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竜と魔女と異世界と  作者: 夜刀
第二章 新たな出会いと学園と
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第二十話 迷宮での事故 中編

お待たせしました。そして中編になります。その割りには文字数少ないですが。

「アンタ、大丈夫か?」


大の字になって倒れている冒険者の方へ近付いて声をかける。どうやら気絶しているみたいだ。怪我は見た目には無さそうだが。


「サクヤさん、ど、どうしましょうか?私の所為で・・・」


ミリアは罪悪感があるという感じで、心配そうに冒険者を見ている。


というか、こうなったのはミリアに魔法を使えと言った俺に原因がある。まあ、勢い良く燃やしてしまったのは、ミリアをびっくりさせたこいつが悪い。最初は人間かどうか分からなかったし。


「ミリアは悪く無い。この人に魔法で吹き飛ばしたのは俺だしな」


そう言いつつ、骨折などしてないか身体を触って確かめーーーなんか二人で止められた。


「私達で治療しますからサクヤさんは、そこで待機です」


「取り敢えず服をちゃんとしましょう。ほら、サクヤさんは後ろ向くように」


あれ?俺はただ治療をしようと思っただけなんだけど。取り敢えず後ろ向くか。


炎で身につけてるものを燃やされ、勢い良く流れた水によって、彼女の身につけている服は壊滅的なダメージを追っていたらしい。自分の方からは全く見えなかったが。


「怪我は無いみたいですね。もっと怪我をしてるかと思いましたが、この人頑丈ですね」


ミリアは冒険者が怪我をしてない事に感心さえしている。セルカは自分の替えの服を冒険者に着せているようだ。


「服もこれで良いでしょう。サクヤさん!もう良いですよ」


「終わったか。それでこの後はどうする?」


「もう夜遅いですし、このまま寝かせときましょう。でもまだこの人が安全か分かりませんし、見張りが必要でしょうけど」


「見張りは交代でやるか。じゃあ取り敢えず飯の続きだな」


「はい。もう一度温め直しましょう」


竜に冒険者を乗せて、先程まで休憩していた場所へ戻る。


夕飯を食べ終わった頃に、どうやら冒険者が気が付いたようだった。


「う、う〜ん。あれ?私は・・・って、きゃあぁあ!」


何やら後ろで悲鳴とドスンと鈍い音が聞こえた気がした。何だと思っているとセルカが、何かに気付き慌てる。


「あ!そ、そうでした。降ろすの忘れてました!」


・・・今の音は、竜に乗せたままの冒険者が足場を失い、落ちた音らしい。


「あいたたた・・・・」


「あ、あの、大丈夫ですか?結構大きな音がしましたけど・・・」


「へ?ああ、怪我は無い見たいだし大丈夫よ。私って結構頑丈だから。というか服ちがってるし、あと貴方達は誰?」


セルカが聞くと冒険者が自分の体を見つつ答える。そして自分の服装が違う事に気付き、俺たちを見て疑問符浮かべる。


「あ、あの!本当にごめんなさい!!」


「へ??」


冒険者の前に出たミリアは、頭を下げて謝った。対する冒険者は何のことだか分からない様子なので、俺たちは事情を説明することにした。


事情の説明を終えると、彼女は俺の方を見て「君が元凶じゃないの?」とか言っていたが、そもそも原因はアンタじゃないのかと思う。取り敢えず無視して話を切り出す。


「夜も遅いし、続きは明日でもいいだろ。早く寝て明日に備えようか」


というわけで見張りをしつつ、俺達は睡眠を取ることにした。冒険者の彼女は「見張りって何よ!?」とか喚いていたが、しばらくすると疲れたのか寝てしまった。









「先ずは自己紹介からね!私の名前はアニス・フィアート。今はこんな格好をしてるけど、研究者をしているわ」


「貴族様だったのですね。とんだご無礼を致しました」


「ああ、良いわよ。私はあんまり気にしないわ。それに今は一研究者だし、それにそこの貴女は貴族でしょう?」


セルカはアニスに謝るがどうやら彼女は気にしてない様だった。


