第四話 学園長と生徒会長
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街の中へ入った俺はまず学園を目指す。
ーー確か目印は大きな時計塔だったな。
街の様子を眺めながらアリシアに教えてもらった目印を探す。これだけ大きな街なら探すのも大変かと思ったが、すぐに発見する。
時間はちょうどお昼の12時。時計塔からは大きなベルの音がゴォーン、ゴォーンと鳴り響いていた。
時計塔までは距離がありそうなので、先に昼食を食べておこうと食堂を探す。
大きい街なだけはあり食堂はすぐに見つかった。ちなみにお金はアリシアから1ヶ月程度は普通に暮らしていける額をもらっているので心配しなくても良いだろう。
料理の味はまあまあと言った所だ。アリシアの所で食べた料理の方が美味しかったと思う。まあでもこんなものだろうと思いお金を払って再び学園まで歩く。
大体30分くらい歩いてようやく校門へ到着した。門の前には警備兵が居たのでアリシアから受け取った紹介状を渡す。手紙を受け取り裏の封を見た警備兵は何故か「こ、この印はまさか!?」と俺と手紙を交互に見ながら言う。
「ちょっとここで待っていてください!」
と言って俺一人を残して敷地の中へ走って行ってしまった。
ーーちょ、警備兵が持ち場を離れたら駄目だろ!?何であんなに血相抱えてるんだ?
それから待つこと20分だろうか。警備兵と制服を着た女子生徒が走ってきた。その女子生徒は俺の前に来るなり言った。
「君とこの紹介状の事で話を聞きたい。私について来てくれないか?」
どうやら面倒事のようだ。まさか偽造とかじゃ無いよな?
静かな廊下に二人分の足音が響く。前を行く女子生徒は無言で進んで行き、俺としては居心地が少々悪かった。
その女子生徒の髪は紺色で腰まで届くロングヘアー。メガネをしていて、無愛想な表情であったが綺麗と呼べる部類の子だった。ていうかメガネってこの世界にもあるのか。
そんな事を考えながらも階段を登って行く。話を聞くだけならそこら変の空き教室でも良い気がするんだが、どこまで行くんだろうか?さすがに気になって来たので声をかけて見る。
「どこへ連れて行くつもりなんだ?話だけならそこら辺の教室で良いと思うけど?」
「今から行くのは学園長室だ。この印を持った人が現れたらこちらへ案内しろと学園長から言われている」
「なんで学園長が?」
「私に聞かれれも困るな。それは自分で聞けば良い。着いたぞ」
どうやら目的地へ着いたようだ。彼女は扉をノックし声をかける
「学園長。例の人物をお連れしました」
「入って良いぞ」
中から偉そうな女性の声が聞こえ、入る様に促されたので扉を開けて部屋に入る。
そこには20歳くらいにしか見えない若い女性がいた。
「貴女が学院長か?見た感じ自分と同じ位の歳にしか見えないんだが」
「よく言われるよ。ああ、そんなことより先に挨拶をしておこうか。ようこそ、エルファリード学園に。私は学院長のリアンナ・フェリオルだ」
「それで何の用なんだ?紹介状には問題無い筈だけど」
無いと思うんだが不安だ。
「紹介状?ああ、それは別に問題ないよ。ただ入学式が始まる前に1度見ておきたかったのさ」
「俺を?一体何の為に?」
「【竜焔の魔女】であるアリシア・ヴェルノートの唯一の弟子だからな、君は。見たくもなるさ」
「へ?」
竜焔の魔女?え?アリシアが?ええ?
耳慣れない【竜焔の魔女】という単語に反応が遅れる。というかそんな二つ名持ってたのかあの人。俺はもちろんそんな事を知ら無かったので驚いていたが、何故か隣の案内してくれた彼女の方が驚いた様に声をあげた。
「アリシア・ヴェルノート!?彼があの魔女の弟子だと言うのですか!?何を根拠にそんな事を!?」
「半年ほど前にここに彼女が来てな。春には私の弟子が、この学園に入学するから宜しく。とな」
「信じられない…あの竜焔の魔女が弟子だなんて!」
なんだ、なんだ。アリシアってそんなに有名なのか?
「まあ、信じなくともそれが事実だ。そうだな。もし納得がいかないのであれば戦って見ると良い」
「「え?」」
納得いかないと言った様子の女生徒に学園長はある提案をする。いやいや待って待って。
「でもそうだな。幾らあの魔女の紹介からと言っても、試験も何もせずに入学させてしまうのは問題があるな」
「ちょっと待て!なんでそんな話になるんだ!?試験はまあ良いと思うが、別に戦う必要は無いだろう!?」
「彼はこう言ってるが君はどうする?フィアナ・イルミナ生徒会長」
「わ、私は、戦いたいです。あの魔女の弟子が本当であれば恐らく、私などには足元にも及ばないでしょう。ですが私は春から生徒会長です。敵わないからと言って尻込みする様では他の生徒に示しが尽きません。ですから試合をさせてもらないでしょうか?」
「ふふ、それでこそ生徒会長だ。なら立会いは私が行おう。早速訓練場へ移動だ!」
おーい。そこのお二人さん?人を無視して勝手に盛り上がらないでくれませんか?
「え?ちょっ!俺の意見は?」
さすがに我慢ならず口を挟んだが。
「多数決で2:1だ。諦めろ」
理不尽だ!これはあまりにも理不尽だと嘆くがそんな気持ちは当然伝わらない。
「先に行って準備します。あの子と一緒に戦っても良いですか?」
「もちろんだ。あの子も君の力には違いないからな。戦うからには全力で立ち向かえ」
あの子ってなんだ!?彼女だけじゃないのか!?
「はい。では私は準備がありますので失礼します」
そう言って彼女は俺の方へ体を向け言う。
「例え貴方が竜焔の魔女に匹敵する力を持っているとしても、私は負けない」
そう言って彼女は学園長室を出て行く。
「まあ諦めろ。彼女は在学中に竜と契約を果たした数少ない生徒だ。女性だと思って手加減してると痛い目を見るかもな」
更衣室に案内してやるからついて来いと彼女は足早に部屋を後にする。俺もそれに続きながら思う。
え?本当にやるの?
ああ、次は戦闘描写をしなければ。上手くかけるといいですが。次回は土曜日になります。
指摘された修正部分は土曜日に纏めて行います。




