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華の人形 ー緑の国 外伝ー  作者: watausagi
最終章 巡り花
30/35

ーー花びらをバックに、貴方ーー出会った

◇◇◇◇◇


『僕はーー』


◇◇◇◇◇


「ちぇりお!!」


 ……あ、おはようクマさんクマちゃん


 …………あ、また夢か。そういえば昨日も見た、同じ夢か。


 ………………今日こそいてくれるかな、メリーさん。


〜〜〜〜〜

  __/ \__ 〃

 |c l o s e |

  ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾  ユラユラ

 

「にゃ〜ぉぉ」

「うぅ、そうだねっ。悲しいよね!」


 猫語なんて知りませんけど。きっと、そう思っているに違いありません。悲しそうに鳴いているから悲しいのですよ、多分。



 ーー日曜日になっても、店の中は真っ暗。ひと1人の気配もありません。代わりに独特な、人形だらけの気配はありますが。


 外から見るだけで、メリーさんがいないだけで、リトル・リドル・ドールズが、全く別の世界のように見えてきました。


 ……今までのが全部、夢だった気さえします。そんな事、ない、よね?


「あっ」


 猫が触ったのでしょうか。今日は久しぶりにと、一緒に連れてきたクマさんが揺れて、地面へと落としてしまいます。


「ごご、ごめんね!」


 帰ったら一緒にシャワーです。そう思いながらクマさんを拾おうとして……色々と、思い出しました。


 コーちゃんの事。ぬいぐるみの値段の事。不思議な事。これが、夢なはずありません!


「……ありがとう、クマさん」


 腕の中のクマさんが、微かに動いた気がしました。私にはそれが、頑張れって言ってくれたような気がしました。だって、コーちゃんってば、言葉で言うのは恥ずかしいからって、変な態度で示すもんね。


 そうだよ、頑張らなくっちゃ。諦めたらいけない。今日がダメだったら明日来ればいい! 明日がダメだったらその次もまた来ればいい!


 ーー強く、生きるんだ。


 そして、そして……『優しく』?


「あ、ミリア」

「シンシアちゃん!」


 今日もまた、ばったり出くわしたのはシンシアちゃん。何か運命すら感じてしまいます。

 心なしか、私を呼ぶ声が引け目だったのは、気のせいではないかもしれません。


「ミリア、昨日はなんか……ゴメンねっ」

「え?」

「ほら、怒らせちゃった? みたいな。私、余計な事言っちゃったかなーって」

「ううん、そんな事ないよ。こっちこそ、心配かけさせちゃったみたいで、ごめんね」

「いやいやこちらこそーーあ、それ、そのぬいぐるみ可愛い! もしかして、このお店で?」

「……んー」


 一瞬迷いました。昨日のシンシアちゃんを思い出して。


 でも、一瞬です。私は堂々と言ってやりました。


「そうだよ!」

「そっか! ……私も、今度このお店で見てみようかなー、なんちゃって」

「だったら、一緒に!」

「っ……だね、一緒に!」


 そう。強く、生きるんだ。


「あー良かった。昨日のミリアってば元気が無さそうだったし。うんうん。そういう笑顔の方が、ミリアは断然お似合いだよ」

「えへへ、そうかな……あ、シンシアちゃんは今日はどうしたの?」

「え? そりゃあ、えっと、おつかい?」

「昨日みたいに、買い物袋が無いけど」

「……おつかいだよ」

「もしかしてシンシアちゃん、ここに来たのってーー」

「そ、そんな話はしていない! えっと、えっと、そう! 今はミリアの笑顔が似合うって話をしてるの!」

「えへへ、そうかなぁ」

「……ちょろ」


 でも、確かに私も、暗い気持ちが随分と楽になった気がします。心晴れやか。天気も爽やか。


 待っていてください何か色々な事! 絶対に諦めませんよ。なんだったら明日は、一日中ここに居座ってやりますよ!


「じゃ、じゃあミリア、私はお つ か いだから。また明日学校(・・)でね〜」


 ……放課後。放課後がんばりましょ。

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