「はい。私はミリア・フレリアと申します。こちらは従者のセルカ。でも、どうして分かったのですか?身分を証明する物など身につけて無いですよ?」


「貴女の動きとかで分かるわ。私も小さい頃は、似たような礼儀の勉強をさせられて来たもの。それで貴方の名前は?」


アニスは俺の方へ視線を向けて名前を問うてくる。隠す様な事でもないので素直に教える。あとついでに謝っておこう。


「サクヤだ。昨日は悪かったな。あそこまで強く出るとは思わなかった。反省してる」


「なんか誠意が感じられない気もするけど、サクヤね。まあ、一応謝って貰ったから問題にするのはやめといてあげるわ」


もしかして、今謝らなかったら面倒な事になっていたのだろうか。ちょっとホッとしつつ、これからどうするか尋ねる。


「えーと、本当は一人で行けるのだけれど、肝心な装備が無くなってしまったから次の十五階層まで連れっててもらえないかしらね?」


「装備?アンタは手荷物とか持っていなかったと思うけど、もしかして灰なったか流されてしまったか?」


確かにあの時は壁に激突して、気絶した彼女を回収しただけなので荷物は回収しなかった。というか奥の方まで見たが何も無かったのである。


「それはごめんなさい。私の所為ですよね・・・」


ミリアがどよーんと落ち込んでしまっている。だがアニスは首を違う違うと振りながら。


「手荷物は魔法で隠してあるから無くなってないわ。私が言ってるのは最初に着てたやつよ」


「最初に?ああ、あのボロ布か?」


「ボロ布って言わないで!!あれは私が作った、魔物に一切気付かれることなく進める服なのよ!」


どうみてもボロ布にしか見えなかったが、どうやら彼女の自作らしい。ボロ布と言われ憤慨している。


「研究の一環で、魔物に気付かれず十五階層まで行けるか実験してたのよ。まあ途中で貴方達に気付かれちゃったから、まだまだ改良はいるでしょうけど」


なんか研究者っていうか発明家っぽい感じだなと思う。今の所は頭にエセが付くが。


「なんか失礼な事を考えなかった!?」


「いや、別に?そんなことより十五階層まで一緒に連れてけばいいんだな?」


どうやらカンがとても良いらしく、これ以上話しているとボロ布だけにボロが出そうなので話を強引に逸らす。・・・自分で思っといて寒かった。


「どうしたの、変な顔して?・・・まあ、いいわ。連れて貰えれば助かるわ。私はここの魔物を一人で倒せる程、強く無いから」


「じゃあ、出発するぞ!あんまりモタモタしてると後ろの連中に追いつかれちまうからな!」


というわけでパーティ一人追加されて探索は再開される。


ただし戦力外だが。






俺達は十五階層目を歩いている。走ったりせず歩きであったが、魔物出てこようと歩みを止めず、道も迷う事も無く進んでいるため、とにかく早かった。


「ねえ、この迷宮って本当に初めて?・・・というか、なんでそんなに強いのよ!?」


真ん中を歩くアニスは、なにやら喚いている。今は魔物を倒すのに忙しいので黙っていてくれると有難いんだが。


「アニス、うるさいぞ。ちゃんと進んでるんだから文句を言うな」


「あれ、いつのまに呼び捨てに・・・じゃなくて!アンタ達、本当にあの学園の生徒!?」


先頭には道が分かる俺。後ろにアニス、その後ろはミリア、最後に下級竜とセルカという順で進んでいる。アニスが真後ろにいるのでとにかくうるさかった。取り敢えず後ろを向き、アニスの後ろにいるミリアに視線を送る。


ーーーミリア、後は任せる。頑張れ。


ーーーえ?私に丸投げですか!?


ミリアに視線だけで伝える。アニスは意味がわからなかったようで訝しげな目で俺を見ていた。後ろでミリアが目を見開いていたが、目を逸らす。


「えっと、アニスさん。私達は正真正銘のエルファリード学園の一年生ですよ」


ため息をつきつつアニスの疑問にミリアが答える。その回答にアニスは「一年生!?嘘でしょ!?」とかまた驚愕していた。




ーー取り敢えずうるさい。


次回は今週中に投稿します。なるべく早くしたい所です。

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