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竜と魔女と異世界と  作者: 夜刀
第二章 新たな出会いと学園と
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第二話 学園へ行く旅路にて

昨日は忙し過ぎてちょっと書けなかったです。やっぱ平日は2日おきになりそうです。

「あ、あの!た、助けてくれてありがとうございます」


「姫様を助けて下さった事、感謝します。貴方が居なければどうなっていたか・・・」


魔物を倒し、彼女達のいる岩場の方へ行くなりお礼を言われてしまった。


「ああ。空から見ていたら襲われている所が見えたからな。間に合って良かったよ」


空からという言葉を聞いて彼女達は驚きの声を上げる。


「空からって、まさか貴方は竜騎士様なのですか!?私はてっきり精霊魔法士様だと思っていました。とんでもない魔力量でしたので」


姫と呼ばれた少女は俺の言葉に驚いたらしい。いや、どっちも違うんだけど。


「確かに竜には乗ってたが契約してるわけじゃ無いし、精霊とも契約してるわけじゃ無いから竜騎士でも精霊魔法士でも無いな」


「専属契約をしてないのに、あれだけの魔力をお持ちなのですか?貴方は一体何者なのですか?」


俺の否定するような言葉に怪訝そうな感じで女性兵士が問いかけて来た。そうかこの返答じゃ確かに怪しかったかもしれんな。


「まぁ、ちょっと普通の人よりは魔力が多くあるみたいだな。ここから遠い場所にある小さい村で暮らしてたから自分では良くわからないんだ」


言って見てから、今の言い訳じゃ微妙だったか?と内心ヒヤヒヤしていたが女性兵士は「そうなのですか」と取り敢えず納得してくれたらしい。


「お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」


名前か。確かこの世界で名前だけの人は平民扱いで家名がついているのが貴族だったな。とアリシアに教えてもらった記憶を探りながらどうしようか考える。


貴族は面倒な感じだし自分のフルネームを言った所で「どこの貴族?」と言われても困るしな。よし、名前だけにしよう。


「朔夜だ。あんた達は?」


と粗暴な感じで思わず行ってしまったが、ふと考える。この人達の服装を見るにどうも貴族みたいだ。貴族によっては平民に偉そうにされるのは我慢ならない人もいる、と言っていた事を思い出して今の言葉遣いは不味かったかなと思い彼女達の顔を見る。


「私の名前はミリア・フレリアと言います。こっちの子はーー」


どうやら俺の言葉遣いには気にしていないようだった。ミリアが自己紹介をして、後に控えていた兵士を紹介する。


「私はフレリア家へお使えする従者のセルカと言います。改めてお礼を言います。ありがとうございました」


そう言ってまた深く頭を下げる。彼女達の顔を良く見る。ミリアと呼ばれた少女は金髪で胸の辺りまで届く長い髪、整った顔立ち。少し幼さが残るが成長すればアリシアぐらいの美人になるんじゃ無いかという印象だ。


対してセルカと呼ばれた従者も思っていたよりも若く、年はミリアと同じくらいだろうか。肩までの薄い青のボブカットに、やはり整った顔立ちでどちらかと言えばクールな印象。どちらも元の世界でアイドルと言っても遜色ないレベルの可愛さであった。


「そんなに気にしなくても良い。じゃあ次は馬車と馬だな」


同じように馬に回復魔法をかけてから風の魔法を使って馬車を起こした。


「改めて見ると凄いですね・・・無詠唱で回復魔法も風魔法も操れるなんて、やはり精霊魔法士様なのでは」


「だから違うって。え〜とあんた達はこれからどこへ行くんだ?俺はこの先のエルファリードに行く予定だけど」


あまり話を長引かせるとボロが出そうなので話題を変える。


「私たちもエルファリードへ行く予定でした。でも途中でヴィレルの大群に襲われてしまいまして。1匹や2匹程度であれば私や姫様でも問題無かったのですがあれだけの数となると・・・」


行き先を聞くとどうやら一緒だったようだ。ヴィレルと言う魔物は通常は1匹から3匹程度で行動するらしく何十匹と集まって行動するのは異常な事らしい。確かに50匹はいた気がするが巣でも近くにあるのだろうか。


