1話目 異世界で新たな一歩を
行き当たりばったりで思うがまま書いてます。
男の娘はいいぞ。
春、それは始まりの季節。景色が桜色に染まり、誰も彼もが新鮮な気持ちで一年を始める季節だろう。
そして俺こと”柊 燐”はというと、視界は真っ赤に染まり、人生の幕を閉じようとしている。
理由は簡単だ、交通事故である。それにしてもまさか高校3年生になった、新学期早々、人生が最後になるとは思わなかった。まあ別に死んでもいいかな。
思えばロクな人生じゃなかったな、昔から学校では1人ぼっち、家に帰れば真剣を持たされて父親と倒れるまで厳しい稽古。さらに、中学に上がってからは、身体があまり成長しなかったせいなのか、更に厳しくなるし。そのせいで何度危ない目に会ったことか・・・
何が究極の殺人剣だよ。現代日本でそんなもの必要なわけ無いだろ。一族全員厨二病かよって何度思ったことか。
・・・いや、まあ別に刀とか嫌いなわけじゃないけどさ、むしろ武器とかメカとかはロマンがあって好きだけどさ。それにしても、遊びたがりの男の子を軟禁して限界まで稽古とか最悪じゃないかな。俺の身長とか伸びなかったのって稽古のせいだよな、絶対。まあ、両親が離婚してくれたおかげで高校からは自由になれて、オタ活の沼にどハマりしたし、なんなら低身長で童顔なの活かしてコスプレとかにも手を出したし。
あれ?なんで俺はこんなこと考えてるんだったっけ?
・・・あー、そうだ、今、死にかけてたんだった。
これからのアニメとかが見れないのは心残りだなー。そういえば年末の衣装とかまだ作り終わってなかったなー。
・・・自分の血ってこんなに暖かかったんだな。なんか、心地いい気がしてゆっくり眠れそう・・・
そして、俺の人生は終わりを告げた。
・・・はずだった。なぜなら目が覚めたら。
「お、目が覚めたかい。おはよう、燐」
目の前には20代に見える男性がこちらを覗きこんでいた。てかなんで名前知ってるんだ?
「いや~よかったよかった、高熱で倒れた時はどうしようかと思ったよ。体は大丈夫かい?」
「え、うん」
「そうか、一応今日はゆっくり休むんだよ。お休み」
「あ、お休みなさい」
・・・よし、寝よう。
あれからしばらくしてわかったことがたくさんある。
簡単に言うと異世界転生をしたらしい。この世界は前世とは違い、科学ではなく魔法が発展した現代の日本。そして俺の見た目はもちろん黒髪、なのに赤い目。それ以外は前世と大差ないのに、何故か赤い目。父親は金髪に青い目、母親は薄赤色の髪に黒目といったまた違った色をしていたし、赤い目は珍しいらしい。普通は黒や茶色、青い目が普通らしい。髪の色は人それぞれらしい。この世界の遺伝はどうなっているんだろう。
そんなことよりも、次に今の自分の状況についてだけど、俺は前世の苗字と同じ柊家と言う優秀な魔法使いを多く輩出している魔法界?の名家に生まれたらしい。そして俺はその名家の末っ子の双子で今は五歳だそうだ。ちなみに俺は高熱で倒れ、そのまま記憶喪失ということになっている、というかそういうことにした。まあ、何もわからないからね、仕方ない。
そして”ウェポンドール”と呼ばれる人型(少女や青年)になる武器が存在している。あくまで人が武器になるのではなく、武器が人型になるらしく基本的にウェポンドールは武器の姿で保管されることが多く、人型でいるとしてもロボットのような反応しかしない人形が多い。
だが、それは多くの場合であって一部は普通の人間のように会話したり、食事をしたりする特殊な例もあるが、共通して、所持者に忠実らしい。
つまり武器の擬人化美少女が自分のために尽くしてくれるらしい。それすなわち男のロマンであり夢。よって、
「よし、ハーレムを作ろう」
という完璧な理論によってハーレムを目指すという結果にいたった。だってなぜかこの世界に二次元系の娯楽が極端に少ないんだもん、アニメすら無いのだからしょうがない。
そしてこの世界に転生してからしばらく時間経ち、だいぶ自分の周りのこと、世界のことがわかって来た。
