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転居

 ウィルと遊んだ日から早一ヶ月が立った。

あれから一度も会いに行ってないが、今日突然母さんに大荷物を持たされた。


「……母さん、いつも唐突なんだが少しは説明してくれない?

 なぜ僕だけこんな大荷物になってるの?」


「あら?話してなかったかしら。

 貴方は明日からフェアフュールング家でお世話になるのよ。」


 僕の空耳だと信じたいのだが。

取り敢えず現実として受け止めるから一言言わせてくれ。


  どうしてこうなった。


 母曰く僕を学校に通わせたいんだが。とフェアフュールング当主に相談したところ、


「ああ、それならフェアフュールングの家に養子として引き取って入学させればいい。」


 と軽いのりで話が進んでいったらしい。

僕の周りの大人はろくな人がいなさそうだ。




 と言うわけで山の麓まで重たい荷物を運んできたわけだが遅い。

フェアフュールング当主が迎えに来ると聞いていたんだが…………

 しばらく待っていると、豪華な馬車がこちらに向かってきた。

中からフェアフュールング当主とウィルが出てきた。


「セラス!」


「ウィル!久しぶりだね!」


 つい嬉しくてウィルの手をとり、指を指の間に入れてギュッと握りしめた。


「セ、セセセセラス?!」


「?どうしたのウィル。顔が真っ赤じゃないか。

 風邪でもひいているの?」


 ウィルが突然耳まで真っ赤になった。

何かあったのだろうか?もしかして僕が何か気にさわることでもしたのだろうか?

 一人で焦っているとフェアフュールング当主が吹き出した。


「ブハッ……いや、失礼……くくっ……そ、そろそろ行こうか……ふふっ……」


 この親子に何があったんだ。

二人揃って様子が変なんだが……



**********************


 馬車に乗り込んでからも二人は少し落ち着かなく、当主はウィルを見るたび吹き出すし、ウィルは僕を見るたび顔を赤くしていた。

 取り敢えず落ち着くのを待つことにして約10分後。

ようやく落ち着いたらしい。

当主が話始めた。


「取り乱してしまってすまなかったね。

 さて、取り敢えず君の名前なんだが……セラスだったかな?」


「ええ、まあ。正式にはセラススですが。」


「……ふむ。わかった。では君をセラスス・フェアフュールングとして学園に申請するよ。」


「お手数お掛けします。」


「なんの。フックの頼みだしね。」


「此れからは兄妹としてよろしくな!」


「何をいってる。僕の方が上に決まってるだろう。」


 これだけは譲りたくないな。


「俺だろ。」


「僕だ。」


「俺」


「僕」


 このあと暫くの間同じように言い争っていた。

終了の合図はフェアフュールング当主の言葉だった。


「そろそろ終わりにしなさい。もうすぐつくよ。」


 僕らは顔を合わせて、同時に同じ言葉を発した。


「続きはまたあとで。」


 取り敢えずウィルとは仲良くやれるだろう。

姉の座は渡さないがな。

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