「じゃ、馬車も直したし後は大丈夫だだよな?俺は行くから」


挨拶もそこそこに俺は立ち去ろうとする。色々聞かれても面倒臭いし、空から見たときは割と近くにありそうだったから運動がてらに走って行こうかと思っていた。


「竜に乗ってですか?どこにも見当たりませんが」


「いや、竜はここに降りた時に別れたからな。近いみたいだし、このまま徒歩で行こうと思ってるけど」


「え?近くないですよ?まだ距離はある気が。セルカ、そうですよね?」


「ええ、ここからだと徒歩で行けば半日はかかるかと思います」


「え?近くないのか!?」


あれ、おかしいぞ。空から見た時は割と近くにあった気がするけど。 まあでも、目立たないように結構高めに飛んでたから実際より近くに見えたりしたのかも知れない。


「そうか、ちょっと勘違いしてたみたいだ。ああ、そうだ。ちょっと待っててくれ」



と俺はケータイを取り出しMAPアプリを呼び出す。だがこの世界にGPS衛星なんてあるわけ無いので本来であれば使えない機能である。


だがこのケータイは最初の頃と違って使えるようになっていた。通常であれば衛星からの電波を拾い位置を教えてくれる機能だが、この世界では衛星の変わりに各地の精霊達が現在地や目的地がどこなのか教えてくれるらしい。


便利だと思うのだが、ただ一つ問題がある。


表示する情報が結構、適当なのである。これには理由があった。ケータイに宿っているのは下級精霊であり受信出来る情報が少ない為であるらしい。


まあ適当でも大体はわかるだろ。と思い現在地を検索し、目的地のエルファリードまでの距離を調べる。


画面には【検索中なの!】と表示されしばらくすると画面が切り替わる。


そこには今の現在地と思われる場所に矢印で【今、この辺りかも!】と書かれていて目的地の場所までポイントを移動させると矢印があり【ここからだと凄く遠いの!歩きじゃ大変なの!】と書かれていた。


「・・・・・」


俺は無言でケータイを仕舞う。下級精霊なのであまり期待はしていなかったがこれはちょっと無いな。ナビの口調はまあ良いとしても「かも」とか「遠いの」とか抽象的過ぎて分からん。


「えっと、朔夜さま?どうかされたのですか?」


「いや、なんでも無い。気にするな」


そう返すとミリアは意を決したようにある提案をして来た。


「あ、あの!目的地も同じ所ですし、もしよろしければ私達と一緒に行きませんか?」


「いいのか?」


「ねえセルカ、良いでしょう?」


「ええ、勿論です。命の恩人ですし、このまま放り出すなんて出来ません。私からもお願いします」


「じゃあ頼むよ。正直ここから歩いて半日ってのはちょっとキツイと思ってたからな」


ということでエルファリードまで馬車で行けることになった。





俺は馬車に揺られながら段々と近づいてくる街並みを眺める。とは言っても近づくにつれ目に見えるのは高い壁であったが。



ーー空から見た時は気が付かなかったけど大きい街だな。


そんな事を思いながら景色を眺めていると話しかけて来た声があった。


「朔夜さま。先程はありがとうございました」


「お礼は何度も聞いたし、もう良いって。それに馬車に乗せてもらってるからお互い様だな」



「朔夜さまはどこへ行く予定なのですか?見た所随分と軽装の様ですし、ここまで買い物に来たとかでしょうか?」


と俺の方を見て言うミリア。その視線の先には鞄があった。


「俺の目的地はエルファリード学園だな。春から入学することになってる」



「ええ!?そうなんですか!?私達もこの春から入学が決まってるんです!どの学科ですか?私は魔法科でセルカは騎士科なんです」


「俺は今の所は決まってない。どちらも素質はあるらしいから、ある程度授業を体験してから決めてくれと言われたな。だから最初のうちはどっちにも行くと思う」


「それって凄いことですよ!どっちも選べるなんて羨ましいです。同じクラスになった時はよろしくお願いします」


「ああ。こちらこそ仲良くしてくれるとありがたい。お、そろそろ到着するみたいだな。セルカさん。ありがとう。ここまでで良いよ」


そんな感じで馬車にゆられて約3時間。ようやく街の入り口である巨大な門が見えてくる。


さすがに一緒に入るのもどうかと思うので近い所で降ろしてもらう。


「朔夜さま。また学園で会いましょう!」


とアリシアが言う。続けてセルカも。


「朔夜さま。同じクラスになった時は是非よろしくお願いします」


「また、学園で再会出来ると良いな。でも様付けはやめてくれると嬉しい」


別れ際にそう言うとミリアは少し少し不満そうな顔をしたが「仕方が無いですね」と言いながらセルカと共に馬車へ乗り、街へ入っていく。その姿を見送りながら俺も後へ続く。




ここはアリシア大陸の中でも最大の都市、エルファリード。そして俺がこれから通うエルファリード学園がある場所でもある。その入り口である巨大な門を見ながら


ーーー取り敢えずの目標は1年で卒業だけど焦らずのんびり行こうか。あんまり目立ち過ぎると返って面倒な事も起きてくるだろうしな。


と、これからの事を考えながら街へ入っていく。

いよいよ次回から学園編突入です。1話最低でも3000文字は書きたいところです

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