まず家族についてだけど、父さま(父上とか言ったら父さまもしくはパパと呼んで欲しいとかいってきた)は国家魔法師団とかいう魔法師のみで構成された軍部の団長、母さま(父さまと同様、ママ押しが強かった)は治癒院と呼ばれる病院みたいなとこで働いて、10才の兄、陸斗、6才の兄、海斗、俺と双子で、姉の結がいて俺は4人兄弟の末っ子だった。結が姉なのは自分の方が優秀だからお姉ちゃん理論を言ってきたからだったりする。先に生まれたのは俺の方らしい。
そして、近所には同い年の女の子、幼馴染である月姫という女の子がいて、いつも結と3人で遊んでいる。
で、この世界については、魔物と呼ばれる怪物がいて、それに対抗するのが魔法だったりウェポンドールだったりするのだが。それの使い手がそれぞれ魔法師と戦士に分かれていて、国ごとに教育機関がある。ここでは第一から第四国立学園がそれに当たり、魔法科と戦士科に分かれているらしい。
学園には15才で入学時に適正試験を受けて適正が有ると判断された人なら誰でも無償で入れるらしいく、中でも国の軍に入れるエリートコースまであるとか。で、適正と言うのが魔法科ならもちろん魔法が使えるということや、魔力が多いなどで、戦士科は体格や剣術などの才能が生まれつきあるなどだ。
そして何より学園に入ると様々な援助が国から受けられるらしい。魔法科なら魔導書の閲覧許可だったり、戦士科ならウェポンドールの召喚に挑戦できるらしい。なんでもウェポンドールは精霊のようなもので気にいられないと所有できなくて、しかもレア度とか武器の種類とかもまちまちだそうだ。イメージ的にはネトゲのガチャに近い気がする、レア度とか特に。
というわけで、つまるところ戦士科に入れればウェポンドールがもらえるということだが、俺は魔法師になることを勧められている。なんでも魔法師の適性の方がはるかに高くて、戦士になる意味がない、ということだ。まあ一応訓練次第では戦士になれるらしいが、ここは柊家と言う魔法界の名家と言うこともあって魔法師になるための訓練しかさせてもらえない。
とまあ普通の子ならあきらめるかわがままを言うのだろうが、俺は父さまと母さまに向かって。
「魔法の勉強も頑張るから、戦士の勉強もしたいな」
とおねだりをしたところ一発でOKが出た。なんでも父さまと母さまの信条が「カワイイは正義!」らしく今の俺を見て何かが反応したのだろう。
ちなみに自分で言うのもあれなのだけども、今の俺はどっからどう見ても黒髪ストレートロングのかわいい少女の姿だったりする。所謂男の娘ってやつだったりするわけで、両親の趣味と合わさっている。まあ俺もカワイイは正義だと思っていたりするし、自分でも気に入ってたりするから文句はない。最近では結との双子ならではお揃いコーデが両親の中では流行らしい。
そんな一連の流れがあったりして俺は魔法の勉強と戦士としての訓練のどちらも取り組むという忙しくも充実した毎日を送る。
それから5年の月日が流れ俺は10才になった。ここ数年で綺麗な少女、もとい綺麗な男の娘として育っていった。その理由と言うのもあまり男らしさも何もなかったからで、今では結と一緒だと近所から美人姉妹とか言われているが特に問題はないと思う。なんとなく自分の性癖が歪み初めている気もしなくは無いが。
将来に向けての勉強や特訓については、魔法はいろんなことが新鮮で楽しく、戦士の方は前世のアニメとかの動きを真似できるようになってきている。まあ前世でも一人で色んなことしてたしできて当然だね。今思えばあの厳しい稽古も為になっていたのだと思う。
とにかくこの調子でいけば戦士科に入れると思う。
他にこの世界の常識のようなことを自分で調べたことをまとめると、成人年齢は15才で、成人すると飲酒も結婚もOKになる、喫煙は20才らしいが。あとこの国の結婚は何と重婚が認められているらしい。というのも優秀な子孫を多く残すためらしい。
