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変化の術

 冬が終わり、野花が緑色になってすっかり春模様だ。

フェアフュールング家もウィルの始業式の準備でバタついている。

もう一度言おう。ウィルの!始業式でバタついている。


「……セラス、そんなに拗ねるなよ……」


「はっはっはっ。ウィルは何をほざいてるんだ?

 僕が拗ねる?そんなはず無いだろう。

 ただ君だけが学園に通うことが不服なだけさ。」


「要するに拗ねてるんだな?」


「…………………………………そんなことは断じてない。」


 これは昨日聞かされた話だ。


 昨日、普段通りウィルと庭でお茶を楽しんでいると、イシュカさんが来て申し訳なさそうに話した。


「セラスス、すまないが君の入学が来年になってしまった。

 書類提出が一歩遅かったようでね、明後日の始業式には間に合わないらしい。

 本当に申し訳ない。」


 つまり僕はウィルが学園にいってる間ずっとこの屋敷で一人でいなくてはいけないと言うことだろうか?

なんだそれ。退屈すぎじゃないか。


「そ、そうなんですか………」


 それに僕が通う予定だったウィルが通っている魔法学校、正式名称リンダール魔法学園は全寮制だ。

つまり僕はほぼ一年ウィルに会えない退屈な日々が続くと言う事だ。


「ではお父様、俺だけが学園に戻ると言うことですか?

 この一年セラスはどうするんですか?」


 そこだ。そこが一番聞きたかったんだ。

ではこの一年はどうやって過ごせばいいんだ?


「ああ、セラススには私のもとで最低限の魔法の強化と私の仕事の手伝いをしてもらおうかなと思っている。」


「イシュカさんの……お手伝いですか?

 僕が?でも次期当主はウィルですよね?」


「まあそうなんだがね。

 私自身どちらが当主になってもいいと思っている。

 そのためにも二人とも仕事になれていてもらおうと思ってね。」


 この言葉の意味は

「どちらかが落ちぶれてももう片方が使えればそれでいい。」

という意味だろう。

 要らなくなったら容赦なく切り捨てる。

やはりこの人には一生勝てなさそうだ。


「わかりました。」


「セラス、頑張れよ。」


「君こそ。学園で落ちぶれないようにね。

 僕は人間の家を次ぐ気はない。」


「おや、そうかい?それは残念だ。」


 本当にそう思ってるんだか。



 と言うわけで今は変化の術の特訓中だ。

 冒頭でウィルに暇だから特訓に付き合うと言われ、中庭でやろうと提案されたので回想してるときに移動した。


「じゃあセラス、俺に化けてみてくれ。」


「わかった。」


 体内で妖力を練り込んでウィルの容姿や今日の服装を想像する。

妖力をウィルの形にして自分の体に纏うようにイメージする。

すると変化ができるわけだが……

因みに尻尾や耳が出るのは上手く妖力を纏えてない場合だ。


「で、できてるだろうか?

 取り敢えず耳や尻尾は出てないはずだが……」


「…………………」


 ウィルは目を見開いて固まったまま動かない。


「ウィル?おーい、ウィル。」


「ハッ!」


「気がついたか?どうかと聞いているのに何故意識が飛んでるんだ。」


「い、いや。何でもない。」


 何だ?顔が赤い。赤面しやすいのか?


「君の意見は宛にならなさそうだ。鏡を見てくるよ。」


「………おう。」


********************


ウィルドside


 変化と言うのはその本人から見た価値観で完成度が変わってくる。

 つまり変化の対象が嫌いだった場合、術に何処か欠点が出る。

例えば声が変わってなかったり、目元が変わってなかったり。

 逆に変化の対象が好き若しくは好意的に思っている場合、術の完成度は高くなる。


 今回のセラスの変化の完成度はとても高かった。

容姿は勿論、声や仕草までそのまま俺に似ていた。

 恐らく同じセリフ、同じもモーションをするとどちらが本物か見分けれないだろうと言うほど。


 それはつまり、期待してもいいんだろうか?

~おまけ~


「ウィル、今回は完成度が高かったらしくてな。

 人とすれ違う度に『セラススお嬢様と一緒ではないのですか?』と聞かれたよ。」


「そうか。」


「ところでウィル。」


「ん?」


「爺が言ってた『例の写真』って何だ?」


「……………何でもない。(セラスの寝顔をこっそり撮った奴とは言えない。)」


「……何か隠してないか?」


「(ギクッ)そんなことないぞ。それよりほら、クッキーでも食べよう。」


「……(怪しい)そうだな。」


「お坊っちゃま、写真が出来上がりました。(引き伸ばしたセラススの寝顔写真を広げる)

 おや、セラススお嬢様。」


「爺!それは…………!」


「………………ほう。ウィルよ、少し話をしようか。」


「(あ、俺死んだ。)拒否権は……?」


「あると思ったのか?」


「イイエ、思ってません。」


「よろしい。

 爺、その写真はフィルムごと焼却炉の中に突っ込んでおいてくれ。」


「かしこまりました。」



それからたっぷりとセラススに説教を受けた後1週間まともに口を聞かなかったらしい。


「バカだな、ウィル。

 そう言うものは一人でこっそりやるものだと言うのに。

 家のものに頼んだらバレるに決まっているだろう。

 俺も昔アリティア(イシュカの妻)に同じことをして、頬に手形が着いたことがあってからは一人でこっそりやっているぞ。」


「な、なるほど……さすがお父様。」


「あぁ~なぁ~たぁ~?」


「ヒイッ!アリティア………!」


「私、あのときやめるように言いましたわよねぇ?

 やめてなかったのですか?」


「ゆ、許してくれアリティア!

 余りにも美しかったもんだから……つい……」


「もうっ!しょうがない方。(まあ私もやってるし……)」


「(フェアフュールングの家系は盗撮好きなのか?

 それとも僕の感覚が異常なのか?

 むしろ人間自体がそういう生き物なのか?)」

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