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詩花

詩花 れいにーどろっぷ

作者: 葵冬弥

突然の雨に降られた


下校途中の坂道


自然に駆け足になる2人


君が滑りそうだからと


手を握り


離さないようにしっかり握り


坂道を転がるように


走り抜ける


雨に降られて


嫌な気分になるところを


君は子供のように


笑いながら走る


楽しそうに


無邪気に


つられて笑いが込み上げた



いつもの別れ道で


手を離そうかと迷う君の手を


力強く握り直して


引っ張った


すぐ近くの自分の家まで


戸惑う君に振り返らず


困惑する君の質問に


答えを返さず


一歩一歩


崩れそうになる勇気を


振り絞って踏み出した




雨に濡れた


艶やかな長い黒髪


家のドアを開けて


急いでタオルを取りに行く


君はありがとうと


受け取ろうとするところを


僕がわしゃわしゃと


君の髪を拭いた


きょとんとした君の顔が


自然と目を閉じて


嬉しそうに笑い


頬を染める


そんな顔されたら


これ以上


恥ずかしくて


胸がドキドキいたくて


君の顔を見つめられない


目を反らしながら


優しく拭った


もういいよと


君が僕の手を止めるまで



交代と


君は僕の手からタオルを奪い


とりゃあと


力任せに


嬉しそうに


ごしごしと僕の髪を拭いた


痛いと言っても


ハミングしながら


君は聞く耳持たずに


諦めて拭かれるままに


身を委ね


近付いた君の顔に


またドキドキ胸がいたむから


目を閉じて


いつもより近くで香る


君の香りに包まれながら

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