次に学園のことだと、学年は6学年あり、クラスは魔法科と戦士科それぞれ各学年6クラスずつあり、SとA~Eとなっていて、Sだけは10人、他は30人のクラスらしい。そしてSは何でも入学後のクラス振り分け試験で上位10名のエリート集団らしく、入ればまず間違いなく将来は軍の上層部とか管理職とかが約束されるようなものらしい。なんでも卒業時に優秀だったクラスの子を軍の偉い人とかが優秀だった子をスカウトするらしく、大抵はSクラスがスカウトされるからだそうだ。
優秀かどうかはクラスごとにポイントがあり試験や大会などでいい成績を残すと加算されるという仕組みで、Sクラスは最初から試験で優秀と言うことですでにポイントがあるところから始まるらしい。ちなみに他のA~Eクラスの生徒はランダムに振り分けられ、ポイントは0からスタートだそうだ。
まあ俺はハーレムを作れればいいから別にクラスにこだわる必要はないと思っている。場合によってはエリートコースに乗った方がいいだろうけど。
ウェポンドールに関しては、まず召喚できたからと言って武器が人型になるとは限らないらしいが、長い間その武器とともにいることで、武器と絆が生まれ人型になったという例や、レア度が上がったということがあるらしい。中でもウェポンドールと結婚したという例もあった。
他には性能については装飾品を武器につけることで上げれたり。人型なら食事、もとい魔物の肉などを摂取して自身の性能を上げるといったことだろう。どちらも魔物関係のモノや鉱石を素材とするらしい。
最後に冒険者と呼ばれる職業が存在していた。まあ内容は魔物を討伐したり、その素材を売ったりして生計を立てる職業で、学園を卒業して軍に入れなかった人とかがなるらしい。俺としてはすごくロマンあふれる職だと思っている。ちなみに素材を売る場所はギルドと呼ばれる冒険者を支援する国営施設だったりする。
そして最近陸斗兄さんが学園の魔法科に入学した。なんでも入学すると強制的に寮暮らしだそうで、引っ越しの準備で忙しかった。ちなみに寮は魔法科と戦士科で分かれている。なんでも魔法科と戦士科は仲が悪いらしい。でも学園はどっちの科も同じ場所を使うから廊下や中庭、果ては教室でいがみ合いが起きてるそうだ。あと一部の先生方も仲が悪いとの噂があった。まあ俺には直接関係はないから問題ないな。
他には両親が俺と結の服装に凝り始めたり、和服が現世に無かったので俺は一から作ったり、街を歩けばナンパされるということが時々あって、中でもしつこいやつには結がそいつの股間を蹴りあげたりといったことがありながらも俺はいつもと変わらず日々を送っている。
・・・あれからまた5年の月日が流れ、俺は15才に、つまり成人したのである。この5年間を振り返ると、魔法と戦士の訓練とか研究が主だったな。あとウェポンドールの研究をしたり、装飾品を作ったり、妄想したり衣装を作ったり。他には魔物を狩ってお金を稼いで、そのお金で自分の工房もとい秘密研究所みたいなものを作ったりもしたな。そのため寝不足が多かったので、身長は160㎝ぐらいで男にしては低く、今でも男の娘健在だったりする。
まあそんなことよりも大事なことは今日である。そう、学園の入学試験日である。
そのため俺は今、入学試験を受けるために第四国立学園に来ている。なぜ第四かと言うと、第一は貴族のみ、第二は魔法重視、第三は戦士重視、第四は冒険者候補に昔からわかれているからだそうだ。実際は貴族でなくても第一国立学園に入れるらしいが昔からの風習なのだろう。
そして俺は魔法の試験会場である第一闘技場に案内される。結と月姫は先に筆記試験らしく、ここには居ない。周りには俺と同じく試験を受けにきた子が約50人ほどと監督官がいて、少し離れたところに射的の的らしきものが50本立っている。俺が会場を見渡していると監督官が話を始める。
「それでは番号を呼ばれたものからこの水晶に手をかざした後向こうの的になんでもいいから魔法を一回撃て。もし不発だとしてもすぐに次の人と交代して隣の第二闘技場に向かい次の試験を受けろ、いいな。それでは試験を開始する。一番!」
監督官が順番に番号を呼び上げていき、少しして俺の番号が呼ばれる。今やっているのは魔法科の方だから別に手を抜いてもいいが・・・やるからには全力でやってやろうじゃないか!
