第1章 由宇
「おはよ〜かーれーんー!」
ッ馬鹿。朝からうっせえな…
「肩叩くんじゃねぇ」
元気良く教室に入ってきたヤツは≪由宇≫
うちの一番の友達。つまり、親友だ
「ね、お願い!数学の宿題写させて」
「やだ」
マジで馬鹿だよな…一週間連続で忘れてるし。何回起こられたら気が済むんだ
「ね〜お願い。先生メッチャ怖いんだよぉ」
「んじゃ、ちゃんと家でやって来い」
「…お願いします」
男なんだからそんなウルウルな目すんなよ!てか、もっと虐めたくなるんですけど
「やーーーーーーーーだ」
うち等はいつもこんなかんじ。お互いに、お互いで遊んでる。(今はうちが遊んでるけど)
ほかのヤツにはそんな事出来ないけど、由宇には出来るんだよな
…絶対に嫌われる事は無いって思ってるから
「もう良いよ!華恋なんかに借りないから」
ちょっと怒っているような顔をしてどっかに行っちゃった。やってこないお前が悪いんだよ
≪華恋≫ってのは、うちの名前ね。こんな可愛い名前なのになんで男みたいな女の子に育ってしまったんだ…が、うちの親の口癖
まぁ、そんなのどうでも良いけど
うち等が初めてあったのは、小5になってクラス替えをした日
別に特別な出会いじゃなかった。ただクラスが一緒になっただけ
でも、うちにとっては結構特別だったのかもな
お前はうちが初めて好きになった人なんだよ
っていっても、そんな事興味ないか
きっと、笑いながら
「俺も華恋の事好きィ!」
とか冗談言うんだろうな
今のうちには親友でしかないから良いんだけどさ
あの頃の≪華恋≫はうちが殺しちゃったから。好きだなんて感情捨てたから
その方がずっと楽。言葉を選ばずに話が出来るしね
でも由宇が誰かのモノになっちゃったら…
って考えると、すっごく苦しくなる。何でだろ
≪華恋≫は死んだはずなのに