始めての図書館
目の前を飛び交っていた本が消えて視界が広がる。
さっきまでヴィルヘルムと居た部屋とは違う場所のようだ。
おそらくここがログインポイントなんだと思う。
「オープン」
本を開き先程受け取った装備を身に着ける。
初期スキルは
【近接武器マスタリLv1】
【布服マスタリLv1】
【移動速度アップ Lv1】
【アイテム所持上限アップLv1】
【採取 Lv1】
以上だ。
現在所持しているスキルはこれで全部。
そうそう、このゲームでスキルの習得にはスキルポイントは必要ないようで、条件を満たせば自動的に取得できるらしい。
完全にプレイヤースキルに依存しそうなシステムだなぁ。
まぁまだβテストだから深く考えても仕方ないよね。
気を取り直して周りを見回すと同じように本を開いて装備を整えてる人が数人目に入った。
出口は大きめの観音開きで順番待ちもなくすんなり出られそうだ。
取り敢えず当面の拠点になる街の中を見て回ろう、と決めて歩き始めた。
外に出ると大きな建物の中庭のようだった。
正面に大きな門があり、左右に建物が繋がるコの字の形だ。
既に数人が門に向かって歩いているのが見えた。
門の向こうには中世を彷彿とさせるゴシック様式の建物が並び、馬車が通り過ぎていった。
(周りと同じ動きをするのも何ですし、ちょっと図書館でも覗いていきましょうかね。)
左手の建物の入口に向かい中に入ると、正面にカウンターがあり右手方向の奥には本棚といくつかテーブルセットが見えた。
「中央図書館へようこそ。
もしかして新しい司書の方ですか?」
カウンターに座っていた女性が立ち上がり話しかけてきた。
「はい。折角なので図書館を一通り見てから街に出ようかと。」
「では、簡単にご案内させていただきますね。」
「是非お願いします。」
カウンターから出てきた女性は身長がユウキよりかなり高く、170位。
髪は黒髪で蒼い瞳の凛々しい雰囲気を漂わせている。
「新しい司書の方で図書館を訪れたのは貴女が初めてです。」
「そうなんですか?こんなに本があるのにもったいない。」
ユウキはかなり本が好きで、暇さえあれば図書館や図書室に通い本を読み漁っていた。
ここから見るだけでもかなりの数があり、一冊一冊もかなりの分厚さだ。
(これはなかなか読み応えがありそうですね。)
などと考えていると受付の女性は既に案内の準備は万端と言わんばかりに待機していた。
慌てて歩き始めると女性も歩き始める。
「あ、私はルーシーと申します。」
「私はユウキと言います。」
簡単に自己紹介を済ませて図書館の中を一通り案内してもらった。
本の種類は多岐に渡り、クエストとして入れる本も元々何冊かあるらしい。
他にも魔法に関する書物や生産で作成出来るアイテムのレシピ等もあるらしい。
探すのは大変そうだけど。
「以上で案内の方は終わりです。何か質問などはありますか?」
「そうですね、クエスト扱いの本って拾った場所で中に入ったりできるんですか?」
「それは基本的にはできません。
本に入るためには一定の手順を踏む必要があります。」
「なる程。
では、この世界には人間以外の種族は存在しますか?」
「はい。人間以外だと妖精族や天使、悪魔が存在します。
エルフやドワーフは妖精族に含まれます。」
「ありがとうございました。
では本を見つけたらルーシーさんにお渡しすれば良いんですか?」
「はい。こちらで受け取り、管理をさせて頂きます。」
「分かりました。
では私は一度街に出てみますね。」
「はい。貴女の活躍を期待しています。」
真顔で活躍を期待なんて言われるとなかなか照れくさいものがある。
軽く頭を下げて出口に向かう。
中庭にはログインしたばかりの人たちがまだまだ目に入った。
特に目的もないのでそのまま門をくぐり街に出る。
ゴシック様式の建物に石畳が続く町並みは中世のヨーロッパそのもので、なかなか現実世界では見ることが出来ない景色だった。
時間も昼過ぎなので日が高く、時間にも余裕がありそうなので暫くは街中を歩き回ってみよう、と足を踏み出した。
昨日のPVが五百近くに伸びてて驚きました:(´◦ω◦`):
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