「・・・よし、手を放していいぞ。それじゃあ的に向かって魔法を撃て」
「はい」
さてと、まずは魔法についての確認から。この世界の魔法は基本的に魔力と詠唱によって発現するらしいが、俺はその二つと過程や原因といった現象を補足するイメージの三要素が必要だと思う、何度も同じことをして、より強固なものにするといった反復練習はもちろんとして。前世の記憶、科学知識があることでただ火や水が出ると言った簡単な魔法でも結や月姫とは威力が違ったからだ。数字で比較すると1:3ぐらいだけどこれがもっと強力な魔法になるとその差もはっきり出てくるだろう。
次に他の要素だけど、詠唱は短縮も無詠唱も今はまだできなかった、昔の文献では無詠唱らしきものもあったけど今は失われた技術みたいだ。だからいくつか種類を考えて詠唱したところ、詩的であり、長ければ強力になった。たぶんイメージの補足にもなるし、魔力の貯めも長くなるからだと思う。
魔力は体内にある魔力臓器という特殊な器官によって生成、貯蔵されるらしい。まあ肝臓の魔力版みたいなものだろう。一応空気中にも霧散してる魔力があり、体内に取り込めるらしいけど、微々たるもので効率が悪いらしい。そして当たり前だけど魔力を調節することで発現する魔法の威力も調節できた。
その他にも前世のオタ知識のおかげで判明した事とかもあるけど・・・
そして魔法と言えば火属性魔法や水属性魔法と言った、属性だけどこれは武器や鉱石にも属性があるものもある。ないものや分けられないものは無属性とまとめられている。
属性は無属性の他に七つ、火・水・風・土・雷・光・闇だ。魔法師は基本的に一つの属性しか使えなく、二種類使える人をダブルキャスター、三種類使える人をトリプルキャスター、過去最も多くの属性を使えた人でも四種類しか使えなかったらしい。現存する魔法師でもトリプルキャスターが10人にも満たないらしい。10人のうち一人が父さんだったりする。ちなみに無属性は魔力があれば誰でも使える属性だったりするから魔法師は七属性ごとに隊を分けてたり、〇属性使いって言ったりするらしい。
とまあ確認はここまでにするとして、使う魔法はどうしようか。一応魔法は片っ端から覚えたけど・・・よし、オリジナル魔法使ってしまおう、長年(三日)の研究の成果でやっとできたやつの初お披露目としようか。
「集え、七色の剣よ・・・我が標的を貫け!」
「「!?」」
俺が詠唱をすると、周りに七種類の剣、七属性それぞれの剣が現れ、的を射ぬく。さて、これでいいはずだからさっさと本命の試験に行くとしよう。俺は監督官に一礼し、次の会場に向かう。なんか監督官も含めて周りにいた人達が全員唖然とした顔だったけどまあいいか。・・・結や月姫がいたらうるさかっただろうな。
さてと、第二闘技場に来たわけだけど。
「でやぁっ!、次っ!」
「16番、前へ」
「はいっ!行きます!」
「こいっ!」
何か熱血系のマッチョな戦士が大剣振り回して受験生をぶちのめして、その傍らで細剣を腰に帯剣したクール系の監督官が淡々と受験生に指示を出してる。見た感じあのマッチョを倒せばいいのかな。
「そこの受験生、そろそろ君の番だからその辺にある武器から好きなのを選んでなさい」
「はい、わかりました」
クール系監督官が指さしした方を見ると、剣や斧に槍、弓矢はもちろん三節棍にチャクラム、鎖鎌やポーラ、刀に鋼線に鞭といった様々な武器がごちゃごちゃと置かれている。さてと、とりあえず剣は左の腰に差して、投擲系の武器は小さめの物を持てるだけ持って、槍は手に持って斧は担いでいこう。鎖鎌と鞭は腕に軽く巻けばいいか。後は細めの鋼線を結んでっと。・・・刀は一応右の腰に差しておこう、使わなくてもいいし、保険程度に。これで準備よしっと。
