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1本目

初投稿です!

SFギャグアクションものです。

底抜けにバカなキャラクターたちをお楽しみください!!

人生ままならないものである。


俺は国立大学出て結構いい企業に就職し順風満帆な生活を送っていた。


35歳のときに転機が訪れた。


悪い方に…なのかな?


いやいや、そんなことはない!


これからこれから…。


当時好きだった10歳以上年下の女の子の影響で、環境問題解決に目覚めちゃったんですね。


…すみません、それは嘘で「俺ってこんなに世界のこと考えてるんだぜ!」ってその子にアピールするためだけに、その女の子が所属する環境ボランティア団体に入ったりしちゃってさ。


ちなみに、その女の子は団体にいたチャラ男に速攻処女奪われてた。


飲み会でチャラ男が自慢してたのだが、俺はそのあと3日寝込んだ…。


あのクソ女!!


まあでも、それがきっかけで環境関係の講演会かなんかで知り合った太陽電池メーカーへと転職したんですわ。


一応大手製薬メーカーのサプリメント部門に勤めてたのに。


高給約束されたのよ!


将来の高給をね。


要するに、会社がうまくいくと高級マンション住めたり高級カー乗れるって言われたの。


免許持ってないのに、その気になっちゃってさ。


でね、そのあたりから人生急カーブし、下り坂を全速力でそれはもうマッハのスピードで下ってる真っ最中。


いやいや、そんなことはない!


これからこれから…。


うちの太陽電池は化合物を使った新しい技術で一応世界最高効率をマークしてるんだけど、コストかかるから安い中国メーカーに押されちゃってさ、それはもうびっくりするくらい全っ然売れないんだよね。


大量生産出来ればな~。


そうすれば安く作ることが可能だと思うんだけど、どこの大手メーカーも技術はあるけど実績のないうちとはパートナー契約を結んでくれない。


社長なんか毎日借金するためにヒーヒー走り回ってて、俺も今日友人から紹介された投資家ににべもなく投資を断られたところ。


マジでぶっ殺してやろうかと思ったわ。


運が良くたまたま金持ちになっただけのクソ野郎がよぉ。


もうずっと給料ないので、貯金も底を尽きカードローンで借金しながら、夜は居酒屋のバイトで何とか生活する日々。


ずっと…半年以上給料なしって凄くね?


今や会社は俺と技術担当のおっちゃんと社長の3人だけ。


当たったら大儲けだと思うんだけどね。


周りの友達や家族から、散々転職を反対されたのに「絶対に成功してみせる!」って断言して転職した手前さあ、もう突き進むしかないじゃん?


まー、何とかなるとは思ってるんだけどさ。


成功出来ないヤツってのは、成功するまでの努力をしてないだけ。


…だと思うんだけど。


最近はストレスからか過食気味になり、二の腕は細いまま下っ腹が出っ張ってきて、更に不幸なことに額の領地が髪の毛の領地へ侵食を始め、何とか髪型を工夫してるものの、鏡を見るとため息が出るほどハゲ散らかしてる状態。


つーか、マジヤバい。


俺の親父も兄貴もフサフサなのに、何で俺だけハゲんのよ。


若い頃は少しでもハゲたら剃るとか言ってたんだけど、いざハゲるとあれね。


まだ残っている髪の毛にすがりたくなるもんで、剃る勇気がないってゆーか、いきなり剃って周りからなんて言われるかわからないし凄く恥ずかしいから思い切って剃れんのよ。


よく未練たらしくバーコードにしてるオヤジいるじゃん?


すげー気持ちわかる。


風の方向に敏感なうだつの上がらない年齢=彼女いない歴の39歳。


……。


…な、泣いてなんかいないんだから!!


俺の人生これから大成功だしさ、金入ったら絶対に植毛してやる!


フサフサのヤツみんな死ね!!


はぁはぁ…。


あ、趣味はね、異世界もののラノベを読むことと酒飲むことと料理なの。


家でラノベ読みながら酒飲むことが、この世で考えうる限り最高の幸せだと信じて疑ってませんありがとうございます。


疑う余地ないじゃん?


つーかさ、もう俺くらいベテランの童貞になると、セックスなんて興味なくなるよね。


え?


あ、何?


童貞の何が悪いの?


