第五話 魔女との出逢い③
5話です。相変わらず短いです。
正直な事を言うとアリシアが料理を作っている間、不安な気持ちで一杯だった。
もしかしたらあの小瓶に入った液体の様な味の料理を出してくるんじゃないかと。
あの味は忘れられない味だった(悪い意味で)。
だって、あの液体は彼女も飲んでいたが「少し不味いわね」くらいにしか感じていなかったから、もしかしたら味覚からしてこの世界?の人達とは違うのかもしれないと思ったからだ。
そんな気持ちで待つこと約30分。どうやら料理が完成した様だ。
嬉しいことに期待は見事に裏切られ、出てきた料理はとても美味しかった。
ただ、見た事の無い野菜や果物、牛や豚ではないような肉料理だったので食べるまで勇気が必要だった。
アリシアは気を利かせてくれたのか俺が食べ終えるまでリリーと呼ばれていた竜の所へ席を外してくれていた。
食べ終えてしばらくしてアリシアが戻ってきた。
「お腹は一杯になったかしら?」
「えーとヴェルノートさん。とても美味しかった。」
「そう、それは良かったわ。それと呼び方だけどアリシアでいいわよ」
さすがに初対面の人を名前で呼んでしまうのはどうかと思ったので苗字で呼び、お礼を言うとアリシアは微笑みながら言った。
「じゃあ、アリシアさん。さっきの話しの続きなんだけど、こっちからも幾つか聞いてもいいかな?」
この1時間くらいでようやく俺は自分の置かれている状況を確認するくらいまでには落ち着きを取り戻していた。
「そうね。でも先に私からの質問に答えてくれるかしら」
「ああ、分かった」
それから俺は自分住んでいた世界やここへ来る前までは何をしていたのか等、答えられる範囲で質問に答えて行った。途中で翻訳薬では対応出来ない単語も出てきて伝えるのに苦労した。特に物の名前とかがそうだった。
話をして行くうちに疑われる事もあったが、幸いこの世界に無い物が手元にあったので、ある程度は信じてくれたみたいだった。ちなみに証拠の品々はというとケータイと腕時計、着ていたジャージ、あとは布団と枕である。
余談ではあるが布団と枕については竜のリリーに取られてしまった。寝床として使うそうだ。
「・・・ふう。まあ、質問はこんなところかしら。どうも嘘は言ってないみたいだし、この世界には無い物を持っているようね」
と言ってアリシアは目をつぶって黙ってしまった。
5分くらい経った頃だろうかアリシアは目を開けて「う〜ん、そうね。私の推測だけど・・・」と話し始めた。
次回は説明回になりそうです




