フェアフュールング家の男達
2度目となるフェアフュールング家のお屋敷につくとウィルにエスコートされて屋敷内に入る。
こうしてみるとウィルにも男らしいところがあるんじゃないか。
……………少しだけドキドキしたわけではない。
これは馬車に揺られてたからだ。きっとそうに違いない。
「さて、屋敷についたところで改めて。
ようこそフェアフュールング家へ。
妖狐のお嬢様、歓迎しますよ。」
当主は笑顔で態とらしく深くお辞儀をして来た。
こいつは人間の癖に何を考えてるかわからなくなるときがあるから少し苦手だ。
……少しだけ、本当に少しだけ警戒しておこう。
「セラス、屋敷な内は把握してるか?」
ウィルに横から顔を覗き込まれて考え事をやめた。
悟られるのは嫌だからね。
「ああ、君に紹介されたところはね。」
「じゃあお父様、セラスを部屋に案内して休ませてきます。」
「よろしく頼んだよ。セラススもここでの生活を有意義に過ごしてくれ。」
「ありがとうございます、当主。」
ぺこりと頭を下げると少し複雑そうに見られた。
何かあったのだろうか?
「当主じゃなくてイシュカと呼んでくれると嬉しいかな。
戸籍上は親子になるんだし。」
そう言うものだろうか?
まぁでも本人の要望だし、言うべきかな。
「じゃあイシュカさんで。」
「うん。何かわからないことがあったらウィルにでも聞くといい。」
「はい。」
イシュカさんはいい人………だと思う。
でもやっぱり危険な気もする。
多分ああいう人を「食えない人」と言うんだろう。
「セラス~!早く来いよ。」
「あ!ウィル待って!」
ウィルも大人になったらあんな風になるのだろうか?
…………………ちょっと嫌だな。
「ウィル、君は将来この家を次ぐのか?」
「あー、多分そうなるんじゃね?
俺一人っ子だし。」
「そうか……頑張れよ。」
頷いた後、ウィルは顎に手を当てて何かを考え始めた。
そんなギザなポーズをしてても似合うのがイケメンと言う生物だよな。
僕もよく騒がれてたよ。
「………………なぁ」
「ん?どうかしたのか?」
「…………………いや、やっぱいいや。」
「そうか?」
何だったんだろうか?
歯切れが悪いのは好きじゃないが、本人が言いたくないことを無理に言わすことも無いだろう。
この言葉を聞くことになるのはもう少し後だった────
『兄弟でも結婚ってできると思うか?』