長年連れ添った右手の方がしっくりくるってゆーか。


ま、まあ、どうしても俺とセックスしたいって処女の美少女がいるなら、考えてやってもいいんだけどね。


俺、来年こそは太陽電池売って金持ちになって、モテモテになる予定だしさ。


…まあセックスなんてどうでもいいんだけどね、うん。


セックスしたこと自慢してるヤツ何なの?


バカだよね。


セックスしか自慢することがないなんて、自分がバカなのを周りに吹聴してるようなものじゃん?


あー、くだらね。


俺はもっとビッグな夢持ってるのよ。


金持ちになったら、シリコン製のセックス用ドールを買うわ。


あ、俺の余りのビッグな夢にビックリしちゃったかな?


俺は最高級のIカップのラブドール買うから。


は?


本物の女の方がいい?


あのさ、俺は散々AV観てきた男だよ?


経験豊富な俺から言わせると女なんか、ダメだね。


何かさ、よく見るとホクロとか出来物とかあったりするじゃん?


歯とかちょっと銀歯あったりとか。


俺は完璧主義なのよ。


そういうの1000%許せないんだよね。


ちょっと腕に毛とかふざけんな!!


俺がもし万が一セックスするとしたら、完璧なシミひとつない処女の美少女以外ありえねーから。


だって、俺は39年間童貞なのよ?


39年間の重みを受け止めるには、処女の美少女以外あり得ないよね。


さて、今日は居酒屋のバイトも休みだし、帰って料理して酒飲みながらお気に入りの異世界ハーレムラブコメ「イチャ恋プリンス」の新刊読むつもりだ。


「イチャ恋プリンス」は拙者の恋愛の教科書なのでござるよ、むふぅ~~~。


異世界に転生したモテモテ主人公のタイガに嫉妬するルビーが可愛いのなんの。


ルビーは俺の理想の女。


イラスト見る限り目とおっぱいが大きくて、肌にもシワとかシミもないしさ、性格もおっとりしてて最高に可愛い。


俺の遺伝子を受け止める資格があるよね。


あー、俺も異世界に転生してチート能力に目覚めて、モテモテになりたいよぉ~。


…まあセックスなんてどうでもいいんだけどね、うん。


俺は高潔だからね。


そんなことを考えながら帰るために駅のホームにいると、何だかホーム内が騒がしいことに気付いた。


「ぶっ殺してやるぅ~~~ッ! 男なんてみんな死ねばいいのよぉ~~~ッ!!」


何やら物騒なことを叫んでる、髪バサバサで鬼のような形相のガリガリの女が叫んでる。


うわ~、超こえ~。


これだから現実の女はダメなんだよな。


俺は野次馬に混ざり、女の髪の毛がバサバサながらも量が多いのでちょっと羨ましいなと思いながらも恐怖と好奇心で目を離せずにいた。


すると、女は俺のこと見て喜びに満ちた顔で「トオルぅ~~~ッ! あんたあたしを追いかけて来てくれたのね~~~ッ!!」と抱き付いて来たのだ。


え?


何なに?


俺、サトルなんだけど!?


小学校の林間学校のオクラホマミキサー以来、女に接近したことのない俺は、いくら狂ってるとはいえ女の匂いにドキドキした。


ガリガリで目は血走ってるが、よく見ると結構可愛いかもしれない。


これってこれがきっかけで、もしかして恋が産まれちゃう?


とうとう俺も童貞卒業しちゃうのかぁ~~~ッ!?


抱きつかれてから、この間0.05秒のうちに俺の脳裏を様々な煩悩がよぎった。


子供の名前は何にしようか考えてるうちに、俺は浮遊感に気付く。


凄まじい音量で鳴る電車の警笛と、人々の悲鳴。


どうやら俺は女に抱きつかれた勢いでホームから落ち、電車に轢かれようとしてるらしい。


ちょ、ちょちょちょ待って待って!


俺、もしかして死ぬの?


え?


え?


嘘!?


だってまだ「イチャ恋プリンス」の続き読んでないし、キ、キスだってセックスもまだなんだけどぉ!!


ちょ、ま、セックス!


セックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスセックスぅぅぉおおおお~~~~~~~~~~ッッッ!!!!!


ちくしょぉ!


せめて…せめておっぱいだけでも!!


「あれ、あんた誰?」


女がボソッと呟いた。


「俺が訊きたいわぁ~~~ッ!! ぶべらッ!!!」


その瞬間俺は虚無となり…すなわち死んだ。


人生ままならないものである。

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