第十二話 迷宮へ行く。
今週中と言ったのに過ぎてしまいました。申し訳ないです。そして短い。
朔夜がこの学園に入学してから約一ヶ月が過ぎた。授業の方は基本的な読み書き、歴史や数学の授業等、あちらの世界で行われていたと似た様な感じであったので一ヶ月もすれば慣れていた。
午後の実践訓練は基本的な魔法を重点的に訓練し、だんだんと上級魔法へ階級を上げて行く物であった。騎士科はセルカやフィアナの話によると、竜を乗りこなす訓練から竜に乗っての戦闘訓練という方向に変わって来ているという。内容的には騎士科の方が楽しそうだ。
今日は朝から何故か騎士科と魔法科の生徒が校庭へ集められた。いつもはそれぞれの訓練場所だけで集まってやるのだが今日はどうやら違うようである。まさか騎士科の生徒と戦えとでも言うのだろうか?
「なあミリア、何するか聞いてるか?」
「私にも分からないです。朝教室に来たら言われましたので」
「まあ、それもそうか」
今は集められてザワザワしている雰囲気であったがどうやら先生が来たようだ。
「全員集まっているようだな。ではそれぞれ集まって並べ」
そう言ってそれぞれの科に分かれて並ぶ。いつもは気性が荒いであろう竜達も大人しく並んでいた。途中で点呼をとっていた先生が「お前いるとこういう時は便利だな」と肩を叩いて行ってしまった。
もう一ヶ月経つというのにまだ怖がられてるのか。リリーの効果は凄いな。
「では説明をする。今日は合同訓練だ。だがこんな所では狭いし流れ弾が当たったりして危ないからな。朝から場所を移動し午後から訓練だ」
それもそうか。いくら校庭といっても124名の生徒と50匹の下級竜だからな。並べるだけでも幅を取るというのにこんなところでは訓練は出来ないか。
「ではそれぞれ魔法科の生徒は騎士科の竜に乗せてもらえ。結構遠いから飛んで行く。余ったりしたら私の所へ来い。適当割り振るからな」
ちょっと待て。今なんて言った?竜に乗れ?まず触れないのに乗るとか出来る訳ないんだが。
「あの、先生?俺はどうすれば?」
「ああ、そう言えば乗れなかったか。ふむ。乗せてもらえないのであれば自力でどうにかするしか無いな。地図は渡しておく。当然の事だが遅れると、遅刻にするからな」
地図を受け取り中身を見る。どうやら歩いて行くと一日以上の時間が掛かるらしい。竜だと約3時間くらいだそうだ。場所はヘリアズ迷宮と書かれている。
「では全員準備は出来たな?私の合図で飛ぶようにしろ。先頭を行くからちゃんと付いてくる様に。後ろはジェイド先生がいるから安心しろ」
そう言って準備をする俺以外の全員。ミリアとセルカは一緒に乗っているが申し訳なさそうにこっちを見ている。俺は手を振り心配するなと伝え離れる。
「では行くぞ。私に続いて順番について来い」
そう言って順番に全員が飛び立って行く。校庭には俺一人がポツンと残される。
「はあ・・・まあ乗れないのは仕方ないとしても置いてくか普通?頑張って走るか」
そう独り言を言いながらケータイを取り出しMAPを起動させる。あれから彼女ら妖精が成長し中級精霊となったことで機能的にも強化されていたMAPアプリは正確な距離と時間の表示が出来る様になったが、どうやら絵は上手くならないらしい。相変わらずよく分からない絵だ。
▽
MAP情報なの!
目的地:ヘリアズ迷宮
距離:約500km
最速到達時間:約1時間
▽
時間は一時間と表示されるが間違いでは無い。移動速度に関して言えば竜より速く走ることが出来る。後は道に迷ったり余計な事をして魔力が無くなったりしなければ余裕の時間である。
Mapはスクリーンみたいに顔の横に表示させ手には何も持たない様にしておく。荷物も魔法で固定し落ち無い様にする。よし。準備は出来たな。
ーーー風を、音を、光を超えて疾走する!
ーーーシルフィード!
身体に魔力を纏いそのまま飛ぶ。一度ジャンプするだけで空高く飛び、魔力の壁を作りそれを蹴って進む。その速度、時速約500kmである。
まあ、誰も地面を走る何て言ってないからな。この速度で下を走ったりしたら物壊したり人や魔物を轢き殺しちゃう可能性もあるからな。
頼りない絵のMapを見ながら、遅刻しないで着けるかなと思いながら空を疾走する。
今回は短いですが次は迷宮の中での話になる予定ですので長くなるはず。




