表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

TAK創作ホラー作品集

廃屋の奥

作者: TAK

 さる夏休み、森に囲まれた廃屋の周辺で子供達はかくれんぼをしていた。


 廃屋は木造二階建てで、建てられて半世紀以上経っているのだろうか、かなり老朽化していた。


 廃屋の周りには古びた倉庫も数軒あり、それらの近くに置いてある台車は車輪が錆び付いており、使用は困難だ。


 また、全ての建屋には侵食するかの如く植物が伸びており、これまで長い間保全がされてこなかった事が伺える。



 暫くして、子供達の中の一人の少年が廃屋に入っていった。


 少年はただかくれんぼをするためだけではない。


 廃屋の探検も兼ねての事だ。


(ここはどんな場所なんだろう……、気になるな……。)


 少年が廃屋の中をあちこち見てみると、突然何かの音声がした。


「……堪え難きを堪え、忍び難きを忍び……」


 音声は中年男性のもので、ただひたすら繰り返されていた。


(誰かいるのかな……?)


 少年は音声のする方に向かっていった。


 そこには赤錆びた鉄の扉があった。


 その扉の向こうから例の音声が聴こえてきた。


(とりあえず開けてみよう。)


 気になった少年は扉を数回ノックし、自室の扉の要領で開けようと試みるもびくともしなかった。


(これはみんなを呼んでみようか……、いや、やっぱり僕一人で!)


 少年が諦めず体重をかけると突然扉が開いた。その突然の挙動で少年は体勢を崩しかけた。


(……ここは一体……?)


 少年が体勢を立て直して扉の向こうを見てみると、上空より落とされた焼夷弾によって炎で埋め尽くされた街があった。


 突如、街の方から空襲から逃れるべく、多くの人々が扉に駆け込み、少年は出会い頭に衝突した末に転倒し、そのままひたすら逃げ惑う人々に踏まれ続けた。



 そして、行方不明となった少年は、警察の捜索により、数日後に変死体で発見されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