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竜と魔女と異世界と  作者: 夜刀
第二章 新たな出会いと学園と
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第十一話 フェアリア

昨日は更新出来ず、すみませんでした。

二回目の精霊科での実習は、変な奴等に絡まれる事から始まった。


「なあオイ?今日は精霊科(こっち)かよ?昨日はマヌケにも竜にさえ触れなかったらしいじゃねえか」


ぎゃははは、と三人組の男子生徒が話し掛けて来るが、一体誰だろうか?


「もう才能無いから辞めちまえよ?その方がこれから恥ずかしい思いをしなくて済むぜ?」


「そうだそうだ!辞めちまえ!」


「ここはお前みたいな奴が来るところじゃ無いんだよ!」


真ん中のリーダーらしき男子が喋ると両隣の男子がまくし立てる。声が大きく周りの生徒達が何事かと振り向く。



「竜の方はどうやら嫌われたみたいでな。授業では乗れそうも無い。だから、今日から精霊科だ。それで?何か用か?」


投げやりに答える。無視するとこの手合いは面倒なんだよなぁ。


「お前、サクヤっていったな?名前しか無いって事は貴族じゃ無いだろ。そんな奴が何で俺と対等に話してるんだよ?敬語使えよ。敬語を!」


何言っても絡んでくるようだ。取り敢えず謝るか。面倒事は遠慮しておきたいからな、と心の中で悪態を尽きながら謝る。



貴族様。申し訳ありませんでした。今後は言葉遣いにも気をつけます。と言ったつもりだった。だが慣れない敬語のせいか実際にはこんな言葉が出ていた。



「うるさいんだよバカが。誰だか知らないけど絡んで来るなよ、面倒だ」




「あ?おいコラちょっと今なんて言った!?」


「ん?」


「今、なんか言ったろ!?バカとか暴言吐きやがっただろう!?」


「言ってないぞ?今、敬語使って謝っただろう?」


「謝ってねえよ!?ガッツリ暴言だったぞ!」


「なあ、ミリア?俺、謝って無かったか?」



「え?は、はい。謝るどころかストレートにバカって言ってましたよ?」


ふむ。どうやら口に出す言葉と思っている事が逆になってしまったようだ。やはり慣れないと上手く敬語は使えないな。



「ああ、もう!!気に入らねえ!お前なんかぶちのめしてやる!!」



貴族の割りにはガラ悪いなこいつら。でもあんまり騒ぐと不味いんじゃ無いか?


「貴様等!!何をやっている!?」


精霊科担当のノイ・フォルドーが騒ぎを聞きつけるなり怒鳴り込んでくる。それを見た三人組は舌打ちして訓練場の隅へ行ってしまった。


「確か、サクヤだったか?何を授業前に騒いでるんだ?」


「いや別に、何でも無いですよ。ただちょっと絡まれただけです」


「ふむ。まあ君は魔法がまともに使えない、竜には乗るどころか、さわれもしない奴だと有名だからな。絡まれるのも無理はないな」


「まともに扱えないかどうかは分からないですよ?ちゃんと勉強して来ましたから」


「ほう。君はたった一日勉強しただけで

使えると?それは楽しみだな」


疑わしげな目で見る先生(ノイ)。おいおい、生徒をそんな目で見るなよ。


ちなみに勉強と言っても一日では無くアリシアと電話した時の一時間も満たない時間だったりする。


「ところで先生?」


「なんだ?」


「さっきの三人組、名前が分からないんですけど教えてもらえませんか?」


「名前か? ・・・本人に聞け。もう授業だ。さっさと並べ」


そう言って先生は元の場所へ戻って行く。あれは多分、名前分かってないな。じゃあミリアは知ってる?と視線で問いかけるが首を振られた。知らないようだ。



「ではこれより授業を始める。先ずは復習からだ」


そう言って説目をして三十分。一通りの復習が終わり先生が「じゃあ次はーー」と言いかけた時だった。


「ノイ先生!提案があります。これで基本の魔法は使えるんじゃないかと思うので試しに勝負してみたいのです」


見てみればさっきの三人組(バカトリオ)の一人だった。名前は知らん。


「えーと君は、いや、ごほんっ。では他に自分の実力を試したいという奴はいるか?居ないのであればその提案は却下するが」


そう言われ手を上げるのは三人組(バカトリオ)と男子が十人くらい、女子が数人ってところだろうか。全部で17人居た。


「16、17か。一人余るな」


ノイ先生は人数を数えて行くがどうやら奇数なのが気に食わないらしい。何故かキョロキョロし始め、ん?なんか目があった気が。


「サクヤ。お前はこっちへ来い。ほら早く」


何故か呼ばれてしまった。渋々前に出るが何をさせるつもりだろうか?


