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竜と魔女と異世界と  作者: 夜刀
第二章 新たな出会いと学園と
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第九話 驚愕の事実

本日二回目投稿です。のんびり行きます。

「あっははははは!」


部屋の中に笑い声が響く。心底面白いと思っているようなそんな笑い方。


「おいコラ。そんなに笑うな。学園長だろうが?」


ここは学園長室。今部屋には俺と学園長のリアンナの二人だけだ。


「いや、すまんな。にしても、そうか「落ちこぼれ」か。くくっ、魔女の弟子が「落ちこぼれ」。くくっあっはははは!」



こいつ。いつか絶対泣かす。



リアンナは笑を堪えられない様でしばらく笑っていた。




そもそもの話、ここに来たのは呼ばれたからである。魔力認証において異常な魔力を持っている事が講師のノイ・フォルドーに知られたことにより、報告が学園長であるリアンナまで上がったことが原因である。


勿論、彼女は知っていたので驚きは無かったがしかし学園長だ。立場上は呼び出して、本人から聞き取りをしなければいけない。だから呼び出したのだが本人から語られた内容に笑を抑える事が出来なかった。


「ああ、笑い事じゃ無いな。くくっ、それで?精霊科は諦めて竜騎士科になったのか?」



まだ笑ってるし。はあ、と俺はため息をつく。だがこれは笑われた事だけが原因では無かった。



「言いたく無いけど、まだ話には続きがあるんだよ。昨日の話だ。俺は気持ちを切り替えて竜騎士科に行ったんだがーー」


俺は話す。昨日の事を。こいつ絶対笑うだろうなぁと思いながら。




精霊科の騒動は二日前。昨日はセルカと共に竜騎士科の方へ行った。


噂は広がるのは早いもので他の皆からは「あれ?今度はこっち来たの?」みたいな視線が殆どだった。視線を向けてこないのは噂を知らない人達である。


「朔夜さん。あまり気になさらないで下さい。だってここに来るまでに竜に乗って来たのでしょう?なら乗れないわけ無いじゃ無いですか」


昨日の事が頭に残り、そして今の視線に柄にもなく落ち込んでいると隣を歩くセルカが励ます様に声をかけて来てくれた。



「セルカ・・・。まあ、精霊科ってちゃんとした魔法が使えないと試験とか無理だって言われたし、竜騎士科なら取り敢えず乗れれば第一段階が突破できるみたいだしな。こっちで頑張って見るかな」


「そうです。その調子です。姫様、いえミリアさんには悪いですが、私としては・・・」



「え?最後の方よく聞き取れなかったんだが、なんて?」


「へ!?あ、いえ!これから訓練一緒ですから色々教えてもらえるかなぁと思ってまして!」


「そうだな。竜騎士科で出来るのなら、な」


「なんか歯切れが悪いですが、心配事とかあるのですか?」


急に歯切れ悪く喋る俺に不思議そうに尋ねるセリカ。


「ああいや、竜に乗る方法は分かるし、飛べるし問題無いはずなんだがちょっと嫌な予感がな」


着替えてセリカと合流する前、校庭へ向かう時に竜が寝泊まりしている竜舎を通った。そこは普段は竜の鳴き声が聞こえ騒がしい所らしい。


だが俺が足を踏み入れた瞬間、静まり返ったのだ。竜舎の前で暴れていた竜も急に大人しくなり自分の所へ入って行ってしまった。手綱を握っていた上級生の男子生徒は

「あれ!?なんで急に大人しくなったの!?てかこれから授業だよ!!出て来てくれないと僕困るんだけどぉ!?」

と困っていた。俺は関係無いぞ。知らんからな。


なんてことはセルカにも言えず適当に誤魔化すしか無いのであった。




「ではこれから授業を始める!昨日来てない者もいるので今日は竜の基本的な接し方をもう一度教えよう。昨日やったものたちは復習の意味もある。集中して行うように!」


こっちの講師は男性であった。名をジェイド・ブロークス。歳は30歳くらいだろうか。髪が茶色で長身でナイスミドルなおっさんて感じか。



そう言われ昨日、精霊科を受講した人達は集められ説明が行われた。大体10人くらいだろうか。俺をチラチラ見ているやつもいる。こっち見るな。



「まずは竜との基本的な接し方だ。尻尾にはあまり近づかない。初対面では攻撃される危険性があるからな。正面の見える方から近づいて触ってみろ」


竜が三匹用意され生徒に触るように指示する。


そう言われ残りの俺たちは順番に竜に触る。「うわあ」とか「これが竜か」と感動している。


ジェイドは「あれ?なんか大人しい?」と首を傾げていた。





さて。最後は俺の番なんだが。竜へ恐る恐る近づく。




「キュルル」



ずりずりと後ずさる三匹の竜。




いや、ちょっと触るだけだから。




「きゅくう〜」




ずり、ずり、下がる。




いやいや、なんで逃げる。ほら痛くしないから。




「きゅうう!!!!」



バサァ!!




え?ちょっなんで翼広げてんの!?




「きゅいいいい!!!」




何事かと皆の視線が集まる中、三匹の竜は翼を広げて校庭の隅まで飛んで逃げる。


俺は触ろうと伸ばした手を空中に出したまま、固まるしか無かった。







「あっははははははは!!あ〜!腹痛い!!ぷっはははは!!」



話を終えると学園長は机をバンバン叩き腹を抱えて大笑いしていた。



こいつ・・・。



「とにかく報告はこんな所だ。竜騎士科なら行けるかと思ったが竜達がなんか怖がってるんだか、嫌がってるのか触ることも出来ん。だから精霊科にしとくよ。詠唱は面倒だけど覚えて試験は突破出来るようにしておくよ」



と一気に言って足早に学園長室を後にしようとする。



「ああ、待て待て。多分だが理由があるぞ?その竜に怖がられてしまうのは」



「理由?もしかしてフィアナと戦った時に(エナ)に何かしちまったか?」



フィアナと戦った時を思い出し何か怖がる様な事したっけ?と思いながら尋ねる。



「それもあるかも知れないが一番の理由はアリシアの所で一緒に居たという竜にある」



(リリー)に?なんで?」



「私もそのリリーとやらは見たことが無いが恐らく高位の竜であることは間違い無い。一年とはいえずっと接して来たのだろう?」



「リリーが高位の竜なのは薄々気づいていたけどそれが何で怖がられる理由になるんだよ?」



「高位の竜は基本的には契約者以外とは接しない。でも君はずっと接して来たのだろう?

恐らく高位の竜特有のニオイがついたのだろうな。訓練時に使用される竜は下級か中級しかいない。それより上位の竜のニオイを付けられては、他の竜からすれば逃げるしかないだろうな」





そこで知る驚愕の事実。




なんと俺はリリーにマーキングされていた様だった。



「まあ、当面は精霊科の方が無難かもな。それと折を見て、一度アリシアと相談して見るといい。何か知恵を授けてくれるかも知れないしな。ああ、久し振りに腹を抱えて笑ったよ」



うるせーっての。人が困ってるの見て笑やがって。



でもアリシアか。そういえばケータイで通話出来るとか言っていたな。



思いがけない一言に、まだ一週間経ってないけど連絡して見るかと思い部屋を後にした。




次は明日になるかもです。

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