丁度準備が終わるころ俺の番号が呼ばれる。
「次ぃっ!」
「20番、前へ」
「はいっ、お願いします!」
「おい、嬢ちゃん。それは何の真似だ?」
「えっと、何がですか?」
「そんなに武器を持ってちゃ戦えないだろう、待っててやるから減らしてきな」
あー、確かにごちゃごちゃしてるよね。でもまあこれが一番いいと思うからこのままで行くか。
あと女の子に間違えられたのはスルーしますよっと。
「いえ、大丈夫です。これで問題ありません」
「ほう、そこまで言うならいいだろう。かかってこい!」
「はいっ!」
俺とマッチョの距離は大体3m、一息で詰めれる距離だけど、どうやら向こうからは攻めてこないみたいだ。それなら作戦通り行かせてもらおう。
「てりゃぁ!」
「っ!」
まずは手に持っていた槍をマッチョに向かって投げつける。次に斧を抜きながらマッチョに近づき、上段から思いっきり振り下ろす。もちろんマッチョはこれを躱して俺の体を横から蹴ってくる。斧から即座に手を離し、剣を抜いてマッチョの蹴り受け、その勢いを利用して距離をとる。
着地と同時に投擲系の武器を片っ端から投げながらマッチョに近づく。マッチョは投げられてくる武器を剣で弾いたり躱したりしている。
距離が近づき、互いの間合いに入ると同時に俺は剣を突き出す。マッチョは大剣で剣を外側にいなし、前蹴りを繰り出してくる。俺は剣を手放し、思いっきり後ろに跳び、蹴りの威力を軽減し、体勢を立て直す。
「ふははっ!なかなかやるな嬢ちゃん、今日の試験で俺とここまでもったのは嬢ちゃんが最初だぜ」
「ありがとうございます」
「んじゃ、まあ、後が詰まってるしな。次で最後にするぜ」
「ええ、こちらも奥の手を使わせてもらいますよ」
「来い!」
さてと、状況確認だ。
斧と槍、剣の位置はマッチョの左右と足元にある。そしてマッチョを取り囲むように投擲系の武器が散乱している。そしてマッチョは大剣を構えて俺の方を見ている。隙と言う隙はないけど、まあ突っ込む気は無いからいいか。俺は体に巻いていた鎖鎌と鞭をそれぞれ手に取る。
「よっと!」
「なっ!」
そして全身を使って大きく鞭を引くことで予め鞭に縛っておいた鋼線が引っ張られ、あちこちに落ちている投擲系の武器が一斉にマッチョに襲い掛かる。もちろん剣と斧と槍にも縛ってあるから投擲系の後に物量として襲ってくれるだろう。気分は大物がかかった時の釣りである。てかよく引っ張れたな、俺。
マッチョは投擲系の武器の攻撃に対応するため隙ができる。そこを俺は素早く鎖鎌の分銅を投げつける。
するとまあ、綺麗にマッチョの腰に・・・あ、股間に当たって、うずくまってる。
「ぐっ、まさか俺がこんな手で一発もらうとは」
「えっと、これでいいんですか?」
「いや、まだまだだ!」
マッチョはもう回復したのか再び大剣を構えるが、クールな方の監督官が制止してきた。
「いいえ、もう大丈夫ですよ。後は筆記試験と簡単なアンケートのようなものを書いてもらうので第一講堂に向かってください」
「あ、わかりました。ありがとうございました」
「では次、21番、前へ」
マッチョはやっぱり戦闘狂だったのか。なんか物足りなさそうな顔してたし。
とまあ、俺の番が終わり次の会場に向かう。ちなみに片付けはクール系監督官がテキパキとやっていたりするのだった。
そして第一講堂に来て筆記試験を済ませ、アンケートは最後の希望する科以外は適当に書いて提出する。これで入学試験は終わり、結果は三日後この学校の前に張り出され、受かっていたらその場で手続きをするらしい。
ああ、三日後が楽しみだ。間違いなく戦士科に入れてるだろうし、気分はまさしく遠足前の小学生だ。
やっぱりここもチート転生だったよ(^v^)