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GRIMOIRE ONLINE  作者: 七氏
第一章 静かに過ごしたいβテスト
1/19

一つの終わり、一つの始まり。

VRMMO物です。

別で異世界物も書いてますが、ほぼ衝動で書いているため、書き溜め等はあまりやってません。

更新は不定期です。

「 名残惜しいけど、ここともお別れだね…。」


「そうだね…。」


「今更だけど、皆に会えて良かったよ。

 いい思い出ばっかりじゃないけど、それも含めてみんなとの思い出だから。」


「別に今生の別れじゃないんだ。また何処かで会えるさ。」


「そうだね。皆、またどこかで会おうね。」


 皆がログアウトするのを見送って誰も居なくなったギルドホームでみんなとの思い出に浸っていた。


『サービス終了五分前です。本サービスのご利用ありがとうございました。』


 無情に響くアナウンスに背中を押され私もログアウト操作をする。

 目の前が真っ暗になり一瞬の浮遊感の後、見慣れた部屋の天井が視界に広がる。


 こうして一つのゲームが5年の歳月に終止符を打った。

 『幻想戦記』と言う名の物語は終わり、それぞれが思い出を抱えて仲間との別れを告げる。


 私、「橘 優希」はこのゲームでギルドマスターとして攻略や生産、イベントに参加してそこそこ有名なプレイヤーの一人だった。

 ギルド『想刻の旋律』はトップギルドの一つに名を連ね、数多のボス攻略やレイド戦に参加していた。


 偏に他の追随を許さないログイン時間の賜物ではあるものの、今まで日常の一部だった世界の終わりに心にポッカリと穴があいた様な喪失感に苛まれていた。


 窓から見える景色はそろそろ日も沈みポツポツと明かりがともり始めていた。

 ピロリン、とベッドの脇に置いた端末からメッセージの受信音がなった。

 相手は最後まで一緒にログインしていたサブマスターのアキラだった。


『ギルドマスターお疲れ様!

 ちょっと気になるゲーム見つけたから、気が向いたらこのページ見てみて!』


 送られてきたメッセージに添付されていたアドレスにアクセスすると、国産のVRMMOの新作案内だった。

 タイトルは『GRIMOIRE ONLINE』、童話やおとぎ話、神話を題材にしたゲームで、子供の頃に一度は憧れた童話の世界を様々な視点から楽しめる、というものだった。


 一般的なMMOの様にフィールドでの戦闘や生産、クエストなどもあり、ジョブは存在せずスキルの組み合わせで自由なロールが可能なのが売りらしい。

 何より一番の見所は童話の世界を盛り込んだ世界観と、様々な童話を元にしたクエストや登場キャラクターだろう。

 まだβテスト前でテストプレイヤーを募集している段階なのでスキルなどの詳細は書かれていないけど、何点か掲載されているスクリーンショットは中世の西欧、北欧の町並みをリアルに再現している。


 幻想戦記がサービス終了してしまい、他にプレイしているゲームも無いので多少の興味はあったものの、すぐに別のゲームを始める気にはなれず返信で保留の旨を伝えた。


 ギルドメンバーの数人は既にテストプレイヤーとして応募しているらしいので、参加すればいつものメンバーとまた会える、と思えばやらない選択肢は無いのだけど、やはり今まで当たり前のように日常の一部となっていた世界の終わりは私の心に小さくない影響を与えていた。


「要するにただの感傷なんですけどね…。」


 聞くもののいない独り言は窓の外から聞こえる雑音にかき消された。

 小さくため息をついて身体を起こしもう一度端末に目を落とす。


 どうやら主な題材は童話だけど、神話等も盛り込まれているようでドラゴンと戦う戦士の姿が映し出されていた。

 そう言えば、昔はシンデレラや白雪姫に憧れていたなぁ、と子供の頃を思い出す。


 幼い頃読み聞かされた童話の世界、お姫様とそれを護る騎士、ドラゴンと戦う英雄、剣と魔法の世界。

 現実には有り得ない、けど心躍る冒険。

 一度閉じた端末を手に取りアクセス履歴からページを開く。


 意を決してメールを送信した。

感想、ご意見などあれば是非とも感想への投稿お願いします。m(*_ _)m


2017/05/16 タイトルと本文の一部を修正しました。

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