サニーだけは落ち着かないのかソワソワしてるな。
「んじゃ、そろそろ出撃に備えておきますかねぇ。」
「あぁ、この艦が快適過ぎて気が緩んじまう。」
「違いねぇ。」
「は、はぃぃ。」
食堂を4人で出てロッカールームに向かう。
ちなみにサニーは女性なので部屋が別だ、アヴァロンは男女別のロッカールームを完備しているぞ!!
野郎3人のむさい空間から脱出してギャラハッドに向かう。
コックピットハッチを開けて乗り込んだ瞬間、艦内アラートがけたたましく鳴り出した。
『セントミリオンの艦隊がワープアウト、同時にAMRSの出撃を確認しました。全機、緊急出撃。』
「なんともまぁタイミングのよろしいこって、了解だ。モルガン、パッケージはランスロットだ。」
『YESマスター、packageLancelot standby。』
カタパルトが唸りギャラハッドを宙に送り出す。
スラスターを全開にして展開の終わっていない母艦目掛けて一気に突っ込む。
まだカタパルトで発艦の姿勢のままの機体もいる、対空砲火が激しめではあるが問題は無い。
物理的なエネルギーの弾などギャラハッドの敵では無い、嫌いなのは熱エネルギーだからな!!
「一気に艦を潰しますかぁ!!」
ブリッジに向かって一直線、肉薄したらあとはアロンダイトを振り下ろすだけだ。
フレーム越しにゴシャッ!!と音が伝わり母艦のブリッジは粉砕された。
こうなると艦内に取り残されたクルー達にもどうしようもない、艦の操舵も艦内環境の維持だって全てブリッジで管理してるわけだからな。
そのまま残ったAMRSも潰しておこう、カタパルトが使えなくとも隔壁は解放されてるんだから直で出られる訳だしな。
「お邪魔しますよっと、大人しくしてくれるかな?」
「敵AMRS侵入!!メンテナンスクルーは退避!!動ける機体はそいつを叩き出せ!!」
「まぁ、やっぱり無理ですよね〜」
当然の反応と言うか、敵さんはこっちを目の敵のように排除しにかかってきた。
仕方ないので威嚇射撃がてらにバルカンでも撃っておこうかな「ドガガガガッ」と2秒程人が居ないであろう場所に連射したのだが余計にヒートアップしてしまった様だ。
「野郎撃ちやがった!!」とか言ってるよ、こっちは当てないように気を付けたってのにさぁ。
ブリッジ潰した時点で何言ってんだって話しか……もういいや、サーチアンドデストロイで行こう。
「お前らが決めたんだからな、サヨナラだ。」
格納庫から飛び出しアロンダイトのガンモードを展開、敵艦の動力部を解析……完了。
トリガーを引き、電磁加速された弾頭が装甲を貫通し動力部に到達した瞬間爆発した。
艦内に居たメンツは全滅だろう、俺も人間だから罪悪感でも湧くものかと思ったがそんなことは無かった。
あくまでゲームの中だと思っているからなのか、現実と受け止めて頭のおかしいサイコパスにでもなってしまったのかは分からないが今のところは問題ない。
「モルガン、母艦1隻撃沈だ。次の大型目標を教えてくれ。」
『YESマスター、前方に巡洋艦4隻さらにその後方に戦艦2隻です。』
「了解だ、アヴァロンの方は大丈夫か?」
『はい、敵AMRSはこちらまで進軍出来ていないようです。敵は開戦まで少しばかり猶予があると踏んでいたのでしょう、ワープアウト直後を攻撃された為艦隊防御に割く割合がかなり多いようです。』
「OKそれならいい。」
モルガンとの通信を終えて、次の目標に向けてギャラハッドを動かす事にする。
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『マスターの戦績が少々突出しすぎている気がしますね。このまま行ってしまうと軍から余計な詮索を受けてしまいそうです。』
私はアヴァロンのセンサーとギャラハッドに搭載されているサポートAIからのリアルタイム通信で情報を収集してそう判断致しました。
もちろん、マスターの戦績が良い事は我々にとっても大変喜ばしいことではございます。些か周りの戦績が悪過ぎるのか、それとも本当にこれが彼らとっての普通なのかは分かりませんがね。
かと言って、マスターに『戦績が良過ぎるので少し押えてください。』と言った所で収まるわけも無いので私としても困っているのです。
量子コンピュータの頭脳を持つ私も、マスターの楽しみを奪ってまでこの問題を解決しなければならないと最適解を出すことはできません。
なのでいっその事マスターには思う存分大暴れして頂き、後に訪れるであろう問題を我々アンドロイド達で解決するのが簡単かつ確実と言えるのではないでしょうか。
そうなればまずは訪れるであろう問題を解決するための準備ですね。
『ヴィヴィアン時間はありますね?』
『はい、モルガン母様。』
『現在マスターの戦績は周りと比べても1つ2つ以上頭抜けています。よって、この戦闘が終わったあと確実と言っていいレベルで軍からの招聘またはギャラハッドの接収がなされるかと思われます。当然、ギャラハッドはマスターの手足。生体ロックがかかっているのでマスター以外には許可を得た私以外搭乗することが出来ません。ここまで言えば言いたいことはわかりますね?』
『はい、つまりギャラハッドの接収が出来ないのなら強制的にでもパパを連れて行ってしまえばギャラハッドを永久的に使用出来る、ギャラハッドのブラックボックス化した装甲材やソフトウェア、システム等もメンテナンスと称した解析作業によっていつかは解決できるのでは、と考えている。という事ですね?』
『素晴らしい回答ですヴィヴィアン。では貴方ならばどうしますか?』
『簡単です、皮だけでもギャラハッドにしたサムでも置いておけばいいんです。装甲などは前回回収した海賊機から解析したのでこの世界の中でもハイグレードあたりにしておけば問題は無いのでは無いでしょうか。パッケージは換装出来ないように元から付けておきましょう。』
『よろしい、ではそのように準備なさい。換装作業にはどれほど時間がかかりますか?』
『装甲の作成等にマーリンを使っていいのならば2日も有れば、あとは素体として1機欲しい所です。』
『良いでしょう、マスターに1機鹵獲を頼んでおきます。マーリンにも私から話は通しておきます。』
『では、準備に入ります。』
やはりマスターの作ったAIは優秀と言わざるを得ませんね。私もマスターから生み出されているので自画自賛になってしまいますが。
『さぁ、マスターに通信を行って鹵獲をお願いしなくては。』
私は僅かに口角を上げてそう呟いたのです。
ヴィ『さっすがパパだね、戦績ぶっちぎりだってさ』
グィ『そうですね、帰ってきたら美味しいお食事でもてなさないと。』
モゴ『ヴィヴィアン仕事頼まれてたよね。』
マー『私も巻き込まれた〜。』
オヴ『私は関係ないや。』
ヴィ『頑張るぞー!!』