「残りの者は見学だ。これから2人ずつで勝負をしてもらう。勝負の内容は的抜きだ」


そう言ってどこからか二つの的を取り出し設置する。


「これが的だ。今日までに君達には四つの基本魔法を教えた。その中のどれでもいいから使って的に当てろ。中心に近ければ評価が高くなる。ただし的は貫通しなければ得点にはならない」


ちなみにだが四つの基本魔法というのは火属性のフレイム・ブラスト、水属性のアクア・ブラスト、 地属性のアース・ブラスト、風属性のウインド・ブラストである。基本魔法とは言うが全部攻撃系なのは先生の好みだそうだ。他にも基本魔法はあると思うんだが。


「ルールは理解したか?では準備が出来たら二人ずつ並べ」


心の準備が出来た生徒から前に出て、先生の合図で魔法を放ち始める。緊張のせいなのか全く的に当たらなかったり、当たっても的に貫通しなかったりと失敗する生徒が続出している。意外とコントロールが難しい様である。


そして俺の順番が回ってくる。隣で一緒にやるのは絡んできた三人組の一人だった。


「お前、なんで出てきてんの?他の連中より遅れてるのに出来るかよ?簡単に出来るとでも思ってるのか?調子に乗ってんじゃ無えぞ!」


「無駄話をせずさっさとやれ。喧嘩をするのなら授業中以外にしてくれ」


呆れた様に言うが、俺は何もしてないんだが。まあ取り敢えず的に向き直る。


ーー基本魔法か。正直まだ自力じゃ使いこなせないな。


昨日の夜にアリシアに教わったとはいうものの一時間足らずでは覚える事など不可能に近かった。基本的には暗記するしか方法は無いため今日の授業には間に合わないはずであった。


だが今俺は魔法を使えている。それもこの中に居る誰よりも高い精度と威力で。


「ーーーー貫け。フレイム・ブラスト」


呪文を一字一句違えず詠唱し火属性のフレイム・ブラストを発動させる。的のど真ん中をブチ抜き、後ろの壁まで破壊する。周りの生徒が絶句している。



ーーーあ、やば。おい、ロロナ。ちょっと威力落とせ。これは流石に強過ぎかも知れん。


『は〜い!なの!でもサクヤちゃんの魔力量じゃこれ以上落とすのは至難の技なの!』


ーーーじゃあ、メルル。ちょっと手伝ってやってくれ。


『はい。マスター。ですがマスターも威力を絞るイメージをして下さらないと、私達だけでは難しいかと』



ーーーああ、善処するよ。



この世界の魔法を正しく使える理由は彼女達にあった。


彼女たちはケータイに宿っていた精霊である。アリシアとの電話を終えてどうしようか悩んでいたらケータイから光が溢れ彼女たちが姿を現した。光が収まるとそこには手のひらサイズの女の子が二人ずついた。


『マスター。お困りの様ですね。私達がお手伝い致します』


『なの!』


え?なんだいきなり?


『私達は精霊種の妖精(フェアリア)と申します。いつもそのケータイの中で貴方を見守ってきました』


『なの!』


『本来であれば私達はこのケータイから出て来れない下級精霊でしかありませんでした。ですが貴方のその強力な魔力を受け続けた結果、私達は成長し、こうして外に出て来ることが出来ました』


『だから、私達は貴方をサポートしたいと思うの!』


『迷惑であればずっとケータイの中に居ますが』


「ああ、そうか。データ見る時の説明文とマップ見た時の説明文は君等だったんだな。口調が出てる気がする」


突然の事に驚きはしたがなんと無く精霊が居る様な気はしていたので納得もしていた。


『その通りです』


『なの!』



「そうかじゃあ、マップを案内してくれて居たのはお前だな?あれはちょっと適当すぎないか?」


なの!と語尾をつける精霊を捕まえて話をする。怒られていると思っていないのか「あれは自信作なの!ほめてなの!」とか言っている。怒る気が失せてしまった。


「じゃあ、さ早速で悪いんだけど頼みを聞いてくれ無いか?」



そんなこんなで俺は彼女達、妖精の力を借り自分で自在に操ってるかの様に魔法を使ったのである。要するにズルである。



「なっ!?なんでお前がそんな物が使えるんだ!?」


信じられないのか詰め寄って問いかけてくるバカ。適当に答える。


「勉強したからな」


嘘だがな。


「朔夜さん。凄いです!どうやって一日でそんなに!?」


「後で教えるよ」


先生に突然の上達を疑われ、何度かみんなの前で披露させられたが不審な点は見受けられなかったため疑いは晴れた。そんなこんなで、なんとか授業を終える。


ーーーありがとな。ロロナ、メルル。


『いえ。当然の事ですから』


『じゃあ、ごほーび欲しいなの!』


ーーー分かった、分かった。帰ったら魔力をやるよ。


新しく増えた仲間に喜びながらもミリア達にどう説明しようかなぁと考えながら帰るのであった。


次回は・・・いや予告してもその日に投稿出来ない可能性もあるので今週中と言っておきます

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